これがどれほど国家に背徳的な行為かはわかっているつもりだ。
ましてやここは礼拝堂である。
私はマリア像が見守る中で、メイド服をエマによって着せられた。
多くの部下を預かる者として、馬鹿な行いをしているのはわかっている!
だが私はそれでもロイの傍に居たかった。
司教と丞相が居るも中で(…他にも余計な学者女が居るが。)公に私への求婚をハイネ殿下が発表したのなら、ロイが阻んでくれるであろうその姿を、私は間近で見たかった。
ロイが殿下の言葉を否定しないなら…二人で逃げても構わない…。
「う~ん、女の私から見ても均整の取れた肉体ね…。
コルセットで締め付けて、ヒーヒー泣き叫ぶリディアちゃんが見れるかな~って思ったけど、その必要もないほど惚れ惚れする身体ね…。」
「やめろ、エマ!手付きがおかしい!
それにこの服…。お前のに比べて丈が短すぎないか?

「当たり前でしょう!
リディアちゃんは今から『新人メイドのララァちゃん』なのよ!
新人が丈の長いスカート履けるわけないでしょう!
私は王子付きメイドだからこんなに丈

が長いスカートが履けるのよ!(※大嘘です。)
貴女が今から殿下やお客様方にお茶を淹れても、慣れない仕事に新人だってことはバレバレでしょう?」
「そうか…。
メイドのスカートの丈はシェフの帽子と同じだったのか…。(※簡単に騙されてます)」
(うわぁ、リディアちゃん信じちゃったよ…。怒られると思って、私の服をもう一着持って来てたけど…まっ、いいか面白いし。
あの好色なカイザー丞相の気を惹く衝撃がありそうだけどね。
それにロイと気が合いそうなあの学者女を出し抜くには、これくらいやらないと。)
「潜入指令と言うのは私は出す側で自ら実行する側になったことがないのだが…。
愛剣を帯びることが出来ないのは正直心細いな…。」
「うん、大きな剣は確かに持てないけど…。大丈夫よ、花乙女騎士団に参加してるメイドはここ、そう、みんな内腿にベルトを付けて短剣を携帯してるわ。」
「待て。内腿に帯剣するのは外から隠すためだろう?私はこんなに丈が短くては見えてしまう…。」
「そこが男心を刺激するんじゃない。」
「目的が変わってる」続