富山の銅版画工房・Lucky Cat Press

富山の銅版画工房・Lucky Cat Press

富山市内の銅版画工房‘Lucky Cat Press’のブログ。
エッチング、アクアチント、メゾチント、etc..
銅版画には色々な技法がありますよ。
ノン・トクシック技法で制作しています。

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このところ、工房へ体験に来てくれる方が続けていらっしゃいました。


興味を持ってくださるだけでもうれしいのですが、工房へ来て下さって本当に喜んでいます♪


先日来て下さったのは大学生の方。

以前から版画をやってみたいと思っていたそうで、とても意欲的に取り組んでくれました。


体験では、ドライポイントという技法にトライしていただきます。







ドライポイントは、腐蝕をしない「直接法」で、銅板をニードルで直接引っかいて描いていきます。


そのため、少し銅板にひっかかる感じがあり、ペンで描くようにスムーズには描けないのですが

初めてとは思えないくらい上手でびっくりしました。


線の強弱もとてもきれいです。




こちらはセピアのインクで刷った作品。





スカイブルー+セピア。

2色刷りです。







何枚も刷っていくうちに、刷りもどんどん上手になっていくのも驚きでした。


楽しんでいただけたようで私たちもうれしいです。


また是非来てくださいね♪

久々の銅版画技法シリーズです。


今回は、版画ギャラリーの記事でも紹介させていただいたSさんの全面協力のもと、メゾチントを徹底解剖しますよ。



メゾチントとは






メゾチントは、黒地の背景に絵柄部分を削り出して、明暗の調子で表現する技法です。


腐蝕によって描線を描き出すエッチングとは全く印象が違いますね。


メゾチントはエッチングのように腐蝕によらず、直接版を削っていく「直接法」にあたります。


17~18世紀頃、メゾチントは肖像画や名画の複製品を作るのに適していたため、特にイギリスで大流行しました。


しかし19世紀末、写真機の登場により、メゾチントは独立した芸術表現としての地位を得ぬまま、忘れられた技法となってしまいました。


近年になり、長谷川潔ら日本人版画家の努力で失われていたメゾチントが復活してきています。


工具さえあれば腐蝕設備がなくても作業ができるので、初心者の方でもトライしやすい技法かも?





メゾチントのしくみ



銅板の表面を「ベルソー」という工具で無数のキズをつけ、ヤスリ目のようにします。

※この作業を「目立て」といいます。


目立てをした段階で刷ると、この細かいキズの中にインクが入り込み、拭き取れずに真っ黒に刷れます。




目立てをした銅板の表面には細かいキズがついています。


このキズ(めくれ)を絵柄に合わせてスクレーパーで削っていきます。


削ったところはインクが拭き取れるようになるため、白く刷れるようになります。



完全に白くしたいところはバニッシャーで磨き、表面を滑らかにします。






刷りは、エッチングなどの技法と共通しています。



メゾチントの魅力はなんといっても黒から白への微妙な諧調の美しさ。


次回から詳しく工程をご紹介します。









2015.5.16(土)~5.20(水


9:00~17:30 星の街ギャラリーにて開催中


ラッキー・キャット・プレスとして、初の工房展がスタートしました。


初日の土曜日は曇り空で、肌寒い一日でしたが


日曜日は初夏の陽気となりました。


週末に足をお運びいただいたお客様、本当にありがとうございました。


ガラス張りの展示室は光が差し込んで明るい空間です。






Sさんのメゾチントコーナー。


銅の原版も展示してあります。







今までに制作した歴代の版画集が展示されています。


ご自由にご覧いただけます。





メゾチント、エッチング、アクアチント、etc..


技法も様々ですが、作者の個性によっても全く違う作品になるところが面白いところです。



ブロンズ像のあるコーナー。


ちょっと面白いスペースですね。







併設のカフェにも展示スペースがあります。


お茶を飲みながらゆっくり眺めていただくのもおすすめ♪



また、今回の工房展のために、釣谷幸輝先生が木口木版の作品を賛助出展してくださいました。




5/20(水)まで開催していますので、是非たくさんの方にご覧いただければと思っております。