中学生、またやってくれました。
8時半頃、家に帰るとカイの姿がなかった。
どうやら、部活が終わってから釣りに行ったようだ。
「雨の後の水門はスズキが釣れる!」
と前から俺がさんざん言ってたから、「暗くなる前に帰ってくる」と言い残し出かけて行ったきり帰ってこないらしい。
もう暗くなってから当分経ってる。
普段全く気にもしない俺らだけど、川だけに段々と心配になってきた。
9時を過ぎて、いいかげんジュンが探しに行った。
まだ見つからないので、俺も出て行った。
川岸を、最悪の事態も想像しながら探すこと数分、
川上からチャリで下りてきたカイに遭遇。
あ~・・・よかったぁ・・・とりあえず生きてた。
ジュンも呼び戻し、家に帰りこの時ばかりは声を荒げて厳重注意。
「夜はカイだけで行くな!そして遅くなる時は連絡しろ!」
さすがのカイも悪いと思ったのか、神妙な顔つきで謝っていた。
一段落して、遅い夕飯を食べている時にふと聞いてみた。
「で、釣れたのか?」
「釣れた!」
目に光が戻ったのがわかった。
「ボラか?」
「いや、スズキ。61センチ」
「マジで!!」
ここぞとばかりに話し始めた。
どうやら、やっぱり行った場所は水門。
最初はアタリもなかったけど、暗くなるちょっと前にスズキのライズが始まったからポッパーを投げた。
ピックアップする直前、すぐそこで巨大なスズキがものすごい勢いで水面を割って食ってきた!
が、あまりにすごい引きでラインブレイク。
ルアーをミノーに代えて少しすると、また強烈な引き!
も、足場が悪くランディングできずに再びラインブレイク。
ちゃんと引き上げられるような場所を探して、三度目の正直。
今度はキャッチし、近くでウナギを釣ってる人にメジャーを借りると、61センチ!
ここで冷静になり、まわりが真っ暗になってるのに気づいて慌てて帰ってきたようだ。
なんてことを、興奮しながら話すもんだから、こっちも怒ったことも忘れて聞きいっちゃった。
「でも、一匹目は本当にびっくりした!体全体が震えた。手が震えてルアーにラインを通せなかった」
・・・・わかる!わかるわぁ!!・・・・
そりゃあ帰ってこれんわ。
「だって『雨の後は水門で釣れる』って聞いてたけど、全然信じてなかったけぇ」
おい!親父の言うこと信じてないってどういうことだ!!
怒った時より大きな声を出しました。