実際に行った場所って忘れないよね。
テレビに映ったりしたら、
「おお!ここ行った!」
なんて大人でもはしゃいじゃうし、
とても身近に感じる。
そう、インパクトが強ければ強いほど・・・
決して忘れることはない。
きっかけはカイの言葉だった。
「でもさ・・・テレビ消したら俺たちは普通の生活をするんだよな」
3年前、津波に飲み込まれる町の映像を見ながらボソッと言った。
この大惨事に何もできないもどかしさ。
テレビを見ながら大騒ぎしておきながら、
テレビを消したら、普通に話し、笑い、温かいご飯を食べるギャップ。
そんなギャップを彼なりに表現したんだろう。
じゃあそのギャップはどうしたら埋められるか、
行くしかないだろう。
その年の年末から年始にかけて、
車に大量の使い捨てカイロを積み込み被災地に入った。
被災地を元気づけるなんてうぬぼれちゃいない。
ボランティアに行くわけでも、多額の寄付ができるわけでもないんだから。
ただ、あの光景、あの空気感、出会った人たちとの話、
・・・絶対忘れない・・・
いや、忘れられない。
実際に行った場所は、もう他人事じゃないから。