日本航空が会社更生法の適用を申請し、
裁判所の監督下で再建を目指すことになった。
長い間紆余曲折のあった協議に対して、
政治が楔を打つことによって、一定の方向に
進み始めた。
しかし、会社更生法による再建には
多くの困難が伴う。
まず、会社は「株主のものである」という前提
が崩れ、裁判所の管轄のもとにおかれる。
破産管財人が選任され、管財人を長とする弁護団
が、債権/債務の管理の一切の権限を握ることに
なる。
まず、これだけの大企業の会社再建を引き受けら
れる破産管財人を選任するだけでも大変だろう。
そのほかさまざまな問題や経緯をいかにまとめてみた。
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1)まずは、これまで通り飛行機が飛ばないことには
話にならない。
日航の通常運航支援、政府が具体策検討
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100110AT3S0900K09012010.html
(日経新聞のWebサイトより引用、ここから)
政府は9日、日本航空が会社更生法を使って
再建を進める方向となったことを受け、
通常通りの運航を維持するための具体策の
検討に着手した。
海外では日航の支店の人員が少ない地域を
中心に、在外公館の職員が取引先や顧客に
一般の商取引債権は保護されることなどを説明。
万が一、日航機の運航が止まった場合に備え、
全日本空輸や海外の航空会社には振り替え輸送
への協力を求める考えだ。
公的機関として日航の支援に乗り出す
企業再生支援機構は、会社更生法を活用しても、
燃料や備品などの一般商取引業者の債権は
全面的に保護する方針を示している。
ただ、倒産法制は国によって異なり、海外の
取引業者の間では現金決済を求めるなどの混乱が
起きることが懸念される。
(引用ここまで)
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2)次は政治的に”公的再建”の合意がなされた
協議について
日航再建問題で閣僚協議 国交相「公的整理で一致」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20100108NT001001608012010.html
(日経新聞のWebサイトより引用ここから)
日本航空の経営再建を巡り、前原誠司国土交通相
は8日の閣議後の記者会見で「企業再生支援機構
による公的整理をする方向で一致している」と述べた。
8日午前には首相官邸で菅直人副総理・財務相、
前原国交相ら関係閣僚が集まり協議。
企業再生支援機構が主張する法的整理を併用した
事前調整(プレパッケージ)型支援と、
銀行団が提示した私的整理による再建案について
話し合った。
前原国交相は会見で「法的整理か私的整理かが関心
を集めているが、興味があるのは(日航の)飛行機
を飛ばしながら再生すること」と改めて強調した。
菅副総理は「再生へ向けた後方支援が私の役目」と
述べるにとどめ、法的整理を採用するかどうかは
明言を避けた。
(引用ここまで)
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3)莫大な債務超過について
日航の債務超過は7千億円 支援機構が試算
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100106/fnc1001061055008-n1.htm
(産経新聞のWebサイトより引用ここから)
2010.1.6 10:54
日本航空の再建支援を検討している官民共同の
企業再生支援機構が、日航の債務超過額について
7千億円程度と見積もっていることが6日、
分かった。
すでに日航のメーンバンクである日本政策投資銀行
など主力取引銀行に提示している。
支援機構は、事前に再建計画をまとめた上で
会社更生法などの法的整理に移行する事前調整型の
事業再生での再建を目指しているが、会社更生法の
申請後も株式上場を維持する考え。
支援機構は、日航からの支援要請を受けて、
資産査定を実施。前原誠司国土交通相直轄の経営再建
の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」も
2500億円程度の債務超過になるとみていたが、
支援機構は古い航空機などの資産価値などを厳格に
査定したという。
この結果、債務超過額が大幅に膨らんだものとみられる。
日航再建に向け、支援機構は法的整理を有力案として
提示しているが、法的整理に移行した場合、
主力取引銀行などの債権者の負担額は7千億円程度に
のぼる公算が大きい。
私的整理に移行した場合に比べて2倍以上の負担が
増える計算で、主力取引銀行は法的整理には消極的な
姿勢を示している。
一方、前原国交相と支援機構は、支援決定後の日航の
経営について、外部から最高経営責任者(CEO)を
招き入れる方向で調整に入った。日航は労働組合が
8つに分かれるなど複雑なため、労務に詳しい経営者
