勝手に「私の落とし方発表会」ピアニスト編♡
お久しぶりにまたやっちゃう!勝手に「私の落とし方発表会」ピアニスト編♡ここで、説明しよう!「私の落とし方発表会」とは…テレビ東京の土曜深夜の番組「ゴッドタン」の企画の一つ。お題のシチュエーションで「こういう風に口説かれたら私は落ちる!」という脚本を女芸人さんたちがそれぞれ自分で書いて、自分で演じる企画。それを真似して「私の落とし方」を色々妄想ストーリーを書いちゃうというのがこの企画(?)。言っときますけど、妄想ですから!(開き直り)登場人物私(みや)シュウ:時々行くバーのスタッフ兼ピアニストーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー一人で飲みたい気分だった。仕事からやっとどうにか開放された帰り道。全部解決して週末を迎えたかったのに自分のミスもあって、いくつかが来週に持ち越しだ。あぁ、あの時よく確認していたら…とか今となっては手遅れなことがぐるぐる頭の中をめぐる。空を見上げたって希望の星1つ見えやしない。都会の煌々とした闇のなか、今日はとぼとぼ帰るしかないんだ。そうだ、今日はやってるよね…?とよく行くバーに行こうとしたら今週は臨時休業…とな…。店のLINEを確認してがっくりした。ツイてないな。。。ってか、金曜日なのに臨時休業て!!!金曜はピアノの生演奏があったのに。。。シュウくんのピアノ、聞きたかったなぁ。お酒飲みながら聞くといいんだよな~。仕方がないので前からちょっと気になっていた別の飲み屋へ。…ちょっと騒がしい?会社の飲み会の二次会・三次会であろう人々が盛り上がっていた。仕事終わりで来た私はちょっと気まずい空気を感じた。会社の飲み会に仕事が押して途中から参加するともう飲んでる同僚や上司のテンションと仕事引きずっている完全シラフの私のテンションが全然噛み合わなくて困ることあるよね。。。「おっ、おっつかれさまですぅ~!」みたいに一生懸命合わせようとするけど…あ、今日別に会社の飲み会じゃなかった。一人だった。そっか、合わせる必要なんかないんだ。よかった。。。ジントニックを2杯程飲んで、適当につまんで。おなかすいてたのもあるけど…ちょっとペース早いな。3杯目…何がいいかな。。。「すいませ~ん」と、カウンターの端の方を見たときだった。あれ…、シュウくん???何人か人を挟んだカウンターの席に、シュウくんがいた。そりゃ、目立つわな。。。金髪だし。「あー!シュウくん!」こっちにきがついたみたいでぺこりと会釈される。「今日お店休みなんだってね~!行きそうになっちゃったよ」「あー、すみません。いま改装中なんですよー」「でもいいじゃない、そのおかげで今、外でお酒飲めるんだし!」「まぁそうですけど、一人だし」「えー?そうなの?こっちくる?」シュウくんがお店の人に何か聞いている。ん?もうお会計だったのかな?「みやさん、隣行ってもいいですか?」「はは~、いーよー!おごんないけどね!!!」「みやさんと店以外で会うの初めてですね」「あははー、そうだよねー!」「…って、なんかみやさん、テンション高くないですか?」「えー、そうかなー。高い?熱?」おでこに手を当ててみる。いや、熱くないぞ。シュウくんはちょっと引き気味に聞いてきた。「もしかして…結構飲んでます?」失礼な、ジントニック2杯でテンション上がりまくりなんて、ないぞ。「なんでやねん、まだ2杯目ですー」思わずバシッと肩にツッコミをいれてしまった。「あっ、ごめんごめん」別にそこまで親しいわけじゃないんだけど…なんでだろ。なんか今日はべらべらしゃべっちゃうなー。。。「すみません、お水もらえますか?」シュウくんがお店の人に注文する。「え?シュウくんお水なの?」「ちがいますって、みやさんのですよ」えー、まだ水いらないよ~、と思ったのが顔に出ていたのか「一回水のんだほういいですよ、店で見るより酔っ払ってますよ」と即つっこまれた。シュウくん、優しいね…。ちょっとドキッとしちゃうじゃないの!もー!とりあえず私はシュウくんと水で乾杯した。彼は生ビールだった。