妖!萌慎艶戯塾 第十四話「歴史」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「じゃあ…マツリちゃん、みんな、行ってくるね…。」

「あぁ、肩の力を抜いてな、ゆかり…。」

萌慎艶戯塾に来て最初の授業に向かう私。
凄く緊張するし、正直怖いです…。
だって塾生はみんな妖怪なんだもん…。

教育実習生として教卓に立ったけど…あの時も怖かったな…。
でも、あの時は意地悪な男子生徒中心に「ブス」とか「ヒンヌー」とか言われたけど、萌慎艶戯塾は妖怪とはいえ、みんな女子だもんね…。
しかも人間社会に馴染む為に入塾を希望した少女達なんだし、学校のイジメに比べたら、塾のイジメなんて圧倒的に少ないよね?
でも、先生(講師)イジメはカウントされてないか…。

一号生の教室の扉に立つ私。
スゥっと深呼吸して覚悟を決める。
きっとみんな私を見守ってくれるわ。

「失礼します。」って声でドアを開けるのが教官に相応しいかは解らないが、私が入った瞬間に、一号生筆頭の、学校で言う委員長ポジションの目暮樹里亜さんが「起立ー!」の号令をかける。
ボーイッシュで明るい雰囲気が「筆頭」に推された理由かな?事前に面識がある娘が教室に居て少し安心かも…。

「皆様、宜しくお願いします。
今日から歴史を教える古瀧ゆかりです。」

「……。」

「……。」

教室に座る25人の女の子達はじっと私を見つめていた。
間違いなく私を観察している。
塾生に取っての興味は私が脅威となるかどうかが一番なのだろう。
この雰囲気に飲まれたら駄目よ…。

「…みんな、本当に可愛いね…。
妖怪や妖精さんの変身術には本当に驚きです。
私には魔法も妖術も全然わかんないけど、みんながそうやって可愛い人間女性に変身し続けるのを見ただけで、貴女達が人間社会で暮らして行くことがどれだけ大変なのか理解してあげられるつもりです。
『歴史』なんて言えば偉そうかもしれないけど、『人間がしてきたこと』を学んで『心構え』として憶えておくだけで、社会に出た時の苦労が減ると思います。
で、最初の授業で私が伝えたいことはこちら!」

話を一旦切り、チョークを握り黒板に大きく文字を書いた。

「戦争と科学の発達」

と。


「えー、一号生筆頭の目暮樹里亜さん、これを読んでください。」

「はい、一号生筆頭目暮樹里亜!
古瀧教官が板書した文字を唱和します!」

「ちょ、もうあの二人の教官は現場に居ないんだし、みんなせっかく可愛い袴の制服来てるのに、軍隊式はやめようよ!
私が怖いよ!」