波乱の打ち上げパーティー編 4 テッペキ!かるてっと 27 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「さぁ、彩くん。
今度こそ逃がしはしないぞ!
三年間求愛し続けた僕の気持ちに対する返事を聞かせてくれ!」

パーティーも佳境に入り、みんな受かれて食べて、飲んで、喋って大騒ぎの中で遂に一橋先輩は切り出しました。

「そんな…。蒼磨様、こんなみんなの居る前で…。」

みんなが手を止め、会話を止めて二人に注目する。
見る見る南部先輩の顔が赤面し、返事に詰まる。

「ここに居る全員が証人だ。
僕の事が嫌いなら振ってくれればいい。
僕は東京の大学よりも、ここから通える大学に進学して今まで通り彩くんと同棲生活を続けたい!

だからお願いだ!
僕と付き合ってくれ!」

情熱的な一橋先輩の言葉に男女ともに共感する。
誰もが二人の幸せな恋人生活を望んでいました。
でも…。

「蒼磨様は二つ間違えたことを言われています。

私と蒼磨様のお互いへの想いは、同棲を始めた三年前からではありません。
出会った時から、物心ついた時から一時も変わったことはありません。
…14年です…。三才の時に蒼磨様にお会いしてからずっと…。
本当の私は今日、この言葉を言う為に今までお尽くしし、生きてきたのかもしれません。


『愛しています。』

私の人生は蒼磨様の幸せそのものなのです。」



「やったー!」

「おめでとうございます!」

「南部ちゃんすっげー可愛いよー!」


堰を切ったように周りが二人の幸せを煽るしかし…。

南部先輩から笑顔は消えて、歯を食い縛りながら、絞り出す様な声で続けた。

「三年では無く14年の想いというのがひとつ目。
もうひとつは…。
蒼磨様の本心は…東京の大学に進学することが何よりも夢のはずです…。」

「彩くん、どうしてそれを…?」

「蒼磨様のことなら何でもお見通しです。
後継ぎや、あの女に関係なく、蒼磨様は東京の安土大学で勉強することを望まれていたはずです…。
蒼磨様、愛しています。
だからこそ、私の為にどうか自分の夢を捨てないで下さいませ。
それが蒼磨様のお気持ちを断り続けた最大の理由です。
意思薄弱な私は…遠く離れて暮らすなど耐えられるはずありませんから…。」

「彩くん、君はずっとそのことで…。」

「でも…私は変わりました。
来年、私も必ず蒼磨様を追いかけて東京へ行きます。
だから夢を諦めないで下さい。
それと…あの女を選ばないで下さい。
本当は一緒に転校したいです…。
でも…サッカーがしたいのです…。」