TOMのひまだれ草
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雅な世界のエロポルノ

NHKの大河ドラマ『光る君へ』を息子と一緒に毎週見ている。

なんでだろうね。

一度見始まると止めるのがもったいなくなるのだよ。

人間心理ってヤツだね。

 

どなたもご存知のことではあるけれど、今回は紫式部が主人公。

つまり『源氏物語』ってことだね。

 

しかしながら、もうすぐ終了になるのだが、最後まで『源氏物語』そのものがほとんど表に出てくることはなかった。

まひろ(紫式部)が執筆しているシーンはあれど、それがどういう物語なのか視聴者にわかるような解説をほとんどしてくれなかったのだ。


それはなぜなのか。

実はこういう大人の事情が隠されていたのだ。

 

九月の半ば頃のこと。

時の一条天皇は先妻(中宮定子)を亡くしたばかり。

藤原道長はここぞとばかりに自分の娘を強引に後妻にねじ込むのだが、

一条帝の先妻恋しい病は重症で、後妻に手を付けようとはしない。

 

しかもここで清少納言の『枕草子』が発表される。

これには生前の先妻の宮中の様子がイキイキと描かれていて、

病はさらに重くなるばかり。

 

実は先妻は生前に帝の男子を出産していたので、

このままでは道長は権力を手に出来ない。

 

焦った道長は紫式部に対して、

帝の心が後妻に向かうような物語を書けと命じ

書かれたのが『源氏物語』という話。

 

さて、俺は以前

阿刀田高『源氏物語を知っていますか』という本を読んだ。

源氏物語とはどういうものなのかを、面白おかしく解説した本である。

 

これによると、光源氏初め出てくる男どものほとんど全てが

【俺の下半身に人格はない!】ヤツラばかり。

イイ女と見ればもう、見境なく口説くくどく。

そしてこます。

独身人妻関係ナシ。二股三股当たり前。

女たちもそれを承知の上で簡単にパカパカと股を開くし。

まさに性獣たちの狂宴。

 

つまり源氏物語というのは、

雅な世界を舞台にして書かれたエロポルノなわけである。

 

さすがのNHKも、

こういうことを番組中で解説は出来んよな~と

妙に納得した次第。大人の事情である。

 

さて、話を元に戻すと

一条帝はまだ若く健康な一人前の男子。

なのに長い間禁欲生活を送ってきた。

溜まりに溜まってたんじゃないだろうか。

 

そこにこんなエロポルノを読まされたらどうなるか!

現代の若者がネットでAVを見るようなもの。

もう、ムラムラしちゃって止まらない~♪

状態だったのは想像に難くない。

 

かくして一条帝はムラムラに負けてしまって

令和6年9月15日午後8時40分ごろ、

NHKのセットスタジオの中において

めでたく後妻にお手付きとなったわけである。

 

そうとう濃かったに違いない。

ドラマでは一発必中で無事に男子を出産している。

 

世界の文学史上に燦然と輝く金字塔『源氏物語』

それが実は時の最高権力者をムラムラビンビンさせるために書かれたというこの珍説、

信じるかどうかはあなた次第。

 

ちなみに本日の「光る君へ」は

紫式部が旅に出るという設定になっていた。

そして二十歳になる娘に『源氏物語』を手渡して

 

「旅から戻ったら感想を聞かせておくれ」

「わかりました」

 

てな会話が交わされていたが、

感想なんて当然

「なんじゃ、このエロポルノは!」

という以外にないだろうね(笑)

 

それにしても、

いい年こいた中年女がエロポルノを書いて

それをまだウブな若い自分の娘に読ませて感想を聞かせろとか

一体何を考えているのでしょう。

 

