今日、私は代休を取って 1日お休みでした。
昨日の事件のこともあり、何とも言えない複雑な気分で過ごしました。

土曜日の夜、私は 「池田小の事件から(大阪教育大付属池田小学校に宅間守元死刑囚が(平成16年9月16日死刑執行)出刃包丁を持って侵入、児童らを執拗に追い回し、児童8名を殺害し、児童13名 教諭 2名に傷害を負わせた事件)から明日で8年だな ・・・」と考えたりして、音楽を聴きながらふとひとりで涙目になったりしていたのです。
翌日の日曜、あんな惨いことが起こるなど想像だにしていませんでした。
昨日の夜もまた、涙目になりながらニュースを見ていました。

ちょうどその少し前には、全日空61便ハイジャック事件(平成11年7月23日、西沢裕司(当時28歳 平成17年3月23日無期懲役が確定)が包丁を持ってコックピットに乱入し、機長を殺害し、およそ 6分間操縦桿を握り地上約200mまで急降下させるなどした事件)の記録を読んで、狂気に駆られた人間(信じ難いほど異常なまでに愚劣で軽薄であるという意味で用いています、心神喪失や心神耗弱という意味ではありません)の恐ろしさを考えていました。

もともと、事件史や犯罪録の類になるべく目を通すようにしており、ハイジャック事件を振り返ったのもその限りのことです。
陰惨な記録を読み、時にはその後数日間数週間に渡って知ったことを後悔するような時間を過ごすこともあります、が、できるだけ目を向けるべきものだと思っています。
日常生活のほんのすぐ先にどれほど危険で怖ろしい闇が広がっているのか、日常の平穏な生活が隣り合っている世界とは何なのか、安全に日々を送ることがどれほど幸運なことに過ぎないのか、そのような "目を背けたなるような事実" の記録だからです。
安全に日々を送ることがどれほど幸運なのか、と書きましたが、それは取りも直さず、被害に遭われた方がいかに不幸な不運に見舞われたかということに他なりません。私はいつも、被害者となられた方はそのほかの市民の身代わりにさせられたというように思えてならないのです。私であったかも知れないし、私が大切に思う誰かであったかも、尊敬する両親や祖父母であったかも知れない。
犯罪者への怒りはもちろんなのですが、被害に遭われた方を思う時、痛ましいと同時に申し訳ないような気持ちになります。感覚として、被害に遭われた方というより "犠牲者となられた方" というように捉えている部分があるのかも知れません。
我々は、起きてしまったことから、何かを学び次に繋げていかなければならないと思うのです。

人を傷付けたい、あるいは 殺(あや)めたいと強烈に渇望する者はきっとどこにでもいて、またそういう狂気は至るところで次々と生まれていると思います。
そのような理不尽な欲求を肯定する、あまりにも醜悪な人間というのが至るところにいて、幸運にもたまたま何かがブレーキになっていることはあっても、欲求を抱く本人がそれを抑えているのではないし、抑える必要性すら感じていないことだろうと思います。
社会はそのような人間をも、ひとつの潜在的な要素として否応なく抱えています。
私は、人間は本来、醜く歪なものだ考えています。
そういう人間が集まって形成される社会や世間もまた同様に、理不尽で不条理で不合理だと思います。
そして、それが社会の本質だと思います。
だからこそ、我々はそこを直視し必要な手立てを積極的に講じなくてはならないと思うのです。それは決して過酷なことではないと思います、むしろ人々にとってより優しく手厚い社会の在り方だと思います。

我々はこれまで、その都度大きな犠牲を払って、自身の社会を修正する機会を得て来ました。
今回もまた、被害者となった方々やご遺族となった方々に対して何かひとつでも報いるものを見つけなければならない、そう思います。

銃刀法の規制強化はそのひとつの答えになるのだろうか・・・などと考えていると、テレビの向こうのアナウンサーが大きな溜め息に続けて 「さっ、それでは、気分を変えて次の話題に参りましょうか。気分を変えていただくにはこの方々しかいませんっ 」・・・とそれまでとは打って変わった笑顔でスタジオのゲストを紹介を始めました。
気分を変える ? そんな必要はありません ・・・。
自分達が次の話題に進めたいだけでしょう ・・・。
何という偽善、何という失礼な振り。
いや、むしろここまでの流れを努めて断ち切ることこそ、この場を与る者として正しいのだろうか・・・。
とか、そんな些細なことにも悶々と思いを巡らせてしまいます。

息苦しいような、重苦しいような、腹立たしいような、あれもこれもが腹立たしいような、何だかずっとそんな気分でした。


命を奪われた方々のご冥福をお祈りし、大切な方を奪われた方々に心よりお悔やみ申し上げます。
入院しておられる方々にどうか、平穏な日々が戻りますように。