ずっと恋愛ドラマは苦手だった私。

たぶん、そのトラウマは小さな頃の絵本『人魚姫』に遡ります。

バッドエンドに耐えられなくて…。

そのせいなのか、普通のドラマに恋愛要素のあるものは見れなくはないけれど、恋愛メインのドラマはあまり観たくありませんでした。


駆け引き、ライバル、すれ違い…。

現実ではないのがわかっているのに、それで気持ちを揺さぶられるのが不快でした。

もしかしたら近頃言われるHSPなのかもしれません。


けれども不思議なことに小説の中にはそうでもないものがあります。

そんな私でも愛読書と呼んでもいい恋愛小説が…。



仏の詩人・小説家テオフィル・ゴーティエの作品です。


教育熱心な私の母は、『世界で名著と言われるもの・古典的な本は一通り読んだらいい』と私に言うほど本の好きな人でした。

そんなある日、その中で私の目を引いたのはとても強烈なタイトル。

『死霊の恋』

何これコワイ…。

そう思いつつ読んでみると…。


時を経て老人となった主人公(男性)の語りから始まり、あっという間に物語の世界に引き込まれました。



お話の内容まで細かく記載することは控えたいと思います。

ただ、いかにも怖そうなタイトルでありながら、一言で表現するならばそのテーマは「純愛」でした。

そしてひたすら美しい物語でした。


主人公の男性(聖職者:生涯神のみに仕える誓いをたてた僧侶)の苦悩や葛藤・感情が見事に描写されていて、その表現力の素晴らしさに圧倒されました。


そしてその恋人である女性(死霊と表現されている人)の悲しみにも心打たれました。


この物語も、結論からいえばハッピーエンドにはなりませんでした。

けれども、その物語としての完成度と描写の素晴らしさに、私は何度も何度も読み込まずにはいられませんでした。


ご興味を持たれた方は一度お手にとってみられてはいかがでしょうか。


Wikipediaを見てみると、真っ先に日本語訳をされたのはなんとあの芥川龍之介だそうです!(タイトルは違っています)

こちらも読んでみたくなりました。



最後までお読み頂いた方、本当にありがとうございました。感謝いたします。