を軸に候補者を絞っているという。
(引用ここまで)
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4)公的整理に伴う、銀行団の債権放棄の問題について
日航法的整理、3メガ銀受け入れへ 今期に追加損失計上も
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100109AT2C0801008012010.html
(日経新聞のWebサイトより引用ここから)
日本航空の民間主力銀行である3メガバンクは、
法的整理の方向が固まったことへの反発や
無力感をにじませながらも、最終的には受け
入れる見通しだ。
会社更生法の適用申請に伴って金融債権を放棄
するだけでなく、保有株式の価値も大きく
目減りする。2010年3月期に追加損失の計上
を迫られる。
3メガは「貸出債権の一部放棄など私的整理に
よる再建は可能だ」と主張してきたが、政府は
法的整理の道を選んだ。
民間銀行側の筆頭メーンバンクである
みずほフィナンシャルグループは、500億円規模
の追加損失を計上する可能性がある。
3メガではみずほの想定損失額が最大で、
三菱UFJフィナンシャル・グループ、
三井住友フィナンシャルグループがこれに次ぐ。
(引用ここまで)
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5)公的再建の具体的なプロセス・詳細について
の企業再生支援機構の検討について
日航リストラ策拡充、支援機構方針 更生法活用で再建
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100109AT3S0804608012010.html
(日経新聞のWebサイトより引用ここから)
会社更生法の枠組みを使って再建を進める方向と
なった日本航空について、公的機関として支援に
乗り出す企業再生支援機構はリストラ策を拡充
する方針を固めた。迅速な手続きを活用して
抜本的に経営を立て直すのが狙い。
機構は金融機関に要請中の債権放棄を3500億円に
上積みし、国内外の路線撤退や人員削減も上乗せする。
株主責任は100%減資で上場廃止にするか、持ち分
を残して上場を維持するかで両論があり、政府内
で調整を続ける。
日航は19日をめどに東京地裁に同法の適用を申請する。
これに先立ち、政府は週明けにも支援方針を決定する
方向だ。
前原誠司国土交通相は8日夜、鳩山由紀夫首相と会談。
前原氏は会談後、記者団に「機構が支援決定する段には、
閣議了解などで政府としてバックアップすることが必要」
と語った。首相は「日航の運航に極力支障がないように
今日まで努力してきた。これからも努力する」と述べた。
(引用ここまで)
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6)会社更生法適用を選択した狙い・意義について
【日航再建】会社更正法は、公的資金投入へ透明性高める狙い
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100109/biz1001090136002-n1.htm
(産経新聞のWebサイトより引用ここから)
2010.1.9 01:33
私的整理か、法的整理か、大きく揺れた日本航空の
経営再建は、法的整理のなかでも債権者への制約が
強い会社更生法を活用しながら、官民共同ファンド
の企業再生支援機構が先導する道を歩むことになった。
会社更生法という「ハードランディング」を選んだ
のは、支援機構が多額の公的資金を投入する上で、
裁判所の管理下で透明性を高める必要があるとの
判断が政府内にあったからだ。
再建にはさまざまな債務の圧縮が不可欠で、
銀行団や政府、企業年金の減額に向けた日航退職者の
同意など関係者の利害が複雑に絡み合っている。
この利害調整にこそ、裁判所の判断を仰ぎながら
公平感の高い再建ができる会社更生法が選ばれた
大きな理由がある。
特に、年金債務の圧縮では反発する退職者も多く、
支給額の削減に必要な退職者の同意を得られるか
どうかは不透明だ。
政府は財産権の侵害という憲法違反も覚悟で
強制削減に向けた特別立法を検討してきたが、
法的整理ならば、特例措置に伴う行政訴訟など
将来に禍根を残す恐れがない。
支援機構が日航再建を進めるために与えられた
時間が限られていることも会社更生法を選んだ
一因だ。
支援機構の存続期間は5年。私的整理によって
利害調整に時間がかかれば、日航に出融資した
資金が最終的に国民負担として跳ね返る恐れが
高くなる。
何度も経営危機を迎えながら政府の支援を受けて
きた日航に対しては、経営体質の甘さを指摘する
声は強い。今度こそ支援機構のもとで抜本的な
経営改革を成し遂げられるか、日航の再建は
まさに正念場を迎えている。(石垣良幸)
(引用ここまで)
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7)その他Q&A
(1/9)Q&A 日航株、更生法でどうなる?
