僕たちに許された二重殺 10.5 (アナザーサイド) | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「男子三日会わずば刮目して見よ」

私…なんでこんな言葉知ってるんだろう…?

私が部活を休んで3日が過ぎた。
4日目の今日も、外野の端からダイヤモンドを駆ける慎太郎を見ていた。

「何でこんな急激に上手くなるのよ…!
しかもあんなに楽しそうに堂々とプレーして!
これじゃ玉野の言う通りじゃない!」
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3日前の火曜日
女子トイレ

「ドンドン!ドンドン!」

「ちょっと開けなさいよ!」

五時間目と六時間目の休み時間、トイレに行った私は、狙われてたかのように個室に閉じ込められた。
誰かが壁に持たれてドアが開かない。
子供染みたイタズラを、あたしに仕掛けるとは馬鹿な連中だ。
壁をよじ登って上から脱出しようとすると…。

「東瀬さん、警告しましたよね?マネージャーの立場を利用して玉野君に近付かないでくださいと。」

「はぁ?玉野とキャッチボールしたくらいで妬み買うなんて、あたしも随分な人気者ね!悔しいならあんたもリトルリーグに入って野球はじめたら?ファンクラブ代表の早乙女さん!」

「偉そうな言葉を言えるのも今のウチですよ!」

「バシャッ!」

「キャー」

ドアの上からホースの水を掛けられた。
その事は私には何でなく、直ぐに壁をよじ登って、早乙女の高慢な顔に二、三発平手打ちしてやる気まんまんだったが…。
ドアの上から見下ろした光景に愕然とした…。
ホースを握る早乙女の隣に、女子トイレという空間に、平然と佇み、冷たい視線で私を見る玉野秋成がそこに居たのだから!

「驚いたようですね、東瀬さん。
これが玉野君の望みなんです!
玉野君は貴女に迷惑してるんです!」

「ちょ、ちょっと玉野!どういうつもり?
こんなの慎太郎が知ったら…。」

「…気安く呼ぶな…。
早乙女とか言ったな…。
もういい、消えろ。」

「え?玉野君…あの…約束は…?」

「今後のお前次第だ…。」

「何?
水を掛けられて、女子トイレであんたと二人きりって、あり得ない状況なんだけど…。」

「東瀬美由紀、金城に二度と近付くな!」

「な、何言い出すのよ?
慎太郎はいつも私が居ないと…。」

「それが思い上がりだ…。
お前は金城の成長を妨げる足枷でしかない。
お前が消えれば金城は隼人さん並の素晴らしい選手になる。
それが姉ちゃんに取って唯一の救いだ…。」

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私の仮説が確かなら彼は極度のシスコン…。
彼氏さんの急死も関係してると思うと怖い