ヴィスコンティ監督の
『ベニスに死す』
です!
昨日の夜、まさに見返しました😂✨
一番最初に観たのは学生のときで
(ヴィスコンティ監督の映画が好きな教授がいた)
そのときのわたしの感想としては
「ヴィスコンティ監督の美しい芸術作品だなあ…」
くらいの感じで
映像も
マーラーの音楽も
美少年役のあの男の子も
美しいですね…
くらいにしか
感想なかったのですが
そこから10年15年くらい経ち
4,5年前に
TOHO系の"午前十時の映画祭"で
映画館で上映されているときに
もう一回観て
で
ここ何ヶ月間か
なぜか無性に
ベニスに死す
が
めちゃくちゃ観たくて
DVDを買ったんですよ。
昨日届いて深夜に1人で見たのですが
観ながら結構泣いてしまったのでした。
主人公のグスタフが
(学生の頃のわたしには、さっぱり意味わからなかったけど)
今のわたしにとっては、好きな存在だなと。
昔のわたしにとっては
美しい芸術映画だけど
主人公に特に共感とかはなく…
みたいに思っていたけど
今観たら
グスタフさんに結構泣く。😢😢
グスタフみたいに
本当に好きで好きで心底苦しんで
純粋にのたうち回っている感じの人が
わたしはなんか好きなのですね。
映画なのでもちろん作りものではあるけど
その人物の感情が、本物な感じがするものが
やっぱり観ているわたしの感情は
揺さぶられるなと思います。
(昔の当時のわたしには、グスタフさんへのセンサーまだ搭載されていなかったんだろうねと😂💧)
美少年のタジオに関しては
現実味があまりない存在、て感じに撮られていて
きれいだけど
わたしはそこまでの魅力を感じないのですが
(きれいだな、て感じで)
グスタフは、(客観的に見たら"変わったおじさん"なのかもしれないけど)、ちゃんと人間なんですよね。
そこがわたしはやっぱり好き。
誰にも理解されない感情かもしれないけど
本当に好きで苦しんでいるような感じとか
タジオに対する自分の感情に
自分の中でのたうち回っている感じとか
ただ目で追ったりしかできない感じとか
(客観的に見たら、ただただ変わったおじさんかもしれないですけれども)
わたしはそういうこの人が、好きだなと思うのでした。
きれいじゃなくても、人間っぽい人のほうが、わたしはやっぱり魅力的に思える。
夜中にタジオと道ですれ違うシーンで
グスタフさんは後ろで手を組んで歩いているのですが
タジオとすれ違ったあと
一瞬だけ自分で自分を抱きしめる仕草をして
でまた後ろで手を組んで歩いていて、、
みたいな
そんな様子などが
たまらなく切ないなと思うのよー。😢
理髪店でお化粧してもらって
微笑んでシャキッとする様子とかも
(普通の人が客観的に見たら
なんだこの人、なのかもしれないけど)
どうしようもなく愛おしい人、
みたいな。
グスタフみたいな人を"愛おしい"と思うわたしも
そこそこちょっと変なのかもなと
思いますが
(でも女の人はきっと好きだと思う…)
天然美少年な男の子よりも
天然の美や純なものに、憧れて恋して苦しんで、でもそれを愛する気持ちをどうしてもやめられない、みたいな、グスタフみたいな人間っぽい人の中にある、人間らしい美しさのほうが、わたしにとっては好きだななんか。。
わたしはひとつだけ不思議なのですが
グスタフさんは
なぜタジオへのこの純粋な気持ちを
曲にしなかったのかなと。
回想シーンの中で
自分の作品が観客から散々ブーイングされて
仲間内みたいな人からも「お前の作品は美でも何でもない」みたいに散々批判されていたけど
このときの、ヴェネツィアでの、グスタフさんがタジオに恋している気持ちは、何の計算もない、偽りない、心からの彼の美しい気持ちだと思うので
このときの気持ちを曲にしたら
さぞかし切ない美しい曲、
それこそ本当に純度高い美しいものが
きっと作れていたんじゃないのかなと
わたしなんかは思ってしまうのですが。
(それが映画の中では、背景に流れているマーラーの楽曲、てことなのでしょうか。)
