今から12年前、私たち家族3人はダンナが愛知での出稼ぎから帰ってきたのを機に、嫌な思い出を断ち切るため宮城を出る決意をしました。

「札幌、東京、大阪、神戸、福岡、沖縄。どこにする?」

「どうせなら日本の中心にしよう!」

そして始まった東京の物件探し。

我が家には当時若かりし頃のニャンコ、ケンシロウがいたので、ペット可物件限定。

そして車もあったので駐車場付きも条件に入れて探しました。






いやあ〜なかなか都内ではお高い‼️
カムイさんの保育料も考えるとアウトえーん

てな訳で、私が当時在籍してた大学のあるチーバの不動産屋を頼りに、改めて物件探し。

ん?橋一つ渡るだけで、
全然お値段安いでないか?


ペット可、屋内駐車場アリ、2DK。
さらに最上階角部屋、南向き、水道代込み!

「ここにします‼️」

1件内覧しただけで即決しましたグラサン








チーバでの新しい生活が始まり1年くらいした夏の終わりくらいでしょうか。

「ねぇ、せっかくペット可物件なんだし、ワンコも迎えない?」

私のこんな一言で、栃木県から迎えた子、
それがルークです。

{B35EC607-8597-4CBB-92CB-F8F7BCE8A690}

ルーク(1歳2ヶ月)


ルークはとても賢い子で、健康で、おとなしい1歳の成犬でした。

でも私が腑に落ちない点もありました。

なぜかというと、そんな子が「里親募集」の掲示板に載っていたからです。







「なぜ手放すのか理由を教えてください」
と、先方にメールしたら、

「理由はお教えできません」

そう返答されました。


でも譲渡条件には、「朝晩2回散歩に行くこと、ユーカヌバ(高級フード)を食べさせること」と記載してありました。

変なの〜‼️

そんな条件つけるなら、自分ちでずっと一緒に暮らしていけばいいのにプンプン💨





まあ、人様のお宅事情なので敢えて深くは追求しませんでした。









{7C704ADD-0A56-4381-87E8-18096E0D34F0}

(↑ルーク2歳、カムイ3歳)

保育園児だったカムイさんと。

栃木県の山の方で幼少期を過ごしたルークは、雪でも雨でもお散歩大好き!

この日は珍しく大雪が降った日でした。








カムイが翌年小学校入学、というタイミングで「そろそろ家、買わない?」という話になりました。

私の病気は双極性障害。


その躁状態の時に、ほぼ私の独断で、新築の戸建を購入することにしました

{7851BB22-749D-4B56-AC3F-430EC204BD33}

↑現在の我が家。



当時私たち夫婦は27歳。
ダンナも新しい職場で勤続3年を越えたタイミングです。

頭金無し、ボーナス払い無し、固定金利で35年ローンを組み、小さいながらも自分たちのお城を手に入れました。

「最近の会社は65歳まで働くこと出来るから、年金暮らしなる頃には家賃の心配ないね」

私は躁状態でも、そういうとこはちゃんと頭で考えることが出来ました。








玄関も広くなり、ルークものびのび。

リビングから「ルーク〜」と呼ぶと、ダダダダとリビングに来て、少しゆっくりしてからまた自分の『部屋』玄関に戻る。

散歩が大好きな彼は、
「さ!」

と言うだけで玄関のドア前にお座りしてスタンバイ。ちゃんと言葉を理解していました。













そんな年月が数年経ち、私はある事情から猫のケンシロウと、フェレットのてんてを連れて東京に住むことになります。

本当ならルークも連れて行きたかったのですが、私の住む部屋は「小型犬または猫2匹」という条件でしたので、ボーダーコリーのルークは体の大きさを理由に泣く泣くダンナに託しました。





でも、心の中は心配で心配で…。


私は事あるごとにダンナに電話する度「もしもし?」の代わりに「ルーク元気?」とばかり聞いていました。

「ルーク元気?」
「元気だよ」

それがいつのまにか、
私たち夫婦の合言葉になっていました。









異変に気付いたのは私が本宅に帰っていた時。

いつもの様にルークをブラッシングして、ナデナデして、口の周りを触ってみると、

ん?なんだこの、ピンクの
カリフラワーみたいなの?

右側の唇に、変なデキモノがありました。

「これ、病院連れて行って診てもらって」
「うん、わかった。なんだろね?」

そして私が東京に戻り、数日後にルークは手術を受けてそのピンクのデキモノを取ってもらいました。

さらにはそれの正体を明らかにする為、他県にある病理検査の施設に送り、結果を待っていました。

{32892C06-56D2-4EE0-A7D6-93FD184544CA}

エリカをしても、「僕は大丈夫だよ」て顔。






1週間くらいでしょうか。

悪性腫瘍。
そのように断定的な文章が届きました。

正直、ビックリしました。
ずっと健康で9年暮らしていたのに、ガン?