どうしたもんか

たった今急に、
パソコンからブログを書こうとしても書けなくなった。

「お使いのブラウザはサポートされておりません」

とかいうメッセージが表示されて
そこから先はウンともスンとも言わなくなった。

これは携帯から書いてるんだけど、
俺の長文ブログじゃ
携帯からなど絶対に不可能だからね。

これにどう対処すればいいのか
皆目見当もつかないや。
自然に回復すればいいけど、
そうじゃなきゃもう投稿は出来なくなるのかな。

ブログネタもなくなったことだし、
もうアメーバにはさほど未練はないんだけど、
ま、もうしばらく待ってみるべ。

1ダースの殺意

【乱歩賞でも直木賞でもないシリーズ】第5弾

日本推理作家協会編『ミステリー傑作選・特別編1 1ダースの殺意』



毎度お馴染みのミステリー傑作選シリーズ。
このシリーズはもう40冊ぐらい読んでいるので
これも全制覇の対象にしようかなとも思っている。
ただまあ、まだまだ先は長いけどね。

これがはずいぶん古いミステリー。
全部で12編の作品の中には
なんと小松左京のSF『夢からの脱走』と
ギリシャ神話のオリンポスの神々を題材にとった
山村正夫『疫病』というファンタジーまである。

どこがミステリーやねんって感じなのだが
昔のジャンル分けはおおらかだったのかな。

ところが一番面白かったのがこの『疫病』だった。
美と愛の女神・アフロディーテから
彼女の石像の作成を命じられた彫刻家が、
しかしキューピッドの矢に当たって街の娼婦に恋をし、
その娼婦の石像を作ってしまったことから
神々の怒りを買って…、みたいな話。

それなりに本格的で
実際のギリシャ神話の中に収められても
おかしくない内容に仕上がっている。
読み始めはかなり違和感があったけどね。

他に印象的だったのは
結城昌治『六年目の真実』
娘の顔が自分にも妻にも似ていない。
もしや妻の不貞があって
自分の娘ではないのではないか…
という疑惑に悩む夫だったが
ラストでいきなり笑ってしまった。
なるほどねえ、そういうのはアリかな。

全体を通した印象は
マジなミステリー集というよりも
ミステリーテイストを加味した短編集って感じかな。

古いことは古いが、悪くはないね。

【評価:A】

次は
第30回江戸川乱歩賞(昭和59年度)
鳥井加南子『天女の末裔』

あかね空

【乱歩賞&直木賞祭】第22弾

第126回直木賞(平成13年/2001年下半期)
山本一力『あかね空』


久々にネタバレばんばん。

京都で修業した豆腐職人が
江戸に出てきて長屋の片隅から商売を始め
様々な苦労を重ねながら
成功を夢見て一生懸命に努力していくというストーリー。

初めのうちはうまくいかない。
京都と江戸では好まれる味が違うのだ。
それでも永吉は愚直なまでに京都風の味にこだわり続ける。

長屋にはそんな永吉を
なにくれと応援してくれる桶職人一家がいた。
そしてその一人娘のおふみが永吉のところへ嫁ぐ。
このおふみも永吉に惚れていて骨惜しみなく働き
朴訥で一本気な永吉を支え
その明るいキャラで得意先の開拓なども熱心に行う。

二人三脚での悪戦苦闘が続くが、
おふみの努力も実って
永吉の豆腐の味を認めてくれる
大口の得意先がボチボチとつき始め
少しずつ軌道に乗ってくる。
やがて男、男、女と三人の子宝にも恵まれ…。

とまあ、ここまでがこの本の明るく前向きな部分。
これが小説である以上
最初から最後まで順風満帆な物語であるわけがない。

ここからこの一家に試練が襲いかかる。
それがどういう試練なのかによって
この作品の質とか面白さとかが決まってくる。

通常、この手の試練と言えば
ご近所トラブル、
家族間の商売に関する考え方の違い、
思いがけないアクシデント(事故で材料が手に入らないなど)、
飢饉などの天災、
善良な同業者との品質競争、
悪質な同業者の妨害、
といったあたりが考えられる。
他にもプロ作家のイマジネーションで
様々な事柄が考えられるだろう。

そういう要素をいかにドラマチックに創作していくかが
作者の腕の見せ所ではないかと思う。

で、本書ではどういう試練が描かれているかというと
詳しい説明は省くが、
ちょっとこれが首をかしげざるを得ないものなのだ。

永吉の妻のおふみが極端な長男教に嵌ってしまう。
「ムチュコタン(長男のみ)大チュキ~♪」状態に陥り
とんでもない依怙贔屓を日常的にやらかし、
それと反比例して二男と長女には冷淡に接する。
それを注意する永吉には食ってかかる。

