※前回からだいぶ更新が空いてしまいました。すみません。
体調も回復してきたのでこれから週1〜2のペースで更新再開します。



都会での高校生活を謳歌していた私ですが、痛みは限界に達していました。
一人暮らしでやらなければならない掃除、洗濯ができなくなってゆき、通学も苦痛に。

さらに、楽器を持ち込める寮だったため、朝から晩までピアノの音が響いてくる・・・。
いくら防音がされていても、上階からの音はこたえました。ショパンのエチュードをよく弾いている子でした。


この頃には症状がかなり進行した状態であり、筋筋膜性疼痛症候群に特有の中枢感作が起こっていました。そのせいで音刺激が「痛かった」のです。文字通り。


中枢感作 というのは、慢性疼痛疾患に起こりやすい神経の変化です。

どういうことか、筋筋膜性疼痛症候群を例にとり説明しますと、
人間の体が痛みを感じるしくみは

受容器(筋肉、腱など) が運動や怪我で傷つく→受容器の神経が刺激され、脳に痛み信号を出す→痛みを感じる

と、超簡単に説明するとこうなります。
これが正常な反応であり、怪我や病気を伝えるために痛みは必要不可欠です。


しかし、多くの慢性疼痛疾患の場合には、必要のない痛み信号の連発によって、痛みを伝える神経回路が変化し(感作され)、わずかの刺激でも痛みを感じるようになります。
(脳の勘違い)

受容器が常に傷ついた状態(トリガーポイント)、虚血状態が何らかの原因で続く(左右足の長さが違うなどの器質的要因、繰り返す怪我や痛みによる過度の筋緊張・筋収縮の持続)→神経が興奮し痛み信号を連発→痛みの神経回路が変容→痛みの閾値が下がる→同じ刺激でも強い痛みを感じるようになる

こういう状態になると、音や光でも頭が痛むようになります
(私の場合トリガーポイントが脳と近かったためより影響を受けました。一般的に脳から遠いほど影響は少ないようです)

これは科学的に証明された神経変化であり、単に「過敏」なわけではありません。
精神的な問題ではなく、物理的な問題なのです。


しかし、普通のひとはそんなことは知りません。当事者である私でさえ当時は知識がありませんでした。

ただ、音が痛い、光が痛い、ものを考えようとしても痛い、という状態でした。(脳の活動が神経回路を刺激? 本も読めませんでした)

こんな身体で東京で一人暮らしができるでしょうか?
私には無理でした。


結局、入学した年の秋、その高校は中退することになりました。