俺が生徒会長とサッカー部を両立出来てるのは、補欠の控えキーパーだからかも。
今日は大事な委員長会議だから部活は休むことにした。
副会長の京子が張り切って仕切倒してるから俺は楽だ(笑)。
適当にキリがついたら京子に任せて部活に顔を出そうかと思ったら、一年の女子が慌てて部屋に入り、俺を読んだ。
「大変です!サッカー部の人が急いで会長を呼んできてって!」
「オイオイ、正ゴールキーパーの榎田が怪我でもしたか?イケメンのお前がいないとサッカー部ファンが逃げるぞ(笑)?それとも主将の武田がまたセクハラしてるのか?俺の手を煩わせるなよ。」
と、心で思いながらも部員として必要とされてることが嬉しかった。
校舎からグランドに着くといつもの三倍以上のギャラリーが、たった一人に注目していた。
そこにはこの二学期から転校してきた高坂瑞穂が華麗なるリフティングを披露していた。
「お前が生徒会長か?待ってたぞ。
こやつらは私との勝負に敗れた。
だから今すぐ男子サッカー部を廃部にして、グランドを私に開け渡せ。」
そこには泣き崩れる主将の武田と呆然と膝をつくキーパーの榎田を含め、部員皆が高坂瑞穂にひれ伏していた。
「勝負って何だよ?廃部?グランドを渡せ?お前一体どういうつもりだ!」
レディ相手に大声を出したくないが、彼女の尊大な態度に腹が立った。
「すまん、真田~。お前が居ない間にこんなことになって~。」
武田が俺に泣きついてくる。
何があったか聞きたいが、こいつじゃ話にならないから榎田に聞くことにした。
「いきなり彼女達がが勝負に挑んできたんだ。
軽く遊んでやるつもりが…。高坂瑞穂、あの女一人に11抜きされた…。悪夢だ、彼女は俺が対戦したどの男よりも遥かに上手い。」
「マルセイユルーレットなんて初めて見たよ。」
「あれってヒールリフトだっけ?」
ギャラリーがシャレにならない技名を連呼している…。
オイオイ、冗談はよせよ、11人抜きのゴールトゥゴールなんて漫画で十分だよ。しかも相手はあんな小柄な女の子だぞ?だが彼女が披露しているリフティングが既にただ者じゃない。
「さぁ、生徒会長、事情が分かったなら廃部の手続きをすぐしろ。」
「待て!この真田正行もサッカー部の一員だ!高坂瑞穂!俺と一対一で勝負しろ!
PK5本勝負だ!
俺が勝ったらお前が言ったことを撤回しろ!」
と勢いに任せて言ったものの…どうしよ…。