まるで常軌を逸した変わりようで
前半部のおふみとは別人のようなキャラ崩壊を起こす。
一応、本文の中でその理由の説明はされているのだが
俺にはとても納得できないような理由づけだった。

ベロベロに甘やかされた長男がまともに育つはずもなく
家の金を持ち出していいように散財する。
それでもおふみはかばうので
永吉はしばらく気がつかなかった。

二人の息子がある程度の年齢に達したので
彼らを豆腐屋として修業させるのだが
長男は次男に辛い作業ばかりさせて自分は楽ばかりする。

そういう長男に危惧を感じた永吉は
長男を他所に奉公に出すことを決める。
それに食ってかかるおふみだったが永吉はガンとして聞かない。

するとおふみは家事全般を長女に押しつけて
朝から晩まで長男の奉公現場でその姿を見つめている
といった具合。

数年後、一応性根を入れ替えたと判断し
永吉は長男を家に戻し
長男もそれなりの態度を示していた。

やがて貸店舗だった店を買わないかという話がでて
蓄えも十分と判断しOKした永吉だったが
その蓄えが実は長男のバクチ癖で全て消え失せており、
しかもおふみはそれを知っていて
永吉にも知らんふりをしていたことが発覚。

怒り心頭に達した永吉は長男を叩きだすが
その夜、永吉は脳溢血で他界。
するとおふみはすぐさま長男を家に引き入れて
二男と長女に長男が跡取りだと宣言する。
店は実質二男と長女が切り盛りしていたのにも関わらずである。

二男が嫁取りするとおふみは嫁イビリ。
この嫁は店の得意先の娘であり、
娘自身も嫁の親も
二男の人柄や豆腐屋としての腕を認めているのだが
それでもおふみは、
やがて長男が嫁取りをして子供を産むんだから
お前は生んではいけないなどと嫁に言ったりする。

やがておふみも心臓を患って他界する。
長男は、自分の奉公先の人間を連れてきて
葬儀一切を仕切り、次男も長女もつんぼ桟敷。

その直後、長男のバクチの借金を返せと
乗っ取り屋が乗りこんできて店が乗っ取られようとし…。

全400ページのうち
永吉おふみ夫妻を応援したくなる部分は180ページまで。
のこり220ページは全て胸糞展開なのだ。

この作者、なんでこんなストーリーにしてしまったのか。
おふみの狂いっぷりが胸糞過ぎて後味最悪である。
(長男はおふみの犠牲者であるから同情の余地はあるけれども)

ラストのほうにちょこっと、
おふみにもいいところもあったんだよ
ってな記述があるけど、
それまでがあまりにも胸糞展開だから
だから何だよとしか思えなかった。

こんなのが家族の絆とか人情物とか
そう言いたいなら俺はご免こうむりたい。

ラストはとりあえず大団円ではあるのだが
永吉が非業の中で亡くなった後ではそんなもの何の意味もない。
とにかく永吉が不憫でならない。

残された中の一人は
今頃あの二人はあの世で仲良く暮らしてるなんて言ってたけど、
俺には到底そうは思えない。

こんな話にするくらいなら、
俺が上に書いたような
ありふれた試練をドラマチックに描いたほうが
ずっとよかったんじゃないかと思う。

解説を読むとこの作者はバツ2だそうで
現在の妻は三番目なのだそうな。
バツの理由は、
学歴詐称、年齢詐称、女だそうである。
父親も似たような人間だったようだ。

それを念頭に入れてこの本を読むと、
エゴ丸出しで家族に甘えても
家族はそれに誠実に応えるべき(要するに甘やかし)
それが絆だと言いたいんじゃないかと思う。
実に自分に都合の良い、自己中の典型的なタイプ。

