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LSE・経済学修士留学戦記(イギリス経済学大学院留学)

2012年夏~2013年夏にかけてLSE・Economics修士に在籍。
これから経済学大学院へ留学する人に向けて、この1年の戦いを記録する。

今回は、今年の最終試験について総括してみたいと思います。

まず、ご参考までに今年及び昨年の最終試験の点数分布について、載せておきます。


LSE・経済学修士留学戦記(イギリス経済学大学院留学)-Test Result Distribution

これまで説明してきたように、イギリスの大学院の成績評価は絶対評価なわけですが、この評価方法の欠点は、「成績結果がその年の試験の難易度に強く影響される」という点です。



そのため、博士課程を目指す学生の場合、たまたま問題が難しい年の試験だろうと問題が簡単な年の試験だろうと、Overall Distinctionの基準を満たさなければなりません





このような絶対評価の場合、簡単な試験であると、70点以上を取ることが容易なため、大量の学生がDistinctionを取ってしまいます。

そうしないために、出題者はかなり問題を難しめに作る傾向があります。

特に、前年の平均点が高かった科目については、次の年に難易度が上がる傾向があると言われています。

この傾向が完全に当てはまってしまったのが、2013年の計量経済学(Econometrics)の試験でした。



2012年の計量経済学の試験は、試験問題の中に致命的なタイポ(誤植)がありました。

私自身、過去問を解いたため分かるのですが、このタイポはかなり学生を混乱させるもので、試験中にたくさんの学生が混乱し、時間を無駄にしてしまったそうです。

そのため、2012年は、特例措置で、試験時間が15分ほど延長され、更に、かなり優し目に採点されたようです。


その結果、半数以上(51%)の学生が70点以上(Distinction)を取るという異例の事態になってしまいました。

その結果、2012年にOverall Distinctionを取った学生は、アドミッションの想定していた数より多く、約30%の人が取得したという話を聞きました。





この結果を踏まえ、不運にも、今年は計量経済学の問題のレベルが格段に難しくなりました

上記の分布表を見ていただいても分かる通り、今年は、全学生中たった9%しかDistinctionが取れなかったというかなり極端な結果になってしまいました。





私自身は、2013年の計量経済学の問題については、ほぼ全ての問題に解答できたため、かなり自信を持っていました。

しかし、ふたを開けてみると、4教科中唯一のPass57点)というひどい結果で、4教科の中で最も自分が予想した点数と乖離がある結果でした。

未だになぜそのような低い点数になってしまったのかよく分かっていないのですが、2013年は、問題の難易度を上げるとともに採点をかなり厳しくしたようです。




2013年は、私のように、計量経済学で、自分が予想した点数と取得した点数に大きな乖離があると感じる学生が多くいたようで、不満を抱いている友人が多かったです。


博士課程を目指していた学生は、この不幸な年の最終試験に当たってしまったことを悔やむとともに、あまりにも昨年との差(Distinction51%→9%)が大きいことにかなりの不満を抱いていました




一方、前掲の計量経済学の表を見てもらうと分かるのですが、2013年の計量経済学ではFail50点以下)の学生もかなり多くなっています。

この表には、40点以下の割合が含まれていないので分かりにくいのですが、2013年のテストは約2割の学生がFailしているという酷い結果になていることが分かると思います(2012年は3%)




このようなDisasterが起こってしまったこともあり、最終試験のテスト結果発表後、Face Bookのグループ上で、不満を抱いている学生を集め、抗議文を作成し、署名を集めてAdmissionに訴えるという運動が起こっていました(その結果、どうなったかはわかりませんが。。。)






私自身は、計量経済学でPassという成績を取ってしまったわけですが、他の3教科で運よくDistinctionを取ることができました(ミクロ78点、マクロ71点、国際経済学70点)。


以前にもご説明した通り、「3教科Distinctionを取り、かつ残りの1教科がPass以上の場合には、4教科の平均点に関係なく、Overall Distinctionとなる」という基準を満たすことができ、目標であったOverall Distinctionを取ることができました




なお、2013年の全体成績の分布は、Distinction 11%、Merit 47%、Pass 42となっており、特にOverall Distinctionの学生数が昨年の半分以下になってしまったようです。


そのような意味でも、今年の最終試験は、博士課程を目指していた学生たちにとっては、大変運の悪いテストと言わざるを得ないものでした。

(この反動で、来年はよくなるのかもしれませんが。)





最終試験についての説明も終わりましたので、次回でこのブログも最終回の予定です!