「柳生先輩?よう知りませんけど、三好先生と生徒会室に行ったんちゃいます?」
「そっかぁ、試験が終われば生徒会選挙だもんな。
立候補予定の柳生ちゃんはいろいろ忙しそうだな。」
女子ロッカールームでテスト勉強する私達一年生。
今日は何故か先輩方は誰も来ないで部室は一年の貸し切りでした。
そこに突然現れた柿崎先輩。
大谷さんが応対して先輩達の事情を話します。
「テスト勉強のコーチなら伊達ちゃんが居ますよ。
たまには弟子と師匠が逆転するのもええんちゃいます?
さっ、中に入って下さい。
宮本さん、佐々木さん、場所あけたって、宍戸さん、吉岡さんイス用意したって~。」
強引に引き込む大谷さん。
いつも自分達が着替えてる場所に柿崎先輩が来たってだけでもドキドキするのに、みんなが私の隣に先輩の席を作るから…。
もう、ここで怖じ気つくわけにはいかないわ…。
伊達さやか、あなたは出来る子よ。
「か、覚悟を決めて下さい。
昨日も言ったとおり英語くらいなら私でも教えられます。
それとも、柳生先輩じゃなきゃいけない特別な理由でもあるんですか?」
言った!もう後戻り出来ないです。
このあとは神のみぞ知るです。
「……。」
「わかった、よろしくお願いします。
伊達先生。」
キャー、やったー!は言っちゃ駄目。
あくまで冷静に、先生役として威厳を保ちながら…。
「教えるからには手加減しませんから。」
大谷さんも宮本さん達も居てくれてよかった。
二人きりだとパニックになってた所だわ。
意識し過ぎずに、勉強だけに集中できるわ。
「あぁ、ですからこの場合の『What』は関係代名詞ですから『なに』って訳さずに、以降の文章を前に持ってきて…。
英語は必ず主語と動詞が一つずつですから…。
難しく考えずにイメージで捉えるのが大切です。」
「ありがとう伊達ちゃん。スゲーわかりやすいよ!
英語って説明してる日本語が既に難解なんだよ。
冠詞とか不定詞とか過去完了とか…。」
「確かにイメージわきにくいですね。
『関係代名詞』も、代名詞って『あなた、私、』でその関係を…。」
「『私とあなたの関係』ってこと?」
「ち、違います柿崎先輩!
ごめんなさい説明下手で…。」
ヤバイ、意識過ぎて顔が赤い!
「ええと、宍戸さん何て説明したら…って居ないし!」
「みんなとっくの昔に帰ったぜ?知らなかった?」
えー!いつから二人きりだっんですか?続