これは作者の人生観や人間性が
顕わになった作品のような気がする。

【評価:B】

ここんとこずっと
直木賞作品はいいのを連続で読んできたし、
この作品もタイトルや雰囲気から期待してたのだが残念だった。

次は
第30回江戸川乱歩賞(昭和59年度)
鳥井加南子『天使の末裔』

破線のマリス

【乱歩賞&直木賞祭】第21弾

第43回江戸川乱歩賞(平成9年度)
野沢尚『破線のマリス』



破線とはブラウン管を構成している走査線のことで
マリスとは報道の送り手側の意図的な作為または悪意のこと。

つまり「破線のマリス」とは
テレビ番組制作者の意図的な(悪意のある)捏造、歪曲、ヤラセ
などのことらしい。

これをさらに敷衍すると、
やれ視聴率だの己の個人的な名声などのためなら
無力な一般人の人生など
ムチャクチャにしてもかまわないといった
テレビ業界の傲慢さやクズっぷりを
あてこすったという意味もあるのかもしれない。

その象徴が女主人公の瑤子。
これがまたどうしようもないクズキャラ。
もちろん彼女を取り巻く回りの男どもも
揃ってクズばかりなのだが。

瑤子は主に報道番組のVTRテープを作成する担当者。
これがかなりエグい内容のものばかり。

やらせギリギリ、
というより完全なやらせでVTRを作成する。
そしてその中で、何の証拠もないのに
ある人物が犯人であると言わんばかりの主張をする。

しかし、あくまで視聴者が勝手にそう思いこむという
いわば誤誘導するような手法で作成しているので
仮に抗議がきても言い逃れできるという仕組みになっている。

これで人生メチャクチャにされた男が
瑤子へのストーカーとなり
それが犯罪への呼び水になっていく。

この本、文章とかテレビ局内部の実態とかに関しては
なかなかいいのだが、
ストーリーそのものに無理があるし
細かな部分でもヘンなところが多い。

瑤子の行動、というか思考そのものが変すぎる。
精神的に壊れてるんじゃないか?
と思えるほど後半は異様な行動が目立つのだ。
結局それが自滅への道になっていく。

テレビ業界の異常っぷりを描いた、というよりも、
このプロットそのものがおかしいんだと思う。
(そもそもこれは殺人ではなくて傷害致死だと思うし)
終わり方もまたヘンに臭くてウンザリ感が漂う。

野沢尚といえば
テレビの脚本家として最有名な人物の一人。
作家としてはこれがデビュー作だが
この後何冊かを出版しやがて自殺したのは有名な話。

野沢作品は5~6冊読んだけれど、
どれもこれもあまり好みではない。
BかC評価ばかり。
上にも書いたが、
どの作品にもどこかピント外れの臭さが匂うのだ。

俺はもともと脚本家出身の作家の作品は好きじゃなかった。
人情物とかならまだしも、
ミステリーとかシリアスものと
わかりやすくて甘っちょろいテレビドラマの脚本とは
相容れないような気がする。

ここんとこずっと、
直木賞にしろ乱歩賞にしろ、再読しては
初読の時より評価の上がった作品ばかりだったのだが
これはそうならなかった。
残念だね。

【評価:B】

次は
第126回直木賞(平成13年/2001年下半期)
山本一力『あかね空』

アレの話

俺の仕事は遅番固定なので
16時から毎日の勤務が始まる。
そして早番の連中と入れ替わる。

ただし全員が同時に入れ替わるのではなく
16時、16時半、17時ぐらいの間に
ポツポツと交替していく

で、この早番の連中の中にOさんって熟女がいる。
確か俺と同じぐらいの年で十分な熟熟女なのだが
見た目も性格もすごく若い。

いつもニコニコしていて天然丸出しの明るいオバサンである。
裏声みたいな声を出し、
話し方はいつも語尾に「♪」がつくような感じ。

でまあ、俺ともけっこう仲が良い。
お互い下らぬ冗談を言いあいケラケラ笑ってからサヨナラになる。

で、先日のこと。
普段の彼女は17時までで
俺といつも1時間の被り時間があるのだが
その日は俺が来ると同時ぐらいに帰ろうとした。

「それじゃね~♪」
「あれ? もう帰るん?」
「そうよ~♪ 今日は早出だからもう終わりなのよ~♪」
「なんだ~、あと一時間ぐらいいればいいのに~」

なんて軽口を叩き合う。
すると彼女は
「今日はもう終わりだけど、明日からまた…」

年よりになると誰でもそうだと思うのだが
誰かと会話してると
ごく普通の単語を度忘れすることがある。

普段から普通に使ってるはずなのに
なんでこんな簡単な言葉が出てこないんだ?!
ってビックリするような単純な単語だったりする。
彼女がちょうどそれに嵌ったようだった。