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt254/20100108AS2D0802808012010.html
(日経新聞のWebサイトより引用ここから)
日本航空が企業再生支援機構の支援を受け、
会社更生法を活用して再建を目指す方向で
あることが明らかになった。
株主の保有株はどうなるのか。論点を整理した。
Q1 債務超過額が8000億円を超えるとも伝え
られている。38万人を超える株主の保有株
や株主権などはどうなるのか。
A1 通常なら会社更生手続きに入った場合、
「株主の議決権は裁判所が債務超過と認めた
時点で無効となる」
(事業再生に詳しい藤原総一郎弁護士)。
債務超過とは負債が多すぎて、資産を処分
しても返せず、自己資本がマイナスになって
いる状態。
これまでは債務超過の企業は会社更生法の
適用を申請すると、100%減資するケースが
多かった。この場合株主の持ち分はゼロになる。
つまり事実上、紙くずになってしまう。
Q2 現段階では100%減資とするのか、99%減資
など、持ち分をわずかに残す方式とするのか
は両論あるようだが。
A2 100%減資と、99%など100%未満の減資では、
株主の経済的持ち分に対する影響が全く異なる。
100%減資でない場合は、保有株は“紙くず”
にはならない。ただ再生に向けての増資
(新株の発行)によって議決権の保有比率が
薄まることはある。
Q3 減資とは具体的にどういう意味か。
A3 厳密に言うと、会社法では資本金の金額を減らす
ことを意味するが、これはあまり実際的な意味
のある話ではなく、今回の日航の再生を巡る
議論では株の無償・強制取得を指している。
「99%減資」という場合、1000株持っていたら
990株を会社が対価ゼロで取得する。
「100%減資」なら全株を会社が取得する。
Q4 株式の上場のルールなどについてもっと詳しく
知りたい。
A4 100%減資(全株の無償取得)なら上場廃止だ。
そこまでいかない99%などの「減資」を選択
するならば、上場が維持される可能性がある。
会社更生法の場合、整理銘柄になり、その後
上場廃止となるのが普通だ。
ただ、東京証券取引所では
(1)上場している普通株の100%「減資」をしない
(2)裁判所が手続きを認可する見込みがある
(3)時価総額が10億円以上
の3つの条件がそろえば、上場維持が可能という
ルールが設けられている。もし認められれば
初のケース。
更生手続きの内容や再建計画の内容によっては、
通常の売買が続けられる可能性もある。
Q5 上場が維持された場合、株価はどうなるのか。
A5 更生計画の内容にかかわらず、上場が維持される
場合、株価は株式市場で決まる。これまでと同様だ。
ただ、減資によって
“端株”(最低取引単位=日航は1000株=未満の株、
正式な用語は「単元未満株」)が発生する可能性
もありそうだ。1000株しか持っていない株主が
99%「減資」されると、保有株は10株に減る。
この場合、取引に支障が出ることも考えられる。
これにどんな対応がなされるかも、今の時点では
不透明だ。減増資などに絡み、株式の併合などが
行われる可能性もあるとの指摘もある。
Q6 日航株には航空券の株主優待割引がある。
更生法となるとどうなるのか。
A6 原則として会社が決めるので、制度の行方は
分からない。2001年に法的整理となったマイカル
の場合は上場廃止と同時に優待も廃止した。
非上場企業で民事再生法の適用を申請した
北海道国際航空(エア・ドゥ)は、100%減資
で新たな優待はなくなったが、進呈済みの
株主優待券の有効期限までは破綻前と同じ扱い
としていた。なお、現在の日航の株主は1000株
保有で優待対象になるが、減資で保有株が減ると、
1000株しか持っていなかった人は計算上、
優待の対象でなくなる。
(引用ここまで)
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8)法的、私的整理の違いについて
日航再建 法的、私的整理どう違う?
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100106/fnc1001062348020-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100106/fnc1001062348020-n2.htm
(産経新聞のWebサイトより引用ここから)
2010.1.6 23:47
日本航空の再建手法をめぐり、関係者間で対立が
深まっている。支援を検討している官民ファンドの
企業再生支援機構は、法的整理案を提示。
これに、日航と国土交通省は、私的整理での再建を
主張している。その違いをまとめた。
Q1 法的整理とは
A1 債務返済できなくなるなどして経営破綻すること
を一般に「倒産」と呼ぶが、法律上の定めはない。
破綻会社の整理方法は法的か私的かに大別され、
法的に再建を目指すなら会社更生法と民事再生法
が利用できる。
Q2 再生機構が模索しているのは
A2 会社更生法だ。社会的影響が大きい大規模企業が
対象で、債権者への制約が最も強い破綻の手続きだ。
債権者の担保権行使も禁止できる。100%減資
されることもあり、そうすると株券は紙くず同然。
日航が債務超過なら、年金の強制放棄といった
大なたをふるうことも可能だ。
Q3 再建に有効だと
A3 裁判所選任の更生管財人が再建にあたるため、
厳正で公正というメリットもある。ただ、経営陣の退陣が原則で企業には強い抵抗がある。銀行や株主の反発も強い。手続きが複雑で時間や費用もかかる。
Q4 早期再建が不可欠だ
A4 そのため、再生機構は、燃料などの
一般商取引債権保護や株式上場維持などに
ついて関係者と事前調整を進め、再建手続き
を迅速化させる意向だ。
年金削減での受給者との事前合意も重要になる。
裁判所との入念な協議も必要だ。
Q5 民事再生は
A5 企業規模や財務内容、債権者の意向も考慮した
企業再生が可能になるが、経営陣の残留も
認められる。
銀行などの同意も適用前提で、裁判所の関与
も弱く、調整実現は難しい。
Q6 私的整理はどういうものか
A6 裁判所が関与しないので、債権者の話し合い
次第では、弾力的でスピード感ある対応も
可能になる。「倒産」のイメージも弱く、
社会的信用も維持されやすい。半面、透明性
を確保するのが難しく、再建計画が一部の
大口債権者の意向に左右されてしまう危険が
ある。民事再生同様に債権者らの合意が条件
で、調整が困難なこともある。
Q7 政府・与党内の反発も強い
A7 日航への公的資金注入への国民理解を得る
ためにも、不透明な私的整理は支持できない。
高額な年金の穴埋めに資金が流用され世論の
反発を浴びれば、7月の参院選にも影響
しかねない。
企業年金を制限する特別立法も、憲法の財産権
に抵触しかねず難しい。
(引用ここまで)