王宮内会議室
「さあて、ミネルバ。
王子がロイとリディアの席を外させたんだ。
ちゃんと自分の口で伝えるって約束だったよな?」
「は、はい…ジオン。
お話には聞いていた、リディアさん、ロイさん、エマさんを一目見れて良かったです…。
特にリディアさんはお聞きしていてた話とは全然…。
あぁ、申し訳ございません。
ハイネ殿下…『今回の件』について、私と二人きりでお話出来ませんか?
勿論、非公式に議事録に残す書記官も、カイザー丞相の助言も頂きませんから…。」
「願ってもないことだよ、ミネルバ王女。
貴女が5歳の時から僕は知っているが、見違えるほど大人になったね…。
よし、謁見の間に行こう。
大丈夫、人払いをするから。
ジオン、これでいいよね?」
「はい、仰せの通りに…。
では、私は外務大臣として、カイザー丞相とグレゴリウス司教と『大人の会談』がありますので…。」
「うむ、それはジオンに任せる。」
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「まぁ、私達以外に人が居ないと、謁見の間はこんなに広いのですね…。」
「僕もこんなの生まれてはじめてさ!
さぁ、そこに座って!」
「そこって…?
ここでいいんですか?」
「僕だけ玉座に座るわけにはいかないだろう?
この真っ赤な絨毯に生きてる内に寝転んでみたいと思ってたんだ!
う~ん、エマに叱られないこの開放感!最高!」
「わ、私も床に座るなんて、ジョンに内緒で花見に行った以来ですわ!」
「ミネルバ王女、あれは『地面』て言うんだよ!」
『アハハー!』
「…全てはジオンのおかげですわ…。
私は宮殿の外の世界をジオンともっと知りたいと思いました。
その為には、私は王位を継ぐことも、ハイネ殿下と婚約することも…。」
「それは僕もわかっていたつもりだ。
ジオンは上手く隠していたようだが、貴女のジオンに対する態度は以前から…。 とにかく、貴女の方から断ってくれることは願ってもないことだ。
あとはカイザー丞相をどう説得するか何だが、ロイとジオンは上手くやってくれるかな?」
「ジョンは自分が国を支配したがってるから、王位なんていつでもくれてやるつもりですわ。
それより、殿下が求婚したお相手は、身近な女性と聞いてますが、先ほどお話にあがったメイドのエマさんなのでしょう?やはり、名ばかりの婚約者の私なんかより、身の回りに配慮出来る女性の方が…。」
「いや、エマじゃないんだ。もう一人の…リディアの方なんだ 」