星のない夜に蝶に化して月と舞う-シャネル


六本木ヒルズの東宝シネマで「ココ・アヴァン・シャネル」を見た。


とてもいい映画ですね。


シャネルの生い立ちをはじめて知った。華やかなイメージだけあったが、そんな強烈な自我を徹した女性だとは知らなかった。


孤児院育ちの貧しい針子のシャネルは、まだ女が自由に生き方を選べない時代に自らの考えと誇りを失わずに生き抜いて、世界に響き渡るブランドの帝国を築いた。


しかし、彼女の顔にどこか孤独の影が漂う。


生涯結婚していないシャネルに愛する人がいた。しかし、その人は莫大な財産の持つ女を妻に選んだ。彼は「結婚は社会の習慣に過ぎない」「私達の愛に変わりがない」と言った。


それを聴いたシャネルの瞳に大粒の涙が浮かび、「いいえ、大きく変わる」とつぶやいた。


しかしそれにしても、その人を交通事故で失うまでシャネルは彼と愛し合っていた。


でも、何か、悲しい。


一体、結婚は何だろう。たとえ自分はそれを求めてなくても、それを約束してくれない人に対して、信じる心が曇る。結局、結婚も呪力のある儀式であり、一旦その洗礼を受けた人は簡単にはやめられない。もちろん、それが正しい。ただし、ただし、。。。


シャネルの人生には謎が多いといわれている。彼女は自分から語ることをあまり好まないようだ。


百年ほども前に生まれた、その一人の女性の孤高な姿に、心を打たれた。