ショートストーリー「チリとホコリ」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「何故、貴方がそこまでするのです?
私にはわかりません!
何を言われても辛抱していれば良いではありませんか?」

「異国生まれの千里子殿にはわかるまい。
私は北の盟友の「義」に応え、亡き御館様の忘れ形見を守るという「忠」に尽くさねばならない。」

「またわけのわからない貴方の国独自の道徳観念ですか?
どうして貴方達はそう言って窮屈に窮屈に生きようとするのですか?
プライ…いえ、誇り高い人生も立派でしょうが、命あっての物種でしょう?」

「今の時代、『義』などと言えば眉をひそめて取るに足らぬと笑い者にする。だが忠義に報いるという、私の様な者が一人でも居たと、今の時代の子供が大人になった時に思い出してくれれば本望だ!」

「そう短気を起こさずに…。
貴方の秘書も貴方の心の狭さを咎めてたではありませんか!
どうか、どうか命を大事に…。」

「亡き御館様が与えてくださった城と、私を慕ってくれる忠臣は本当に私には過ぎ足る者であった。
大丈夫、千里子殿。私は必ず生きて帰る。
戦の無い世を作る為、これが最後の大戦だ。
千里子殿が乗ってきた、島のように大きな船を生きて一目見たいものよ!」

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宇宙歴1600。
最終報告が遅れたことをお詫び致します。

この星の知的生命体に擬態し、数年に及ぶ調査の結果、彼らは非常に高い知恵と技術を有し、地縁的結合及び血縁的結合を基盤とする高度な社会形態を構築していました。

私がサンプル調査した「ミツナリ」は特にモラル意識が高い人間であり、僻地に住む友人の「カネツグ」と彼のボスである「カゲカツ」とのパートナーシップを何よりも重視されていました。
また彼は亡きボスの子息「ヒデヨリ」の将来を我が子以上に案じていました。
その高過ぎるモラルが秘書官の「サコン」にも度々注意されていました。
敵対する「イエヤス」は、我ら中央銀河連邦に近い考えの持ち主と考えられることは過去のレポートの通りです。

ですがイエヤスの様な人間がこの星に増えることの方が中央銀河連邦の驚異にならないことを考慮し、私は「ヒデアキ」にクーデターを誘いました。
これにかかる必要経費は添付ファイルにて確認下さいませ。

追記 この星は通報された様な、専制君主が自然崇拝や道徳観念を押し付けて、自死を強要する様な社会ではありませんでした。
寧ろ我々が失いつつある
「神(々)と共に生きる」
を実現した唯一の社会とも私は感じました。了