体育の授業まえ、

トン子が、軽くスキップをしている。

影を観て、腕を広げたり、

祈ったり…。

 

チャイムの音

トン子が慌てて体育館に入る。

 

体育教師

女子は毎年創作ダンス発表会を

しています。準備をしてください。

クラスの女子は二つの班にわかれて。

 

トン子と瑠菜は、くじ引きで

別の班にわかれてしまう。

 

トン子たちのグループは、

演鶴子、オペラ女 あられ 他

 

瑠菜たちのグループは、

堅子、プン子、他。

 

トン子

リーダーやりたい人

 

誰も立候補しない。

 

トン子

じゃあ、じゃんけんで決める?

じゃんけんで、あられがリーダーに決まる、

 

各班は、体育の創作ダンス発表会の準備などを始める。

 

 

皆が色々な音楽をかけて、踊ったりして、

楽しく話し合っている 。

 

トン子 

尼寺の雨乞いダンスなんてどう? 

皆でシスターの格好して、

雨の神様に祈ったり踊ったりするの。

 

班員

笑笑 駄洒落?

 

演鶴子

怖い顔でみている

 

 

*****

 

翌日、リーダーのあられが、教室のすみで、

演鶴子に詰め寄られる。

 

演鶴子

あなた全然しきれてないじゃないの!!

真面目にやる気あるの ?

 

あられが泣き出す 

演鶴子が正しい

全部私が悪いの。

 

トン子 

そんなことはいわよ!! 

 

演鶴子

あなたは黙ってなさい !!

リーダーは、私がやってあげるから 

 

演鶴子が、リーダーになった。

 

トン子 

(心の中)

リーダーやりたかったのなら、

なぜ立候補しなかったんだろう。

 

それに、こういう創作ものって、

アイデアや発想が大事。

それって、遊びや雑談とか、

チームの雰囲気から

生まれてくるものなのにな。

 

演鶴子

ダンスのテーマは、

ビーナスの誕生なんかいいんじゃない。

私は中央で踊ってあげるからさ。

皆は波とか昆布になってくれるかな。

 

トン子

(心の中)

もう、私たちが何を言っても否定されるだけ。

操り人形になって耐えるしかない

 

トン子、(苦しそうに、胸に手を当てる。)

(心のなか)

なんだろ、なんか息が苦しい。

 

慌てて深呼吸する。

 

瑠菜

トン子?大丈夫?

 

トン子

う、うん。

 

謎の声

自分の鏡を奪われるなよ!!

 

トン子

 

 

*****

 

帰り道

 

 

瑠菜

うちらの班は、テーマが発狂なんだ。

 

トン子

へぇー

 

瑠菜

私バレエやってるじゃん。

だからピルエットやってよって。

ははは、ちょっと恥ずかしいけどね。

照れる

 

トン子

すごいじゃない!!

 

 

*****

 

翌日

 

担任

あられさんは、体調不良で入院しました。

皆さんも、体には気を付けるように

 

演鶴子

あられ、可哀想。

私お見舞いにいくわ。

 

オペラ女

演鶴子はやっぱり優しい。

 

プン子

(陶酔して)

偉いわ!!

 

トン子

そっとしておいて、あげましょうよ

 

演鶴子

あなたは、冷たいのね。

 

トン子

梟は、もともとパン屋の娘だった。

 

演鶴子

は?何よ??

 

 

*****

 

ある日の放課後

練習風景

 

瑠菜が花を配りながら踊る。

みごとなピルエットを、披露。

花を受け取った人たちは、

だんだん激しい踊りになり、

白い衣装を脱ぎ捨てる。

黒い衣装になり、白い仮面をつける。 

瑠菜も、最後に白い仮面をつけて。倒れる

 

堅子

いい感じ。あとは花を受けとる

タイミングを調整しよう。

 

トン子

あっちの班は楽しそうだな。

 

A組の班が、楽しそうに笑いながら、 

一本のロープを、みんなで持って、はしゃいでいる。

 

リーダー

じゃ、みんなで持ってこっちに走って!!

それから一人ずつ、離して両手を広げて踊る。

 

ははは!!

 

トン子

めっちゃ楽しそう!!

 

****(

 

休み時間

 

プン子

トン子たちがダンスの振り付けとか考えないから、

毎晩のように演鶴子が家で振り付けを考えて踊ったりで、

ろくに睡眠もとれてないよ!!

 

しかもあられのお見舞いに、私たち行ったのよ。

でも、面会謝絶だったのよね。

演鶴子、泣いてたわ。

 

トン子

窓の外を指差す

あの曇は、駱駝みたい

 

プン子

は?

 

トン子

いや、イタチかな?

