「ねぇ、怒ってないからここに座って私の質問に答えて。」
イヤ、間違いなく怒ってるだろ!って事は火に油なので言わないで黙って座る。
「あのね、まー君、質問その1私のこと好き?」
昨日あの一件以来、こんなやり取りがこの昼休みまで続いてる。
「ああ、好きだよ!」
その気持ちは本当だ。
満面の笑みを浮かべる京子。しかし、心は笑っていないのがわかる。
「よろしい。じゃあ質問その2 私のどこが好き?」
「身体!」
「ボコッ!」
痛い!グーは無し!
「だから、まー君の、そういう、ところが、隙、だらけ、なの!」
言葉に合わせ文字通り拳で語る京子。いや俺は正直に褒めただけで…。
「対策会議を始めます。貴方は昨日、高坂瑞穂に何をしましたか?」
「脱衣PKで負かして、観衆に脱げコールを煽りました。」
「よろしい、サッカー命の女の子がそんな目に遭ったら?」
「普通なら一生もののトラウマになる。」
「よろしい、それを貴方は昨日?」
「かばって違う約束―サッカー部に入部する約束に切り替えた。」
「よろしい、自分を負かした相手に優しくされたら―、しかもそれが無菌状態のプリンセスなら惚れる可能性は?」
「ある。」
「よろしい、そして貴方は最後に?」
「キスされた。」
「よろしい、ここまでは非常によろしい。相手は自分のエゴに対して忠実な女ってのは廃部を迫ったり、グランドの開け渡しを要求したり、感情のままにキスしたりでわかったでしょう。
その感情が恋愛にシフトすると?」
「非常に危険。」
「よろしい、男性に免疫が無い分見境ない行動に来る可能性が高いわね。
だからこそ、まー君は彼女の行為に対して?」
「優しく受け止める。」
「バキッ。」
痛いって!椅子は反則!
「そこは、傷つけ、無いように、優しく、断る、でしょうが!あんた、告白、されても、受け取る、つもりだったの?
あ~もう、まー君がそんなだから私は怒ってるんでしょう?」
イヤ、怒ってるって認めたし(笑)。
「どうせあの女が休み時間の度に私達の教室の前まで来ては引き返してたのも気づいてないんでしょう?」
「そうなの?」
「やっぱり~。私、まー君が心配だよ。今日の部活ホントに気をつけて。私は応援に行かないけど」
高坂瑞穂に関係なく、日に日に酷くなりつつある京子の依存。
だが俺は絶対に誰も傷つけない。
「百の詭弁よりも一つのユーモア」
俺達には効果的だ。