しかし、日本語はさすがに奇跡の言語である。
度忘れした単語が例え如何なるものであっても
その全てに代替の効く奇跡の単語が存在するのだ。
まるであらゆる病気に効力のある万金丹のような単語である。

彼女はこう言った。
「今日はもう終わりだけど、明日からまたアレだからさ♪」

ここで彼女が「通常勤務」と言いたかったってことは
俺だって100%わかっている。

だけどねえ、こういう風に言われると
俺はこんな風に返さないではいられない性格なのだよ。
きっと病気なんだと思う(笑)

俺はこう返した。
「え~、明日からまたアレなの?!」
俺はことさらに驚いてみせた。

「そっか~、明日からまたアレなんだ~。俺、今ちょっとドキドキしてるわ♪」
自分でも意味不明なわけわからん返しをしてみた。

すると彼女はうろたえて
「違うってバ!」
とか言いながら俺の左上腕二頭筋を拳でぶった。

「そうじゃなくって! ほら、ほら、え~と、ほら、アレよ…じゃなくって、ほら…」
俺はもう可笑しくってしょうがない(笑)

やがて彼女は度忘れした単語を思い出す努力を放棄した。
「明日からまたいつもと同じ時間♪」
そう言うと笑いながら人差し指を立てた。

「あ、通常勤務ね」
「そうそう、それよ♪ まったくもう!」
また同じところをぶたれた(笑)

そして「じゃね~♪」
と言いながら帰っていった。
いやはや、笑わせていただきました。

それにしても、
「違うってバ!」
ってのは何と違うのか是非聞いてみたいもんだね(笑)


♪みんなはあれについて 今 考えてる

ハンサムな君と美しい君が
今ここで結ばれようとしています
一緒に温かく
二人を祝福してやってください
みなさんで拍手を

大切にしたいって言ってたじゃない
大切にしたいって言ってたじゃない

春が来て 夏も来て
みんな あれについて考えてる
秋が来て 冬も来て
みんな あれについて考えてる

    あれの歌 by FLYING KIDS

対岸の彼女

【乱歩賞&直木賞祭】第20弾

第132回直木賞(平成16年/2004年下半期)
角田光代『対岸の彼女』



この本もずっと前に読んだんだけど、
全くストーリーを覚えていない。

せいぜいで、
女子高生二人が泊まりがけのアルバイトをした
ということぐらい。

だからほぼ初読み状態で読んだんだけど、
いや~これもなかなかいい内容だったな。

乱歩賞直木賞祭を始めてから
特に直木賞に関して
前に読んだ時よりも評価の上がってる作品が多い。

恋、女たちのジハード、鉄道員、受け月、
帰郷、恋忘れ草、そしてこの対岸の彼女。

どれも地味だが(恋と女たち…は違うけど)
しみじみいい作品だったんだなあと改めて思う。

ここで何度も書いてるけど、
以前は目標年間240冊なんて言って
とにかくスピードだけを求めた読書をしてた。

しかし、三日で二冊なんてペースで
その内容まで理解するなんて
まず出来ることじゃないんだよな。

今回「祭」を始めたのは正解だった。
その良さを改めて知ることの出来る作品が
まだまだたくさん出てきて欲しいね。

というわけで本書。
三十代中盤の女二人の話。
章か変わるたびに片方が主人公になる。
ただし、一人(小夜子)は現在の、
もう一人(葵)は過去の話。

小夜子の章では葵が主要登場人物であるが
葵の章に小夜子は出てこない。
全く別の女子高生が出てくる。
この設定はかなり珍しいと思う。

テーマは、なんなんだろうな。
うまく言い表せないね。

女の友情、なのかな。
中高生の頃は
一緒にトイレに行ったり弁当を食べたり
そういう付き合いをしないと
すぐにイジメられたり無視されたり、
そういう恐怖があるから仲良しゴッコをする。

