大天使ウリエルは警視庁で「宇都宮真樹(うつのみやまき)」と名乗り、悪魔や妖怪関連の事件を担当する女刑事として働いている。
そして今回「虎徹」絡みの傷害事件も追っていて、弟であるサタンに情報を開示しだした。
勿論、サタンから現在の虎徹の持ち主である原宗時の情報を入手する為だ。
「うわぁ~、流石にバティンさんは生真面目ね~。
私もこんな部下ほしいわ~。」
虎徹の調査に時間がかかり、持ち主の調査にまで手が回らなかった為に宇都宮真樹は佐田星明からの報告書を喜ぶ。
「それで、虎徹が巻き起こした傷害事件とは?」
「それなんだけどね、この虎徹を持った人間達は、大切な異性を切りつけてるらしいのよ!
それも過去の持ち主達は愛すべき奥さんや恋人を絶対に傷つけるような人じゃないのよ!」
「では、何故?虎徹を握った瞬間に不仲になり、殺意を持たせてしまうのですか?」
遂に核心的証拠に近付いたと思った星明。
やはりあの刀は曰く付きだった。
しかし、話し続ける宇都宮真樹は苛立ちながらパフェを食べる手を進め、
「それが分からないから人間の警察官にはお手上げなのよ!
事件後に加害者は切りつけた記憶はないって言うし、被害者の奥さんや彼女は泣きながら『彼を逮捕しないでください』って訴えたるし…。
頭の堅い警察幹部は『呪われた刀』なんて信じないし…。」
宇都宮からの資料に目を通しながら、溜め息がまじる星明。
「…そして身内同士だから、と被害届けも出さずに凶器となった刀を闇から闇に転売すると…。」
「そうなの。消えた虎徹の足取りを掴んだと思ったら、また別の被害者が…。
ねぇ、今の所有者の原は独身だけど彼女は?」
「ウリエル姉さん、問題はそこなんです。
原という男は…。」
佐田星明は宇都宮真樹に勤め先での経過を話した。
「星明の店の女性社員に?
それも不自然よね…。
交際したいだけなら、虎徹の話を持ち出さずに、共通の趣味である占いをだけを話題にして近付くはずだわ。」
「…やはり虎徹の意思でしょうか?」
「でも女性に持ち主が渡ろうとするのは初めてだし、原はまだ事件を起こしてないし…。
あっ、そうだ。私って虎徹とか維新とか言われてもわからないから、日本の歴史に詳しい部下に資料揃えてもらったんだけど…。」
とバックを探るが、その資料が見つからない。
スマホを取り出し…
「あっ、近藤くん?君からの資料忘れたから持ってきて!」