以前、特養にいた時のお話です。

ぽっちゃりな博多弁の認知症のおばあさんがいました。

自分の体重を支えきれなくて、足が痛くて、移動は車椅子。


いつもトイレにしばらく座っていると、トイレからコールが鳴って行くと、換気扇を指さして、毎回こう言います。

「いるやろ、あそこから誰か覗いて見てるやろ」と。

他にも。
外の林を見ては、

「あそこの木の上に、いつも男の人がいるやろ?何しとるんかね?」



いつも穏やかで可愛いんです。



ある日、本人が言うにはですけど、

「よろけたとよ。手が痛か〜」

見たら腫れているではないですか。


急いで看護師に伝え、病院受診になりました。🏥



手首の骨折と診断され、帰って来ました。



骨折ですから、シーネをしておりました。

シーネとは、骨折した時等、石膏で固めて動かさないようにするものです。



認知症ですから、なぜシーネがついているのか忘れてしまいます。



毎回
おばあ「これなんやろか?」
        と聞かれます。



「よろけて、手をついちゃって、骨折して痛かったとって言ってましたよ。病院に行って診てもらっら、骨折しているって言われましたよね?」

おばあ「そうなん?そら大変やった」と。


痛みは、時々思い出す程度で良かった。




次の日の朝

起床介助の為、声を掛けに行きました。



何と、枕の横に、抜け殻の様に、シーネだけが置いてあるではないですか💦




え?え?え?




どうやって取ったの???
どうやっても自力で取れないと思うんですが…



私「おはようございます」

おばあ「おはようさん」


シーネを持って

私「これどうしたんですか?」

おばあ「それは何やろか?」



速攻看護師に連絡しました。


看護師が来て、
「これどうやって取ったの?」

おばあ「分からん」と。





認知症の方は、時々想定外の事をしたりします。

このおばあさんの様に、その時、嫌だったから、シーネを取ったとか。

家に帰りたかったから施設の外に出ようとしたとか。

オシッコしたかったから、そこでしたなどなど。



ただそれだけ。
こうしたかったから、こうした。
これが不快だったから取った。

だだそれだけです。


シンプルです。





認知症は人それぞれです。
十人十色です。

一人一人対応は全く違います。


また?って思うことだってあります。


でも、可愛いなって思うところもあります。




その方が何で困っているのか。
何を気にしているのか等、寄り添えたらいいなと思っています。