こんにちは。
今回は、毒親問題の解決が難しいもう一つの理由をみていきたいと思います。
このブログで、前に毒親のタイプを以下の4つに分類しました。
タイプ1:過干渉、統制型の親
タイプ2:無視親
タイプ3:ケダモノのような親
タイプ4:病気の親
実は、ほとんどの精神科医や心理カウンセラーは、毒親問題を考える場合に、4の病気の親を想定していません。
たとえば、あなたが毒親問題で、精神科医や心理カウンセラーに相談したとしましょう。
この時、多くの精神科医や心理カウンセラーは、あなたの苦しみの原因が、病気の親ではなく、あなた自身にあるものとして、カウンセリングを行うケースが非常に多いのです。
この理由の一つに、わが国では心理カウンセリングが、「ロジャースのクライアント中心療法」を基盤に行われることが非常に多いということが挙げられます。
「クライアント中心療法」とは、「来談者中心療法」とも呼ばれています。
この療法の基本的な考えは、「カウンセラーが、来談者の話をよく傾聴し、来談者自身がどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、別にカウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、押しつけたりしなくても、来談者自らが気づき、成長していくことができる」という点にあります。
人間は、成長・自律・独立等に向かう「実現傾向」を持つと考え、カウンセラーは、クライアントの『気づき』を引き出すために、自らの体験・意識・表現が一致していること、来談者に無条件の肯定的な関心を持つこと、共感的に理解することの3点を大事にします。
カウンセラーがそのような点を大事にしてカウンセリングを行えば、クライアントはカウンセラーに、自分の嫌な体験を話しているうちに、やがてクライアント自身が問題の本質に気づき、自らそれを解決していくというものです。
いわば、人間が本来持っている自然治癒力を活かす、漢方薬的な療法と言えるでしょう。この点が日本人の感性と合致する部分があり、このため、我が国のカウンセリングにおいては、この来談者中心療法が多く用いられています。
ロジャースの前向きの姿勢を崩さない理論は確かに魅力的ではありますが、勿論、実際のカウンセリング場面では、来談者中心療法以外の技法の適用や理論知識の参照も必要になってきますし、臨機応変でフレキシブルな対話状況と信頼関係の構築が大切だと思います。
つまり、心理状態や苦悩・葛藤の内容がそれほど深刻でなく、問題や苦悩の本質がクライアント自身に内在している場合には、来談者中心療法のみで対応できますが、重篤なケースでは、クライアントの心理状態や問題や苦悩の重篤度を考慮に入れながら、個々のケースに対処していくことが必要になってきます。
このため、クライアントの問題が重篤であったり、「病気の親」のケースのようにクライアントの外に問題の本質がある場合は、来談者中心療法ではクライアントの問題は全く解決しないのです。
多くの精神科医や心理カウンセラーは、来談者中心療法でクライアントの問題を解決しようとするあまり、問題の本質がクライアントの外(病気の親)にあることを見抜くことができないのです。
言い換えると、カウンセリングをいくら行っても、カウンセラーは「クライアントの問題はクライアントの中に存在している」としてカウンセリングを進めるために、クライアントの外に存在している病気の親が毒親になっていることに全く気づかないことになります。
これが、ほとんどの精神科医や心理カウンセラーが、毒親問題を考える場合に、4の病気の親が原因になっていると想定できない大きな理由になっているのです。
もう一つの理由は、カウンセリングや精神疾患の治療方法が定型化しているために、精神科医や心理カウンセラーが、クライアントの親が病気であると気づいても、それは親の問題であり、クライアントとの問題とは別だと考えてしまう点です。
つまり、治療方法が定型化しているために、親の精神的な病気はあくまで親の問題であり、クライアントの問題はあくまでクライアントだけの問題で、親の病気とは関係が無いと考えてしまうのです。
このため、クライアントが病気の親(=毒親)で苦しんでいても、病気の親とクランアントを結び付けて、クライアントの問題を解決することができないのです。
前回ご紹介した共依存は、依存症という病気に含まれるもので、依存の対象がアルコールやギャンブルではなく、人間であるという依存症と定義できます。
すなわち、前回ご紹介した事例は、病気の親が原因になっている毒親問題に他ならないのです。
では、毒親問題はどのように解決すれば良いのでしょうか?
次回はそれを考えてみたいと思います。