そしてそれは大人になっても形を変えながら続く。
職場でもママ友の間でも、
誰かの悪口を言い合いながら
でも誰かが席を立った途端にその人の悪口が始まる。

そういう種々雑多な煩わしい人間関係の中で
ごくたまにもっと中身のある関係に出会えることがある。

女子高時代の葵とナナコ、現在の小夜子と葵。
片方はある事件が発生し、もう片方は亀裂が生じ、
どちらも別離となる。

片方は今でも音信不通。
もう片方は再構築する。

この再構築の場面は読んでいてホッとした。
こうなればいいなというその通りになったからね。
予定調和ってヤツだけど
でもじんわりといい感じ。

再構築の場面で
小夜子は女子高時代に葵とナナコがやり取りしていた手紙を見つける。
それを読んだ後で
ちょっと放心したように空想する。

川の向こうに女子高生の葵とナナコがいる。
こちら岸にはもちろん女子高時代の小夜子。

向こう岸の二人は大きく手を振りながら何か叫んでいる。
小夜子には聞こえないので耳をすます。

すると向こう岸の二人は少し離れた橋を指差して
それに向かって走り出す。
小夜子も走る。
あれを渡れば二人に会えるのだと。
印象に残った場面だった。

ナナコは今でも音信不通。
今は何をしてるんだろう。

葵はずっとそれを考え続け
小夜子もこれからそれを思うことになるだろう。
そして読者もまた
この三人を引き合わせてみたいと思う。

ニセモノの友情は
男よりも女のほうがずっと厄介だけど
本物の友情は男も女も同じぐらい真実だと思う。

なんてね、少し大げさに書きすぎたたな。
でもま、後味のいい作品であることは間違いない。

【評価:A】

ここんとこいい作品が多くて
あれもこれもみんなSランクになりそうなので
ちょっと辛めにAランクにしてみた。
採点するほうも辛いんだよね。

次は
第43回江戸川乱歩賞(平成9年度)
野沢尚『破線のマリス』

蟻の木の下で

【乱歩賞&直木賞祭】第19弾

第10回江戸川乱歩賞(昭和39年度)
西東登『蟻の木の下で』



昭和39年といえば
前回の東京オリンピックがあった年(笑)
いや~古いね。

別の言い方をすれば戦後19年。
戦争の影ががまだまだ社会全般を覆っていた。
そんな時代の話である。

で、そういう時代によくあった
ミステリーの典型的なプロットの一つに

『戦争中、軍隊に極悪非道の上官がいて
こいつが現地の罪もない一般住民に対して
ろくでもない戦争犯罪をやらかし
主人公等を脅迫して口止めをしたが
戦後数年して偶然に再会し
相変わらず非道なことをやっていて
それが殺人などの凶悪事件の発端になる』

というのがある。
本書はそういう話である。

まあ、この上官ってのの胸糞悪いこと。
ま、わざとそういう風に書くわけだが、
やっぱり胸糞悪いわな。

発端は、動物園の熊の檻の前で
いかにも熊の爪で殴り殺されたかのような
死体が転がっていたというもの。

その死体をたまたま見ていた週刊誌記者が
その死体の知人と知り合い、
その人物の話によって軍隊時代の胸糞経験を聞くに至る。

さらにカメラの輸出入のゴタゴタが発生した会社が出てきて
そこの幹部にその胸糞男がいることも発見。

さらにさらに、そこに新興宗教が絡んできて
その胸糞男がそこの新幹部に抜擢されたことを知る。

そして第二、第三の殺人事件が発生し
さらに第四第五第六の(省略)

古い時代の作品にしては
けっこうたくさんの要素が絡み合って珍しく複雑である。
まあ、たいした複雑さではないんだが。

以下はネタバラシになるが別にかまわないだろう。
この胸糞男が殺人犯ではないかという容疑が
非常に濃いままストーリーは進む。

しかし、最後に第七の殺人事件が発生して
その時に意外な真犯人が姿を現す。
さらに第八の殺人、第九番目に自殺者がでて事件は終了する。

考えてみればずいぶん死んでるんだな。
軍隊時代の殺人まで含めればさらに増えるし。

この作品、やっぱ古いだけあって
プロットにたくさんの瑕疵がある。
矛盾点や強引な論理や無理筋の展開など。

殺人犯が拘置所から家族に手紙を出すのだが
それが事件の重要な内容であり
さらに自殺を匂わせるような記述があるが
それを刑務所は無検閲で許可するのか?

