父の話の中に出て来る遊力って何だろう

キキは父の話の中によく遊力ということばが出てくるものの、あまり疑問には思わなかった。ある日急に閃いて辞書を引いてみた。無い、遊力ってない。もしかしてこれ父の作り言葉?でもそれにしては遊力っていう言葉、悪くない、面白い、ちょっと不思議・・・

ある日キキは父に聞いてみた。曰く「今日は忙しい、後にしてくれ」珍しい。あんなに暇な父が忙しいなんて聞いたことが無い。

次の日、遊力って何と聞いてみた。
なんかその話か、どんなことを聞きたいのか?どんなことかを知りたいんだよ。何だそんなことか。キキ「そんなことだよ、それ以上何があるのよ!」
つまり遊びの力っていうことかな。それだけ!?それだけだよと父。何よそれ、答えになって無いじゃんとキキ。それ以上なにがあるんだよ、と来た。むっ、とキキ。

また次の日、あのさー、たとえばどんな場合に使うのかぐらいは教えてもらって良いんじゃない。そうだなー、遊びが下手な人、遊べない人、遊ばれてしまう人、楽しめない人、いつもクヨクヨしている人、余裕の無い人、面白くない人、駄洒落を言えない人、お洒落でない人、喜べない人、まだあるけど、そんな人は遊力がないか、低いということだね。

何か多すぎて分かりにくい。遊びが下手な人、遊べない人、遊ばれてしまう人までは分かるけど、後は分かりにくい。その後は、遊力がないか、低い人の結果だよ。そのような人は遊力のある人に比べて何となく面白くないしゆとりもないんだよ。

で私は?キキの遊力は程ほどにある。じゃー母は?母は・・・あれは頭ん中が遊び遊び遊びで、遊力が有りすぎて遊力過剰症候群ってとこかな?お父さんそんなこと云っていいの?!余計なことを言うなよ、キキ!

遊力が大事なのは、何事にもゆとりを持っているかどうかということだよ。遊力のある人は、成功しても、失敗しても、あまり一喜一憂しないもんだよ。つまり物事を冷静に見ることができる。そのため判断が間違えることもないし、後悔することも無い、ただし失敗したときは反省はする。それに大事なことは人間としての面白さや魅力だよ、知ってる人の中にも、面白い人、面白くない人、偉そうにしても魅力を感じない人、普通なんだけど魅力を感じる人、などいろいろあるだろう。それが遊力のなせる業なんだよ。

ところで遊力がありすぎる人は?そうだね、家の母さんみたいな人なだけど、あまり弊害は無いね。まあ、単純すぎるってことかな、まあそれなりに魅力もあるし・・・そんなとこだな・・・

ここで大事な話があるんだよ。キキ、よく聞くんだよ!(父が真剣に話すなんて珍しい)

今、子供達の遊び場が段々少なくなっているんだよ。子供達にとって野原みたいな場所が必要なんだよ。そこで遊ぶことによって、他の子供達との関係や自然のあり方を学ぶことが出来るんだ。特に都会の子供達は悲惨な状況にあると言えるんだよ。青い森や緑化公園などが少なく、遊び場がなくなっているんだよ。そうなると他の子供たちとの交流も出来なくなり、ギクシャクしたものとなってしまうと言われているんだよ。
だから、青い森や緑化公園はもっと積極的に増やす必要があるんだよ。変な建物なんか要らないんだよ。

キキも大きくなったら、そのことをよく考えて行動するんだ。キキが結婚して子供が出来ても安心して生活が出来るような環境は自分達に作っていかなければならないんだよ。少なくとも私の子なら、他人任せにしないで、自分で動くようにしてほしい。(キキはうなづくのが精一杯だった)


(つづく)