一目惚れの旅先で、心がひらいた瞬間を追いかけるように、荷物をまとめた。
「これが好きだから」としか理由がない選択の連続が、
気づけば未知の海岸へと私を導いていた。
理屈より先に“好き”が動かす
フリーランスになってから、
“合理的な選択”は美徳とされがち。
数字で裏づけられた戦略。
他人の成功パターンをなぞる安心感。
もちろん大切だけど、
どこか自分の心が置き去りになっている気がしていた。
好きが理由じゃダメ?
「なんでまたその仕事?」
「そんなに遠くへ行く意味はあるの?」
クライアントや友人に訊かれるたび、
言葉が詰まる。
「だって、ただ好きだから…」
それだけでは許されないと、自分を責めた。
SNSでおしゃれなワークスタイルを見て、
「私もあれをやらなきゃ」と焦る。
でも、心の奥では、
誰かのマネをする自分が違和感でいっぱい。
好きというコンパスを信じる
ある朝、
まだ眠気の残る中、ゲストハウスの窓から、
透き通った光が差し込んだ。
それだけで心が震えた。
誰かが作ったマニュアルではなく、
自分の五感が動いた“好き”を選び取る――
それが本来、最も確かな道しるべだった。
好きの羅針盤で紡ぐ自由
これからの私は、
「好き」を起点にしたプロジェクトを次々に立ち上げる。
旅先で見つけた工芸品を紹介するWebマガジン。
心が震えた風景を動画にするVlog。
理屈ではなく、感性で築いたコミュニティが広がっていく。
そんな未来の私を想像すると、
地図もスケジュールもいらない。
“好き”という無形のコンパスが、
確かな道を指し示してくれるはずだ。
好きの行き先は、予測不能がいちばん楽しい
と思いきや、
旅先で出会ったカフェの看板メニューが気になって、
つい注文したクリームパスタ。
「これが好き!」と豪語したものの、
実際に食べてみたら予想外の味で・・・。
それでも、
「好きだけで生きる」って、
予期せぬスパイス込みが正解なのかもしれない。
理由は「好き」だけで十分。
地図がなくても、“好き”というコンパスが
必ず私を正しい場所へと導いてくれる。
そして次は、
甘くて辛い“好き”を求めて、
また新しい一歩を踏み出すんだろう。
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