「凄~い!試合後の打ち上げっていうから、てっきり焼肉屋さんか、中華料理と思ったらこんな高級ホテルの宴会場を直ぐに予約してくれるなんて!」
「いやぁ、持つべきモノは金持ちの知り合いだね。」
南部先輩の想い人、一橋先輩は、散々南部先輩との関係を追求された後に、
「試合後の打ち上げですか?
では僕に会場を用意させて下さい!
僕の大切な彩くんが大活躍した試合をお祝いさせて下さい!」
って、一旦解散して夜に再集合してみれば、こんな立派な会場なんて…。
あ~もっとお洒落して可愛い私を優矢くんに見せたかったなぁ。
「恵里菜!今来たの?相良くんは?」
私に話かけてきたの里見愛ちゃん。
南部先輩のことは落ち着きそうな雰囲気だったけど、まだ愛ちゃんと真樹ちゃんの恋愛事情は解決していない。
打ち上げが開始されるまでの今がゆっくり話せるチャンスだわ。
「うん、優矢くんは男子の先輩達と向こうで話してるわ。
ねぇ、愛ちゃん。
間違ってたらごめんなさい…。
私ね、保健室で聞こえちゃったの。
愛ちゃんが『真田先輩まで羨ましがることないのに』って。
それに以前に私に『彼女の居る人に本気になったかもしれない』って言ったよね?
あれってやっぱり真田先輩のこと?
ねぇ、愛ちゃんは真田先輩が好きなの?」
愛ちゃんは部活中は外してる大きな黒縁メガネを上げながら静かな声で、
「恵里菜らしい直球な質問ですね。
聞かれたなら言い訳しようがないです。
はい、白状するです。
私は真田先輩を慕ってたです。
そしてその気持ちは、今朝の試合で毅然と審判をする姿や私をフォローする態度を見て確信したです。
保健室で南部先輩との関係を羨ましがる姿を見て、醜い嫉妬の感情を自覚したです!」
文化系の愛ちゃんから普段感じられない強い決意を感じました。
でも…。
「でも、真田先輩には京子先輩が…。」
「問題はそこです。
この気持ちがお二人の迷惑になりたくないです。」
「気にすることないわよ、愛ちゃん。
三好先生も『始まってない初恋を終わらせられない』って言ってたじゃない。」
「宇都宮さん、聞いてたの?」
「途中からね。
愛ちゃん、試合の罪滅ぼしってわけじゃないけど、私が軽音流のメイク術を伝授してあげるわ♪」
「背が低いからツインテール似合うよ。」
「目がシパシパするです。」
「つけまは慣れるまで仕方ないよ!」
愛ちゃんは驚くほど変身しました。続