「あの時、
彼と別れて
本当に良かったです」
と、
以前
お会いした時より
少しふっくらとした顔を
ほころばせながら話す、
H美さん(45才)の
お話です。
彼女は
5年前に
ある趣味のサークルで
彼と出会いました。
外見が
まったくタイプではなかったので
初めは気にも留めて
いなかったそうですが、
何かの機会に話した時に
話が弾み、
彼と話していると
リラックスして
心地よくいられることに
気がついて
H美さんは
だんだん
彼に惹かれていきました。
つきあってすぐに
彼は
自分が既婚者であること
そして
夫婦仲は
もう完全に冷めて
しまっていること
子供はいないが
いろいろな事情があって
すぐには離婚できないこと
でも
そう遠くないうちに
別れて
H美さんと
結婚するつもりでいること
などを
彼女に伝えたそうです。
H美さんは
その言葉を信じて
毎年毎年、
彼が離婚するのを
待ち続けました。
でも
彼は
奥さまへの不満を
漏らしたり、
「もう
離婚届を置いて
出てきちゃおうかなぁ」
と強がってみたり
しながらも
なかなか
今の状況を
変えることが
できませんでした。
そうしているうちに
月日は過ぎていき、
彼の子供を欲しかった
H美さんは
45才になっていました。
「もしかしたら
このままずっと
彼とは結婚できない
かもしれない」
と不安になってしまい、
相談に来られた
H美さんに
私は伝えました。
「不倫の場合、
つきあって
時間が経てば
経つほど
彼が離婚をする確率は
低くなります。
なぜなら
つきあい始めた時が一番
あなたに対して
情熱があって
離婚しようとする
エネルギーが
大きいからです。
今、
彼は
H美さんの家で
ご飯を食べ
身の回りの世話をしてもらい
奥さまや
ご両親が待っている家に
帰っていきますね。
それって
ある意味
彼にとっては
安定している状態で
その状態を壊して
奥さまや
ご両親と争い、
家を捨てて
あなたの元に
やってくるエネルギーは
今の彼にはありません。
不倫をしている
女性のことを
『よその家に
そっと忍び込んで
そこの女主人が
姿を現したら
あわてて
身を隠さなければ
いけないような
身分の低い
お手伝いさんのような存在』
だと
例えた人がいます。
もし
彼が本当に
あなたを愛しているのなら
あなたを
そんな立場に
置き続けるでしょうか。
そんな彼が
あなたにとって
『運命の人』なんでしょうか」・・・
彼女は
何度も何度も考えて
ようやく彼を
手放しました。
そして
そのあとにやってきた
暗い部屋で
膝を抱えながら一人で過ごす
孤独な日々を
なんとかやり過ごして
ようやく自分だけの
運命の人を
見つけました。
「今、本当に幸せです」
と話す
H美さんの
左手の薬指には
かつて
どれだけ望んでも
手にすることが
できなかった
結婚指輪が輝いていました。
いつまでもお幸せに。