毎年恒例の、松江にある割烹に三家族で行ってきた。
10年ほど前からお世話になってる店なんだけど、
本当は割烹だから子連れでなんて行けない。
それどころか、当時30歳そこそこの「若造」が
出入りするのも場違いな店。
また、大将が職人気質で、若い時は行くたびに説教されてたけど、
まぁ、刺身人一つにしても、何がこんなに違うんだろう?
と素人の俺にもわかるくらいスゴイ店。
そんな店だけど、なぜかかわいがってもらっている。
今回その店に予約する時、
大将 「今年は『カニ』にするか」
オレ 「ハ、ハイ…でも刺身やてんぷらも食べたい…」
大将 「あー、わかったわかった。任せておけ!」
オレ 「ハ、ハイ・・・」
・・・絶対に逆らえない・・・。
当然山陰ブランド「松葉ガニ」。
というのも、「カニって本当にうまいのか?」という疑問があった。
だって食べ放題のカニくらいしか知らないもん。
「カニ」イコール「高級品!」「値段が高い!」「そりゃあ旨いだろう!」
という固定観念と、殻をほじってちょっとずつしか食べられない
「ありがたみ」でカニを崇拝してるだけなんじゃないか?
どうなんだ?
と、まともにカニを食べたことがないひがみからもあり、
いい機会だからちょっと確かめてやれ!
と、ひねくれた思いで店を訪れた。
「飲み物は自分で持ってこい!」
と言われていたから、山ほど日本酒を持参。
おかみさんと娘さんに手土産を渡し、
大将に、部活の先輩にするような挨拶をして
瓶ビールで乾杯。
飲み終わらないうちにまず出てきたのが、
いきなり松葉の蒸しガニ4ハイ!
フィーバー!
みんな旨い旨い言いながら・・・・あ、言ってないわ。無言だった。
でも口が二つあったら絶対言ってた。・・・あ、言ってないわ。
二つあったら二つの口でカニ食ってるわ。
でも、そんな雰囲気を全開にして食べ始めた。
ちょっと遅れて・・・さて、どんなもんか食べてみるか。
殻から外して口に入れた。
「!!!!!!!!!!!!」
・・・あれ?やべっ・・・旨いわ!
メチャメチャ旨い!
遅れながらも全開参戦!
しかも「ミソ」がスゴイ!ウマイ!たっぷり!
うわっ!なんだこりゃ!
ほぼ無言で完食するとみんなでちょっと冷静になり、
激ウマのハマチの刺身を食べながら「大和伝」を飲みトーク。
そこへ、「ハイごめんよ」という声とともに、
七輪と生カニ4ハイ!
テーブルの上に置かれると同時に手が伸び網の上に。
と大将が一言、
「さっきまで生きてたから生で食べられるぞ」
七輪にカニを乗せるみんなの動きが止まり、
次の瞬間、一斉に殻をほじくり始めた。
「うめー!」「なんだこりゃ!」「信じられん!」
今度は歓喜の叫び・・・・の後は再び沈黙。
もう、カニで腹いっぱいという最高級に贅沢な気分を味わってると、
「甲羅をひっくり返して網の上に置いてみろ」
と大将が日本酒の一升瓶を持ってきて、甲羅の中に
トクトクトクトクトクトクトクトク・・・・・。
・・・なんという荒技!
温まったところで飲むと・・・
ハッハッハッハッハッ・・・
想像以上のものを食べたときって笑いしか出ない。
カニ酒と、てんぷら、カニの味噌汁、あとカイのリクエスト「てんかす入りおにぎり」。
もう食べれません・・・・。
超贅沢な苦しさで、大将とのトーク(説教)を楽しんだ後、
全身全霊のお礼を言って店を出た。
これだからやめられない。
さて、どうなんだ?
いったい俺が今まで食べてきたのって、なに?
すみません…カニって、うまいです…。