「僕、生ビール好きなんです、生ビール専門!」「あー、そうなんだ~。私もじゃあ次はそうしようかな」「えー、ビールですか?お店で飲んでるの見たことないですよ」「いーじゃない!たまには!たまにはさ!」ぐだぐだ酔っ払いながら普段は話さない話なんかしていた。へー、東北出身なんだー、一緒だね~とか、実は2歳しか歳が離れていない!とか、シュウくんは今はバイトしながらピアノをやっているけど将来は音楽一本でやっていきたいんだ!とか、私の哀しき恋愛事情(誰かいませんか~?!)とか、東京の冬は空気が乾燥してなんか辛いよねとか、とか、とか…「あ、そうだ」私は4杯目に頼んだキール・インペリアルを飲み干しながら聞いた。「どうしたんです?」「前から聞こうと思っていたことが…あった」「…え?な、なんです?」「シュウくんがいつもピアノ弾く時の最後の曲、あれなんて曲なの?CD探してみようかなって思って」「あー、あの曲ですか…」なんか歯切れが悪い。私、なんか変なこと言っちゃった???「そんな、もったいぶってないで教えてよ」「…みやさんはあの曲、どう思います?」「あの曲?いいよね~、…ってかいいって思わなかったらCD探そうとか思わないよ!」「そう、…良かった」ふっとシュウくんの頬が緩む。「うん、流れているような、それでいてどこか芯があるような、ちょっと情熱的な感じもする。あの曲、好きだよ。…うん、私、好きだよ」一瞬、周りの二・三次会の人たちの喧騒が私たちの間にやってきた。…あれ…?シュウくんは私をじっと見つめてる。「どしたの?ねぇ、で、タイトルは??」ふと思いだしたかのようにシュウくんは言った。「みやさん、店、出よっか」「え?二軒目?!」「行こ、みやさん」シュウくんはそう言うと私の手を引いて私を立たせた。不意に触れたピアニストの指先は少しひんやりしていた。鍵盤を常に弾いているのに、ちょっともっちりとして柔らかい。ひんやりしているはずなのに…触れた指先から全身に向かって津波のように熱が伝わってくる。これは私の体温なのか、彼の体温なのか、いやいや、それとも飲みすぎたせいか…。店を出てもシュウくんはずっと私の手を引いたまま何処かへ向かっている。「シュウくん、どこいくの?」そう聞いても何も答えてくれない。ただ、私の手を引っ張って、前へ進んでゆく。と、思ったら道の途中でいきなり立ち止まって「…ピアノ…」と呟いた。「え?何?ピアノ?」「ピアノ弾きたい」「え?あ、う、うん…。。???」正直なところ、私にピアノがどこにあるか聞かれても…困る。シュウくんはいきなり私の方を向いて言った。「あの曲のタイトル…まだないんだ」「な、ない…?」こくっと頷くとシュウくん続けて言った。「あの曲はまだタイトルがないの、僕の曲なんだけどね…」「あ、オリジナルの曲なんだ」シュウくんはまた頷いた。そして意を決したように私を見つめた。「みやさんの名前を、タイトルにもらっても…いいですか?」私はシュウくんを二度見した。いや、三、四度見直した。「わ、私の名前????え???ん????」明らかに動揺する私にシュウくんは私の両手をぎゅっと握って言った。「あの曲は、みやさんをイメージして作った曲なんです。だから、miyaってタイトルにしたいの。」私をイメージした曲…頭のなかであの曲が流れだす。そして店でピアノを弾くシュウくんの姿を思い出していた。ちょっと切ないような、真剣な眼差しで、割れ物を扱うかのように、そして想いをぶつけるかのように弾いていた。私はよくその姿をキール・インペリアルを飲みながら眺めていた。キュンとした、甘酸っぱい味…。ぎゅっと握られた手は熱を帯びて、私はそこから溶けてしまいそうだった。いやいやちょっとまて、いやまさか?どういうことだ、という気持ちのお陰でどうにか固体として立っていられた。「あ…、…あの…」ギリギリ固体のくせに、喉はカラッカラだった。「みやさん、僕、いま、みやさんのためだけに、あの曲を弾きたい…みやさんのためだけに…いいですか???」じっと私を見ている。あの曲を弾く時と同じ目で。私はかろうじて、固体のうちにこくんと頷いた。end