さらに正体不明の人物の食糧の差しいれを
刑務所は無検査で殺人事件の容疑者に食わせるのか?
結果、毒が仕込んであって容疑者は死ぬのだが。

他にもおかしな点はいくつかあるのだが、
まあそういうのが許された時代だったってことかな。
50年以上前の作品の重箱の隅を突いても仕方ないわな。

ところでこのタイトル。
これを見て、もしかしたらこういう話かなあ
と思ったらそういう話だった(笑)
もうちょっとタイトルに工夫があったらよかったね。

この作品の一番のウリというかセールスポイントは
意外な犯人と、このタイトルなのだ。

東南アジアのジャングルの奥地にある
ある木に関わるおぞましい出来事。
なんて書けばなんとなくわかるかな。

実際にこういう木はあるんだろうか。
それがとても気になるわ。

内容そのものはBだけど、
この2つのウリが点数を稼いだね。

【評価:A】

次は
第132回直木賞(平成16年/2004年下半期)
角田光代『対岸の彼女』

恋忘れ草

【乱歩賞&直木賞祭】第18弾

第109回直木賞(1993年上半期)
北原亞以子『恋忘れ草』



全六編の短編集。
まずこのタイトルがいいね。
そしてこのカバー絵。
これだけで何か心がホッとするような気になってしまう。
内容もまずまず。

著者によると
江戸時代のキャリアウーマンについて書いたものだそうな。
(ただし娼婦は除く)

すなわち
読み書き・ソロバンの師匠
女浄瑠璃語り
かわら版などの浄書屋
女流絵師
小間物デザイナー
料亭の女将
の六人。

過去には色々あったけれど、
今を一生懸命に生きているけなげな女たちへ向けた
応援歌的な内容かな。

そして各編に恋が絡む。
成就する恋、破れる恋、それぞれだけれども、
それでも仕事と恋に一生懸命なところが
共感を呼ぶ、のだろう。
女たちがみな魅力的でいいね。




そういう内容だけれども、
文章が淡々としていて上品なので
しっとりとした印象の作品に仕上がっている。

ふわっとした江戸情緒にひたりたいむきには
ちょうどいい作品かな。

それにしても
江戸時代のラブホテルを出会い茶屋と呼ぶとは
いかにも情緒的な(笑)

【評価:A】

次は
第10回江戸川乱歩賞(昭和39年度)
西東登『蟻の木の下で』

「違いますよぉ~♪(笑)」

テーマは「愛すべき熟女たち♪」だけど
今回は熟女とは対極にある女の子、
なんとまだ20才のM紀について書いてみようと思う。

M紀は今20才であるが、
身長は150あるかないかでかなりの小柄だし
もともと童顔な上に仕事の時は完全にスッピンなので
パッと見にはもう中学生ぐらいにしか見えないのだ。

下手すると、バスなんかに乗ってると
着てる物次第では小学生に間違われるかもしれないという
驚異の20才である。
50・60当たり前の俺の職場の熟熟女たちの間に入ると
かなり異色の存在なのだ。

こういう子ってたまにいるよな。
息子よりも若いし、
仮に一緒に歩いてるとすれば
下手すると孫と間違われるかもしれん(笑)

ただまあ、まだ若いせいもあるんだろうけど、
職場の熟女たちとは
仕事の話以外あまり積極的に喋ることもなさそう。
要するに、イマイチ社交性に欠けるのだ。

例えば、ふとしたことでちょっとラインが止まったりすると
あちこちで2~3人ぐらいが固まって
雑談が始まったりすることがよくあるんだけど、
M紀はどこの輪にも入らず
ただぼ~っと突っ立ってるだけだったりする。

