今回は、
私が
占いのブースに出ていた時の
お客さまだった
Ｍ美さん（49才）のお話です。
彼女は
CAとして働いている時に
経営者であるご主人に
見染められて
20代の前半で結婚して、
それ以来、
何不自由のない
ぜいたくな生活を
送ってきたそうです。
そして
お子さんの手が離れたことを
きっかけに
何か始めようと思い、
「いずれ
両親の介護をするのに
役に立つかも」
と
ある福祉関係の資格を取り、
パートで働き始めました。
そこで
出会ったのが
一回り下のＹ也さん（37才）
でした。
Ｙ也さんは
細かいところまで
よく気がつく好青年で、
慣れない仕事に戸惑っている
Ｍ美さんを
なにげなくサポートしてくれ、
「大丈夫ですよ」
「ちゃんとできてますよ」
と、
いつも
励ましてくれました。
Ｙ也さんのおかげで
なんとか仕事ができている
と感謝していた
Ｍ美さんは
何かお礼をしたいと思い、
「一度
お茶でもごちそうさせて」
と彼を誘いました。
仕事の帰りに
二人で入ったファミレスで
話が弾むなかで
どうしてＯＫしたのか
今でも
よくわからないけれど、
その翌週
Ｍ美さんは
彼とバイクで
遊びに行くことになりました。
仕事だと言って出てきた
ご主人に対する
後ろめたさは、
彼と
バイクと一体になって
風を切りながら
爽快に走っているうちに
あっという間に
消えていきました。
「こんなに開放感を
感じたことって
今まであったかしら」
とＭ美さんは感激し、
いつのまにか
Ｙ也さんと
休みのたびに
出かけるようになりました。
頼りになる
同僚だった彼が、
いつしか
かけがえのない恋人に
変わっていきました。
そうしているうちに
休みのたびに出かける
Ｍ美さんのことを
「なにかおかしい」
とご主人が気づいて、
彼女の浮気が発覚しました。
そして
激怒したご主人が
すぐに役所に
離婚届を出しに
行ってしまったので、
彼女は
着のみ着のまま家を出て、
Ｙ也さんと暮らすことに
なりました。
「部屋が狭いので、
二人で
抱き合って眠らなくちゃ
いけないんですよー」
と話す
Ｍ美さんは
とても幸せそうでした。
そうして
３年くらい経ったある日、
地方の実家に戻っていた
Ｍ美さんが
二人のアパートに帰り、
部屋に入ったとたん、
信じられない光景が
目の前に広がりました。
彼が持ってきた家具や
身の回りのものが
消えてしまっていて、
テーブルの上には
「ごめん、
好きな人ができました」
と手紙が
置いてあったのです。
Ｍ美さんのことを
「浮気なんかしなかったら
ずっといい暮らしが
できたのに、
愚かな人だなぁ」
と思う方も
いるかもしれません。
でも
彼女は
後悔しませんでした。
なぜなら
最初で最後の恋に
全てを
捧げることができて、
これから一生
その思い出を宝物にして
生きていけると思ったから。
それから数年後
彼女は独立して
事務所を構え、
今は
スタッフを抱えながら
毎日
精力的に働いています。
彼は、
というと、
あれからまもなく
Ｍ美さんより
20才下の女の子と結婚して
今では
3人の子供とともに
家族で幸せに
暮らしていることを
人づてに聞いたそうです。
60才になった彼女は
今も
とてもチャーミングで
ステキです。
「まだまだ
魅力的なんだから
もう一度
パートナーを
見つけたらいいのにー」
と私が言うと、
Ｍ美さんは
「このところ
息子たちに
孫が立て続けに生まれて
世話をしに
いかなきゃいけないから、
もう
自分のことなんか
かまっていられないわよー」
と楽しそうに答えました。
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