「女性と話す自信がないんです」

 

と相談に来られた

T之さん(38才)のお話です。

 

 

 

彼は

予備校の講師を

しているそうで、

 

 

 

ある時

たまたま給湯室で

 

受付の女性たちが

 

自分のことを

 「キモイ」

と言っているのを聞いて

ショックを受けてしまい、

 

 

 

それ以来、

女性とうまく話せなくなって

しまったんだそうです。

 

 

 

T之さんは

 

私とまったく

目を合わせないまま、

 

 

 

小さい頃から

 

自分が

いかに女性から

受け入れられない存在であったかを

話し続けました。

 

 

 

確かに

T之さんは

 

ボサボサの髪に

生え放題の

ボーボーの眉毛

 

 

 

そして、

手の甲も毛むくじゃらと、

全体的に毛深くて

 

その上

寡黙な感じなので、

 

 

 

女子からは

敬遠されてしまうところが

あったかもしれません。

 

 

 

ただ

 

話し始めると

 

国語を教えているだけあって

言葉の選び方にセンスがあり、

 

とてもあったかい感じがして

 

 

 

きっと

人の心の痛みが

よくわかる方なんだろうなぁと

思いました。

 

 

 

彼は

私のアドバイスを聞いて

美容院で髪を整え、

 

また

脱毛をして、

 

ファッションにも

気を遣うようになりました。

 

 

 

そうして

 

だいぶ外見が

こざっぱりして

清潔感が出てきて

 

周囲からも

「変わったねー」

と言われるようになった頃、

 

 

 

彼は

私に言いました。

 

 

 

「実は

好きな人がいるんです・・・」

 

 

 

お相手は

SNSの趣味のサークルで

交流しているという

K子さん(39才)。

 

 

 

FBでK子さんの

笑顔のプロフィールを見て、

 

彼は

 

彼女の凛とした美しさに

一目で惹かれたそうです。

 

 

 

K子さんの投稿に対して

T之さんが

コメントをしたことが

きっかけで

 

二人は

メッセージの

やり取りをするようになり、

 

 

 

そのうちに

T之さんは

 

K子さんから

恋愛についての相談を

受けるようになったそうです。

 

 

 

不実な彼が作ってしまった

借金を返すために

 

彼女は

慣れない飲食店で

働いたこともあったそうで、

 

 

 

そんな

K子さんを

 

T之さんは

メッセージを通して

支え続けました。

 

 

 

そうして

 

T子さんが

ようやく目が覚めて

彼と別れた頃、

 

 

 

趣味のサークルで

オフ会が開かれることに

なりました。

 

 

 

彼女が参加することは

わかっているのですが、

 

T之さんは

躊躇していました。

 

 

 

「実際に会って

がっかりされてしまったら

どうしよう」

 

 

 

「だったら

このまま会わずに

SNSだけでつながっていた方が

いいのではないか」・・・

 

 

 

オフ会の当日,

 

彼は

やっぱりT子さんに

自分の姿を見せるのが恐くて、

 

 

 

レストランで

みんなが集まって

楽しそうに盛り上がっているのを

 

少し離れた席で見ていました。

 

 

 

K子さんは

写真の通り、とても美しい人でした。

 

 

 

「これでいいんだ、

これで・・・」

 

と自分に言い聞かせながら、

 

みんなが帰ったのを見届けて

店を出ると、

 

 

 

すーっと

誰かが駆け寄ってきました。

 

 

 

「もしかして、

T之さんですか?」

 

 

 

K子さんの

その言葉にびっくりして

 

T之さんが

何も言えないまま、

 

二人は見つめあい、

しばらく泣き続けました。

 

 

 

その後

 

二人は結婚して、

女の子が生まれました。

 

 

 

「K子さんに

そっくりでよかったねー」

 

と私が冗談交じりに言うと、

 

 

 

彼は

 

「そうなんですよー

 

もう本当に

かわいくて

かわいくて

仕方がないんですよー」

 

とデレデレの

パパの顔で答えました。

 

 

 

いつまでもお幸せに。