彼が今まで音楽家として生きてきて、ずーーーっと努力しても努力しても、なりたくてもなれなかったもの、ずっと手が届かなかったものに
ヴェネツィアに来て
予期せぬ相手に恋をして
最後には、彼自身の存在が、なりたくてもずっとなれなかったものに、最後なれたんじゃないのかなと
思ったりしました。
客観的にはおかしなおじさんかもしれないけど
わたしにはすごく、切なくて、愛おしく思える存在でしたね。。グスタフさん。
「本当のことを教えてくれ」
と言っているところも
なんか切なくてキュンとくるのよ。。
この映画とは全く関係ないのですが
とある俳優さんが以前
「世の中のほぼ全てが嘘だけど、人が人を好きになる気持ちだけは本物」
と何かのインタビューで言っていて
それはわたしもすごく共感したの。
誰かや何かを好きだと思う気持ちは、どうにもならないものというか、本物ですよねと。
この映画の中での、グスタフさんを観ながらも、思ったりしました。
グスタフさんにはそんな感じで
どこか共感してしまって
切ない、でも純度高い気持ちだなと思いながら、観ていたのですが
タジオくんは、グスタフの存在のことを、何をどう思っていたんだろうなと。
時々笑いかけてみたり
後ろについて来ているか確かめてみたり。
グスタフから自分が何らか好意を持たれていることは、きっと分かっているわけじゃないですか。
タジオは何を考えてにこっとしたりするんだろう。
はー
でもこの作品は本当に
見返して良かったなと
思いました☺︎
あと衣装、女の人の帽子もめちゃくちゃ素敵💕
つば広で、花がたくさん💐、リボンもチュールもたくさん乗っていて、めっちゃかわいい
あんなかわいい帽子、現代にも普通にあればいいのになと。
(あんなにかわいい帽子文化が廃れてしまったことは、個人的に残念で仕方ないなと😅)
この作品との1番最初の出会いは
教授から「見なさい」と言われて
ただそれで見ただけだったのですが
あのとき作品と出会わせてくれた教授にも
今さら感謝しております。
もう随分前にお亡くなりになられたけど。
めっちゃ良い映画だったと
今さらながらに知りました
10代20代のときによく分からなくても
10年後とか20年後になって
改めて見ると
昔と全然違うこと思えるなあ、とか
昔はよく分からなかったけど
今なら共感できるところ色々あるなあ、、とか
そんな風に思える作品は
わたしはとてもとても好き☺︎
あの世でもしもお会いできたら
ヴィスコンティ監督にもぜひお礼言いたい。
と思いました。
(お礼を言いたい昔の監督さんはたくさんいるのですー。
「あなたのそんなもののために作ってないです」
てもれなく言われそうだけど笑🤣笑
でも映画や曲を作っている人達って
自分の知らないところで
色んな人達の助けになっていると
本当に思います🙏
わたしの心に触れるものを作ってくれた方々みなさんに本当にお礼言いたい。)
わたしみたいに
若い時に見て
あんまりピンと来なかった
よく分からなかったなー
て方が、もしいたら
『ベニスに死す』も
ぜひまた、見返してみてくださいませ✨
それに
この映画の中のグスタフさんみたいに
"誰にも理解されない感情"みたいなものって
孤独だし、切ないなと思うけど
世の中の映画には
そういう感じの作品が
だいたいあるんですよね。
音楽、曲の中にもきっとある。
この感情の全てを言葉にはできないけど、、みたいな。
(だから、この映画の主人公、言葉を使う小説家ではなくて、言葉以外というか言葉以上のものを使う、作曲家にされたんじゃないかなと、わたしの中では思っております)
単語以上の人間の感情や色々なものを、映画や音楽や(絵もそうかな)、何かの形にして、掬い取って残せる人たちって、本当にすごいことだなと。
そういうものってきっと、何年何十年経っても、人間にとっての、ずっと共通な何かなんだろうなと思うのです。
そういうものを残していってくれた
昔の天才秀才な方々に
永遠に感謝です🙏
現代の方々にももちろんね😊