「開いてるね。今、手が放せないから勝手に入るヨロシ。」
「うん…。」
「おぉ!妹よ、調度いいある、手伝うね♪」
凛子お姉ちゃんに相談したくて部屋を訪れたのに、夜通しの衣装製作している雰囲気に圧倒されて無理矢理手伝わされる私。
「これ、次の大会で着る衣装?
完成したって言ってなかったっけ?」
「そうある。でも、直前になって許可が下りなかったら、急遽以前に着た衣装を作り直してるね♪」
「許可?I-1グランプリなんて、ウチが主催なんだから、お姉ちゃんがどんな衣装着たって自由じゃないの?」
凛子お姉ちゃんが手芸部なのもI-1グランプリで着る服を作る為だ。
格闘技の腕前だけでなく、デザインのアイデアも縫製力もホントに器用だなぁ…。
軽音部の私にもライヴの衣装を私と舞花の分まで作ってくれたし…。
「違う違う。許可しなかったのは運営じゃなくて月之介ね…。その…衣装が過激過ぎるって怒らしてしまったね…。」
月之介が!?お姉ちゃん専属の守役にして、相野家の庭師。そして凛子お姉ちゃんの最強にして最大のライバルである霧雨月之介がダメって言ったら素直に従うなんて…。
「お、お姉ちゃんは、月之介が強くて逞しくて、自分の婿に相応しいから言うことを聞き続けるの?」
凛子お姉ちゃんと月之介の関係は修行仲間の一言に尽きる。
同じ守役でも自分達を窮屈な関係に押し込める麗香お姉さんと雪之介とは違う。
だから私は…。
「今日は私の話を聞きたいあるか?
るんが自分の話したくて訪ねた違うか?」
「そ、そうなんだけど…。ねぇ、どの衣装が駄目って?」
「これね。」

「それは駄目ー!私も却下!」
「こっちを手直しすることにしたね。」

「うん、その方がいいよ…。」
「で、るんの悩みはあの灯かりあるか?」
と、窓から見える嵐の研究室の灯かりを指差す。
嵐は鶏子ちゃの研究を続けていた。
「お姉ちゃん、私、何で自分の従兄弟と親友の仲をお祝い出来ないの?
何で私ってこんなに醜くて最低なの?」
「誰だって大切なモノを奪われたら妬むは当然ね。」
「大切って、私は別にまだ嵐を好きじゃな…。」
「違う!るんのイライラは舞花という親友を奪われた嵐に対しての妬みね!」