そっか、手のひらサイズのマキちゃんとアイちゃんが人間になったら、当然服が居るよね。
アイちゃんはそれを見越して、
「服を着ている人間」
に変身したから成功したわけで、何も考えずにクレープが食べたいだけのマキちゃんが全裸の人間に変身してしまうのは、ある意味当然なわけで…。
って、落ち着いて魔法理論に納得してる場合じゃないわ!
他にお客さん居ないのが不幸中の幸い!
「京子先輩!ドアを閉めて!」
「マスター!今入ってきちゃ駄目です!」
「マキちゃん、早く服着た姿に変身しなおして!」
「…♪何で?このままでもクレープ食べれるよ♪おいしいね♪」
妖精の時も人間世界のルールに無頓着だったけど、いざ人間になってみたら規格外だわ!
何とかしないと…。
「仕方ないです。
スイートスケッチの応用で、カジュアルな洋服型プロテクターを描くです。
人間化した姿で魔法は使いたくないですが…。」
再び光が走り、アイちゃんが一瞬でデザインした服に包まれたマキちゃん。
ふぅ~一安心です。
「全く、肝を冷やしたぞ。
マキには人間としての教育が必要だな。」
高坂先輩のいう通りです。
でも、当のマキちゃんは全然気にせず、
「♪まだまだ食べたい♪おかわり♪」
と、着せられた服に戸惑いながらクレープを食べたがってました。
その時…。
「気に入って貰って嬉しいぜ。
ほら、今度は正真正銘、俺が焼いたクレープだ!」
「♪おいしい♪人間♪最高♪」
なんで優矢さんが?京子さんが鍵をかけたはずなのに…。
と思ってたら、私よりも高坂先輩と南部先輩は素早く、
「南部、仕方ない、やれ!」
「はっ!」
不穏な空気にいち早く気付いたみたいで、武術自慢の南部先輩が手刀で優矢さんの延髄に「当て身」を狙う。
気絶させて、アイちゃん、マキちゃんのこと、私達の魔法の話題を忘れてもらう為だ。
しかし…。
紙一重でかわされ、優矢さんの残像だけが残る。
「安心しな。『人間化』した仮の姿に欲情はしないさ。」
「君は何者だ!?
場合によっては…。」
「『歴史は人間だけのものじゃない』とだけ言っておこうか」
アイアンマテリアルのスカーフに手を当て、変身の構えを取る南部先輩。
その姿を見て私達も構える。
けど…。
「やめろ、マスターに迷惑をかけたくない…。」
その言葉にみんな戦う気をなくしました。
「君と過ごす北条祭を楽しみしてるよ、柳生ちゃん。」