 

プン子

ごまかさないで、この狂人が

 

トン子

目を見開いて

あーははははは

 

 

*****

 

 

ダンスの発表会当日。

トン子たちのダンスを瑠菜が見ている 

 

真ん中で、白い衣装の演鶴子。

見事な躍りで、皆を魅了する。

トン子たちは

青い衣装で、地べたを這いつくばっている。

 

瑠菜

(心の中 )

ああ、本物の狂人は、このビーナスかもしれない。

ボッティチェリもたまげるなこりゃ。

演鶴子のあの笑顔の仮面の下には、

氷のように冷たい何かが、

隠れているような気がする。

 

 

トン子供はA組の

囚われと解放というお題のダンスをながめる

 

(心の中)

やっぱりここのグループすごいなぁ。

ロープを使うという発想もすごいよね。

 

一本の長いロープを皆で持ち、

はじめは皆黒い衣装。

みんなの息を合わせて、

ロープが様々な 形になる。

最後にロープを一人ずつ手放して黒い衣装を脱ぐと、

皆違う色の衣装に変わる。

囚われから解放への表現はみごと。

 

トン子

(心の中)

人間は本来は自由なのに、

逃げ場などないという考えに

囚われているのかもしれない。

 

ダンス発表会が終わり、優秀作品が発表される。

 

優秀賞 E組 発狂

最優秀賞は、A組の囚われと解放

 

トン子 

やっぱりね。これ最優秀賞とるとおもってた。

発想がすごいしね。

皆楽しそうだったし

 

それにしても、瑠菜たちもすごいな。

堅子さんも上手くしきってた。

 

体育教師

うん、どのクラスもよく頑張ってたね

創作ダンスはね、

完成度も大事だけど、

みんなで参加したこと自体に意味があるからね。

結果にこだわりすぎなくていいよ

 

トン子

瑠菜の踊りさすがね。ピルエット綺麗だったわ。

やっぱり長年バレエの練習頑張ってきただけあるな。 

花を配るのは、オフィーリアをイメージしたのね。

 

瑠菜

少し照れる。 

まぁね。オフィーリアの発狂って、

なんというか何かに押し潰されて、

混乱の中の切ない心の叫び、みたいな感じだよね。

少しは表現できてたかな?

 

トン子

できてたよ!!混乱して、沈んでいく感じ!!

 

 

****

 

後日 

演鶴子

A組のあんな紐のダンスに、 そして瑠菜の発狂?

何がオフィーリアよ!!シェイクスピアよ!!

うちらが負けるなんて!! 皆どう思った? 

ひとりずつ感想をいって。

 

皆は、1人ずつ、ビーナスも発狂も、良かった、というようなことを述べる。

 

トン子 

囚われと解放 凄い!!発想がちがうよね。

よく、思い付いた!!皆、楽しそうだったしね。

 

シーンとなり、演鶴子がにらみつける

 

オペラ女

うちの班ダンスのほうが、綺麗だったよ。

あれは発表の順番がよくなかった。

我々はじめのほうだったからね

 

演鶴子 

そうだよね。運が、悪かったよの。

ビデオとってあるから、後でクラス皆で見ましょう

 

演鶴子 (クラス全体に向かって)

次の時間自習だから、ダンスの発表のビデオを大きいスクリーンで、

見れるように先生のお願いしたの。みんな視聴覚室、移動よ。

男子も見たい人はみにきて!!

 

トン子

(瑠菜のほうも、みながら。 )

私たちは次の時間小テストだからごめんね。

 

演鶴子が、睨み付ける。

トン子と瑠菜は、淡々とテストの勉強をはじめる

 

つられて、同じ授業をとってる人も何人かは勉強をはじめて、

教室に残ったが、

 

ほとんどの人か、演鶴子に従って、

鑑賞会に参加した。

 

演鶴子

(心の中)

何よ、トン子たちは!!

結局私が中心にならなきゃ

何もできないくせに!!

 

何が発想よ、

みんな楽しそうだったって。

それが何よ!!

 

瑠菜はちょっとバレエを習ってたからって、

それが何よ!!

 

夜も寝ないで

振り付け考えたのは誰よ!!

私が中心になって踊ったのが気に入らないの?

 

だって、当然でしょ、

私が一番綺麗で踊りがうまいんだから、

評価されて当然よ!!

なのに賞がとれなかった!!

 

みんな私を見てたわ!!

なのに

なぜか誰も私を見ていない気がする。

 

舞台の真ん中に立って、

照明を浴びて、

拍手を受けているのに。

 

あの子たちの視線は、

私を通り越して、

どこか別のところを見ていた気がする。

私じゃない、何かを

 

演鶴子は、携帯用の鏡をとりだして、

自分の顔を見る。

 

 

 

 

 

この物語はフィクションです。登場人物はすべて架空の人物です。

無断転載などは禁止します。

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登場人物