俺はそういう、
周囲とうまく溶け込めない人間とは
逆にウマが合ったりするので
M紀の近くに寄っていって
なんだかんだとちょっかいかけたりするのが好きなのだ。

ま、要するに初老のオッサンが
空気も読まずに若いオネエチャンに話しかけて
密かに迷惑がられているって図を想像してもらうと
当たらずとも遠からずってことだね(笑)

どんなことを喋るかというと、
思い切り下らない突拍子もないことを
話しかけたりする。

これをオヤジギャクというのかはよくわからないが、
ま、似たようなもんだろうね。
例えばこんな具合である。

この間休憩室に行こうとしたら
向こうからM紀が歩いてきたので、
俺はニヤリと笑いながらちょっと中腰になり
M紀の目を覗きこむようにして
人差し指をM紀の顔の前に持って行くと
クルクルと回した。

M紀は「?」って感じで小首を傾げた。
俺「いや~、目を回すかと思ってさ」
M紀は途端に相好を崩し
「トンボじゃないですよぉ♪」

この笑顔と口調が
いかにも中学生っぽくて楽しいのである(^^)v
(あくまで20才である)

俺「あれっ。M紀ってトンボじゃなかったっけ? 俺はてっきりアキアカネだと思ってたわ~。もしかしてムギワラトンボ?」
とか思い切り下らんことを口走ると
「違いますよぉ~♪(笑)」
という口調がまたカワイイのである(笑)

さらにこんなことも。
俺とM紀とで二人の共同作業の仕事をしていた。
これがまた詰らなくて退屈で
30分もしてるとすっかり飽きてしまった。

俺はちらっとM紀を見た。
M紀は真面目な顔つきでただ黙々と仕事をしている。
こいつ、何考えてんのかな~と思った。
きっと何も考えてないんだろうな。

俺は退屈凌ぎにM紀に話しかけた。
「今何考えてる?」
「何も考えてないです」
やっぱりね。

「いや、Kのこと考えてっぺ」
Kってのは職場で一番若いアンチャンで
まだ26かそこらである。

M紀は、
ヘンな噂でも流されたら大変だとでも思ったのか
ニコリともせずに固い口調で
「考えてないです」

俺「いや、考えてるだろ。『K、このデブ! お前少しは痩せろ!』って考えてるべ!」

それを聞いたM紀は急にニコニコしながら
「考えてないですよぉ♪(笑)」
安心した口調だったのが可笑しかったね。

俺「それじゃIさんのこと考えてるな」

Iさんってのは俺よりちょっと上のオッサンで
やたらデカい声でやたら喋りまくり
しかもパワハラ気味のオヤジという
ちょっとウザイ存在なのだ。

「『このオヤジ、いつもうるせえぞ! サルグツワかませたろか!』…とかって思ってるだろ」
「思ってないですよぉ♪(笑)」
ま、退屈凌ぎにはちょうどよかったかもしれないな。

M紀と普通に世間話をする人間というと
俺の他には
以前熟女シリーズで紹介したS美ぐらいなので、
こんなバカ話をするだけでも
M紀の孤独感を和らげる
いいきっかけになるんじゃないかと思ったりする。

あ、念のために言っておくけど、
俺は成熟した女が好きなんであって
ロリコンではないので間違わないように。

先日もこんなことがあった。
M紀が目じりに小さなキズを作ってきた。

俺は早速食いついた。
「どうしたんだ、それ?」
「ちょっと転んで、ぶつけちゃって」
なんて言ってる。

若い女が目じりにキズつけてくるなんてのは
DV野郎の彼氏とケンカして
殴られたからに決まってるのである(適当)

ま、この場合真実なんてのはどうでもいい。
俺はこう言った。
「女子高生カツアゲしようとして返り討ちにあったべ!」

M紀はアハハッ♪ と笑って
「違いますよぉ~、フフッ♪(笑)」

どうも俺はM紀の
「違いますよぉ~♪(笑)」
を聞きたくてバカ話をしかけるらしい(笑)
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