とても信じられなくて、私はセカンドオピニオンという形で、東京組の子たちがお世話になっている病院に書類を見てもらいました。


獣医さんの顔が一瞬で曇りました。



「ガンの中でも特にタチの悪いやつです。これになると1年もつかどうか…」








それから、私たちの戦いは始まりました。

正直言って、当時のダンナの収入は決して高くありませんでした。さらには私の収入も加わってない中での生活。

彼は私に心配かけまいと、ルークの治療費として50万借り入れ、3日に1回、病院に通い続けました。





抗がん剤治療は選択肢から外しました。

ボーダーコリーの平均寿命は10〜13歳と聞いていたので、既に10歳になっていたルークには負担が大き過ぎるという判断からです。

なので免疫力を高める処置に徹しました。

ごはんも食いつき重視に変え、普段飲んでいる水もお店で売っているようなものにしました。







しかし神さまは非情でした。

あんなに散歩大好きなルークが、すぐに息切れしてヘタリ込むことが多くなりました。

まさかと思い、胸部レントゲンを撮ってもらうと、「肺に転移しています」

ガンが、転移していました。







それでもルークは散歩に行き続けました。
あの子なりの、
「僕は大丈夫だよ!」

そういうアピールだったのかもしれません。






その頃の私は、都内で殺処分されるとこだったポアロさんや、道端で飛べなくなっていた迷子の伝書鳩コロン、山が伐採され弱っているとこを知人経由で保護した野ウサギのししまる、

このような子たちをお世話していたのでなかなかルークには会いに行けませんでした。







一昨年の9月。
今でもハッキリと覚えています。

毎日毎日、どんよりした雲が空を覆っていました。私の心にも。

そして9月20日、私は都内の総合病院のICUに緊急搬送され、転院先が見つかるまでの1週間、ただひたすらトイレとベッドの往復だけの生活を強いられました。

私もダンナに心配かけまいと、アンナの飼い主だったSちゃんに身元保証人になってもらい、私のお世話していた子たちのことも託し、住み込みで引き受けてもらいました。






9月24日。
Sちゃんが面会時間にそっと私のiPhoneを持ってきてくれました。

「ダンナさんから4回、昨夜着信あったよ」

一瞬で悟りました。

でも(単なる勘違いかもしれない。うん!)そう自分を鼓舞して、ダンナにLINE送りました。




「ルーク、元気?」



ダンナは私と連絡ついたことに安堵していました。でも次に届いたメッセは、


「ルーク、昨夜、死んだよ」


ブワッと涙が出てきました。
涙のダムが決壊して、どうにもやるせない気持ちでいっぱいになりました。

自分は転院先が決まるまでICUから出れない。

だから、私はあの子の最期を看取るどころか、空に昇っていく時も立ち会えない。




通話はさすがに出来ませんが、LINEのやり取りでどのような状態かは知ることが出来ました。

日に日に呼吸が荒くなってきたこと。

それでも毎日散歩に行ってきたこと。

3日に1回の通院を続けていたけど、昨日病院行った時に今日がヤマかも、と言われたこと。




ルークの最期は、長座布団に横たわりながら苦しそうに肩で息をし続けていて、ハッとしたように大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出すと共に魂が抜けるように、旅立ったそうです。





アニマルズの最期て、不思議なもんです。

私が今まで看取ることが出来た子たちも、みんな深呼吸するかのように息をして、ふーって吐き出すと共に魂も抜けていく感じ。





ルークの死因は、
ガンの肺転移による呼吸不全、てとこでしょうか。

このタイトルにあるように、呼吸不全という苦しい亡くなり方をするくらいなら、安楽死させた方が…、

そう考える方もいらっしゃるでしょう。

でも彼は、亡くなる前日まで大好きな散歩をしていました。ヨタヨタなりながらも。

そんな彼に対して安楽死なんて、とてもじゃないけど私たち家族は選択肢には入れられませんでした。




  


ルーク。おまえはさ、凄く優しくて、おおらかで、賢い子だったね。
たまたま黒くて、ここらへんでは大きいワンコの部類に入る、というだけでみんなから怖がられてなあ。
夜散歩してると通行人は寄ってくるどころか、道すれすれまで離れて。
小さいお友だちが散歩してても「近づいちゃダメ!」て飼い主さんに言われて犬友、ずっと出来なかったね。
{9C4A271D-60FA-416E-9CE7-3D5662B0BF2B}

(ルーク。享年10歳)

私さあ、ルークのこの笑ってる顔、大好きなんだよ。だからね、今持ち歩いてる名刺にも、おまえのこの笑ってる顔、使わせてもらってるよ。
この間私が頭強打して意識朦朧となってる時、笑いながら出てきてくれたね。
「藍ちゃんまだ早いよ〜」て。
隣にいた黒いラブラドールは、ラブちゃんかな?姉さん女房だね。 
すっごく幸せそうで安心した!
虹の橋の上で、2人寄り添って見守ってね。


私の戦いが終わったら、一番体の大きいおまえがソリ引いて迎えに来てね。
そしたら私は、迷うことなくおまえがひいてきてくれたソリに乗り込むから。
それまで寂しいけど、私も頑張るからね。
愛してるよ、ルーク。








❤︎LOVE you forever❤︎


☆Fly again☆