「島先輩、私わかったんです。
女の幸せは恋人に自分の存在を認められることだって。」
「全面的に賛成するわ。
何かいいことあったみたいね?」
「掃除の時間にですね、彼…じゃなくてクラスの鈴木くんがですね、」
「恋人ではないんだ。」
「私が窓を拭いてたら『柳生さんて背が高いから便利だね』って突然誉めてきたんですよ~。
私、恥ずかしくって~。」
「『便利』を誉め言葉と思えるんだ。」
「みんなの居る前ってこと、少しは気にしてほしいじゃないですか~?」
「貴女が違う所を気にした方がいいわよ。」
「男って小動物的な女の子に惹かれるから、私みたいなデカい女嫌いかな~って思ってたのに、私のコンプレックスを誉めてくれるなんて鈴木くんて心が広いなあ~って。」
「貴女の心の広さには負けるわ。」
「でね、私、偶然を装って最後のゴミ捨てに鈴木くんと行ったんですよ~。」
「ものすごく不自然な状況を乗り越えて二人きりを作り出してない?」
「『私みたいに背の高い女の子どう思う?』って聞いてみたんですよ。」
「恋の始まりの予感が全く感じない状況でも始まるのね。貴女の場合。」
「そしたら彼ったら~」
「彼になってるし」
「『嫌いじゃないよ、君意外…。』だって~『君意外見えない』の最後が言えないなんて可愛いくありません?
もう私心臓がドキッとしちゃって~」
「うん、私の心臓は今にも止まりそうなんだけどね。
半分以上は実現してないよね?」
「もしかして違うんですか?」
「もしかしなくても」
「場所、悪かった?」
「そこじゃない」
「時間ずらした方が?」
「たぶんそこでもない。」
「先輩の言ってる意味がわかりません。」
「貴女が言わないで。」
「来週末、3対3で映画に行くことになったんです。」
「どうやったらそこにたどり着けるの?
どんな奇跡よ!?
その途中の会話が一番気になるんですけど??
その鈴木くんを一度ここに連れてきて。
たぶん殴るわ。」
「彼を殴るなら私を殴って!」
「まだ彼じゃないよね?」
「はい!」
「そこに妄想は入らないんだ。
ギリギリの所は死守できてるのね。
とりあえず次のデートがんばって。」
「えっ、島先輩も行くんですよ。」
なんの罰ゲームですか…?
デート編に続く。