「あぁ、今年もこの季節が来てしまっただぁ。
今年は誰の番だ?」
「高坂どんの妹さが13になったってよ。
真田様に見初められたら、間違いなく連れてかれるってよ…。」
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「…瑞穂よ、さぞやこの兄を恨んでることであろう…。」
「いいえ、お兄様。これがこの温泉地に生まれた娘の宿命…。生きてさえいれば、必ずまた何処かで…。」
「瑞穂、無力な兄を許しておくれ…。
おぉ、来たようじゃ…。」
「控えい!!お犬様のお通りなるぞ~。」
「ははぁ~。」
「こちらにおわすお犬様は、皇太子殿下の愛犬カール様なるぞ!
控えい!」
「ははぁ~。」
「そして我こそは皇太子殿下のお犬番、真田正行である。
愛犬カール様はここの温泉を大変気に入らておる。
ついては例年の如く、皇太子殿下の愛犬カール様の湯治のお世話役となる娘を一人差し出せ!
但し、カール様は12歳から14歳の生娘を所望し、いやギリギリ11歳までありとのことだ!」
「さ、真田様…。わ、私がそ、そのお世話役を所望する娘です…。」
「お前か…。
これはカール様好みの未成熟な…。
いや、皇太子殿下及び皇帝陛下への忠義には感謝しようぞ。この者の家族に路銀を。
では、馬車へ…。」
「瑞穂…。」
「…お兄様…。」
「待て!その娘さんを連れて行くことは僕が許さない!」
「…この男は…?」
「こちらは旅のお方で…。」
「…僕は権力を傘に着て威張る男が大嫌いなんだ…。
瑞穂さんの気持ちも知らずに…。」
「貴様!我が剣の錆びにしてくれ…ガハッ!」
「僕は隣国の拳闘士、士郎。ふん、大根も切ったことない太刀筋だね。
さぁ、家来の方!この太鼓持ちを連れて帰りな!」
瑞穂「士郎様、貴方は何ということを!私一人の生け贄で助かったモノを!
あぁ、これで村は終わりだ…。」
漣「道はあります。
瑞穂以外にも他の娘を差し出すしか…。」
相良麗美「そ、それなら私が!」
山名理恵「いえ、私が!」
里見「お怪我をなされた真田様の看病は私の役目ですー!!」
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武田「え~、拙者は急逝した真田の代わりじゃ。」
娘達「急逝!?そんな…やはり士郎様の拳が?」
武田「いや、傷は大したことなかったが、真田はお犬様の世話の仕方を教えると言って、娘達に手を出してたのが奥方様にバレてそのまま極楽行きじゃ。
大丈夫、今年からはワシが可愛がって…」
村の娘全員『チェンジお願いします!』
終