白金台の東京都庭園美術館で開催されている「世界を魅了したティファニー 1837-2007 The Jewels of TIFFANY」 を見てきました。
この企画展は、2006年に、ロンドン(ギルバート・コレクション)からスタートした世界巡回展です。

ティファニーの200年の歴史を考える時、約200点の作品数というのは必ずしも十分ではないため、どこか簡単な資料を読み飛ばすようなイメージではあるのですが、旧朝香宮邸の規模を考えると理想的な数だと思います。
ティファニー社の歴史はもちろん、服飾文化(特に宝飾品)の歴史を見ることができる企画展でした。
一切の妥協なく作り上げられたジェエリーが放つ圧倒的な美しさ。その美しさの眩しいこと言ったら・・・恋の矢

他方、今年の初旬に Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ティアラ展」や、2006年に今回と同じ東京都庭園美術館で開催された「アール・デコ ジュエリー展(副題は「ブルガリ展」でした)」、2005年に東京都美術館で開催された「アールデコ展」が、いずれももっと文化的背景を読み解かせるような展示を多く含んだものであって、それぞれなかなかによく練られた企画展であったのに比べると、今回の展示内容はやや単調で格調の高さはあまり感じられず、

"ティファニーショップにお買い物に来たついでにファインジュエリーも見ている"

という印象は拭えません。

そういった雰囲気は入館者にも自ずと伝わって行くもののようで、クリスマス時期のティファニーショップのように腰に手を回して顔を撫で合いながら引っ付いて離れない男女や、作品説明をお互いに大きな声で音読し合っては1人ずつ何か一言ずつ感想を述べないと気が済まない中年女性たち、訳知り顔で値段を予想しては根拠を語り出す女性たちとその様を誉めそやす男どもで溢れていました・・・。

私は美術館で言葉を発しながら鑑賞する人々が苦手で、順路に反してでも、なるべく人気(ひとけ)のないスペースを探しながら見て回るようにしています。
この日もそのように館内を回っていたら、スーツ姿で立つ監視員の男性から小さく「順路はこちらですが、大丈夫ですか?」と、好意的な調子で声をかけられました。
「とても混んでいるようなので、他を見せていただいてからまた…」と言い終えるのを制するように男性はこぼれるような笑顔で何度も頷きながら「そういうことでしたか」と穏かな苦笑いを受かべ、「わかります、どうぞごゆっくりお過ごし下さい」と仰いました。

庭園美術館の監視員の方は、どなたも非常に上品でご親切です。
以前も、何かの企画展の際、彼と2人で建物自体の窓枠の細工に見入っていたところ、監視員の女性がすすっと近付いて来られて、「ちょっとよろしいかしら。 **月**日から、建物だけをお見せする展覧会がございまして。その時にはお部屋の隅々までもっとよくご欄になれますから、ぜひいらして。」と小さな声で教えてくれたことがありました。
企画展の時は壁や窓をボードやクロスで覆ってしまうので、建物自体は当然見づらくなっています。私たちの様子を見て、わざわざそんな風に案内してくれるのでした。

こういう落ち着いた監視員の方が、庭園美術館の雰囲気にとてもよく合っていて、すてきだな~・・・ラブラブと訪れる度にそう思います。




ショップに寄ると、カードやカタログの他、限定ティファニーエコバッッグ(微妙でした・・・。)などが販売されていました。
私が惹かれた作品はカードになっておらず、今回は何も購入せず美術館を後にしました。


もう少し落ち着いた頃にもう一度見に来たいな…と思いながら敷地内を歩いていた時、彼が「また来るでしょ?」と言ったので、ちょっと驚きました。思わず、「また来るつもりなの??」と聞くと「 ・・俺はそのつもりでいるけど・・・。もう一回ゆっくり見たくない?」と。
同じことを感じるものなんだなー…なんて興味深く思いました。

外は、来る時には別にもっていたジャケットが必要な気温になっていました。
私たちはそれを着て、再び自転車に乗り帰途に着きました。

私たちの自転車はいわゆる"クロスバイク"です。
ヘルメットやグローブ、シューズなどを使用するロードバイクやマウンテンバイクに比べると、ごくカジュアルなものです(MTBやROADのような本気のアウトドアな装いでは、出先で入れるお店が制限されそうで・・・)。
自転車は電車と違って、移動する過程の景色が途切れることなく流れます。車と違って、2人だけど1人、1人だけど2人という心地よい時間を過ごせます。彼が定期的に振り返ったり、カーブの先で止まって待ってみたりしながら、後ろに私がいるかをこまめに確認するのが嬉しかったり・・・とそんな小さな幸せも付いてきます。
自転車でのお出かけのそういうところがとても好きです。


次は、ここに行こうと思っています。