「そこまです!
大人しく寮に帰りなさい!」
「ウソ…。まさか裏口まで見張ってたのか…。」
「篠山五月さんに加納弥生さん。
我が聖バーバラ女学院の生徒が深夜に無断外出とは見上げた根性ですね。」
「お願いです、警備主任さま!私達を町に行かせてください!明日は明日だけは…。」
「外出許可を申請せずに…。よほどの理由があるのですか?」
「五月、弥生。泣き落としでこの自衛官あがりの年増シスターが通してくれたら苦労しないでしょ!
どうしても通りたいなら正面からの強行突破よ!」
「真理亜!遅いよ。」
「ごめん、学園長のお説教が今まで長引いてさ~。
さっ、早く行くわよ。貴女達、『じゃにーず』のドームコンサートに行くんでしょ?」
「三好真理亜さん!また貴女ですか!
正面突破など許せるわけないでしょう?」
「警備主任さま。
武道家のはしくれとして…単純に貴女を負かしたい気持ちがあります。
どうでしょう?ここは一対一の勝負というのは。」
「面白い。貴女とは全力で闘ってみたいと思ってました。」
「そうこなくっちゃ♪」
(三好さんは柔術使い…。組まれたら負けだわ。蹴り技で距離を保ち…。)
(ロー、ミドル、ハイキックのコンビネーション…。流石ね…。
でも…。)
「バシ!」
「打撃でも負ける気がしないわ。
たとえ貴女の必殺のハイキックでも、私の方が上ね。
でも落ち込まないでね。
貴女が弱いんじゃないわ。
私が強すぎるの♪
じゃあ、三好真理亜以下三名、週末の下界を楽しんできま~す!お土産期待しててくださいね~。」
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「凄いよ真理亜~!
まさかあのゴリラババアを蹴り一発だなんて!」
「しかも食材を運んでくるトラックの運転手さんと事前に話つけてるなんてビックリ~。
フェンスの向こうに自転車隠してたんだけど、まさか車で町まで行けるなんて最高~!」
「でも、真理亜の外出理由って?コンサートじゃないでしょ?」
「…うん。弟の野球部の試合を観に行くの。電話口からあれほど嬉しそうに喋る秋彦の声なんて聞いたことなくてさ。」
「確か北条学園だっけ?でもあそこ弱くない?」
「そうね。でも弟と同級生の高坂くんって凄い子が入部してから一気に強くなったんだって!弟はベンチ入りはしても、出番は無さそうかもね…。」
(大切な弟に野球という楽しみを見つけてくれた高坂くんってどんな子なのかなぁ…?年下は嫌いだけど…一応ね)
続