練習が始まる前のロッカールームで、それとなく翔子ちゃんに秘密を打ち明けようとしたが、タイミング良く彼女から私に二人だけの話を持ち掛けて着ました。
着替えながら翔子ちゃんの話を聞いたら、私は自分が耳にした衝撃の話を相談しようと思ってたのですが…。
まさか翔子ちゃんからそれ以上に衝撃的な話を聞かされるなんて…!
人生って何が起こるかわからないわ。
とりあえず私の話を聞いた翔子ちゃんも同じくらい動揺してたのは確実です。
「翔子ちゃん、とりあえずこれは私達だけの秘密にしよ。
同じ一年の茉奈ちゃんにも相談したいけど、茉奈ちゃんは高坂先輩と仲良いし、お兄さんの伊東先輩に話すかもしれないし…。」
「そうね、それと愛ちゃんと真樹ちゃんの話をそれぞれに話すのも秘密ね。
そっかぁ、愛ちゃんがついに恋を…。誰か気になるけど…。とりあえず練習よ、柳生ちゃん。」
「そうね、私も真樹ちゃんの気持ちを大切にしてあげたいと思うけど…。
まさか憧れを越えた感情が…。
男子に告白されては断ってたのを、私は凄く羨ましく思ってたけど…。ホントにそっちの気があるなら…。
駄目、うん今日の練習に集中しよ。」
そして部活が始まり、二人とも普通に練習してたのですが…。
事件は起きました。
真樹ちゃんが高坂先輩に練習中のミスを激しい口調で叱責されたのです。
「宇都宮!何度言ったらわかる!
サイドバックはただ上がればいいと言うわけじゃない!
攻守が入れ変われば直ぐに戻ってライン を整えろと言っただろ!
しかも左サイドの里見が上がってるなら右のお前は自重しろ!
南部のカバーで助かったようなものを…。」
「ごめんなさい、南部先輩。」
「…自分はセンターバックとしてサイドバックの空いたスペースを埋めただけです…。」
私達はまだこの時、普段寡黙で無表情な南部先輩が、愛ちゃん、真樹ちゃんと同等がそれ以上に苦しんでることに気付いてあげれなかった。
「やる気が無いなら帰れ!宇都宮!」
小さな高坂先輩の身体からピッチ全体に響く大声が飛び出し、慌てて真田先輩と武田、中島両キャプテンが駆け寄る。
「お、おい高坂、何もそこまで…。
オーバーラップのタイミングは経験が居るんだし…。」
「軽音をやりたければ、もう好きなだけやっていろ…。」
「ヒドイ!高坂先輩…。私の気持ちを知ってるクセに…。
もういいです!」
泣きながらピッチを飛び出し帰ってしまった。