完治が難しく、極めて急変のリスクが高い患者に対して医師は患者・家族と一緒に治療の「ゴール」を決めていく。
全力で治療に当たる「Full code」と真逆に与えられる選択肢がある。
DNR.
Do not resuscitate
蘇生処置拒否
救命の現場でも全ての患者に蘇生処置を行うわけではない。
心停止となった場合に蘇生処置を希望しない家族は多く、その理由は様々だ。
蘇生しても社会復帰が望めない。
蘇生後の予後が極めて不良。
苦痛を伴う治療を患者自身が望んでいない。
人命救助の為に多くの人の人生をかけた弛まぬ努力の結果、日々医学は着実に進歩している。
そんな今日も、息が止まる その瞬間を
私たちはただ見届けることしか
出来ない場面も多くある。
苦痛を伴う侵襲的な処置を行わずに
自然な経過を辿る方針となった患者さんを
私たちは「お看取り」という。
お看取りの患者さんになると
ほとんどの医師は足が遠のく。
そうなると 患者さん ご家族に寄り添えるのは
私たち看護師だけになる。
お看取りの患者さんに私たちができること
・個室に移動
ご家族が静かな環境で最期の時間を一緒に過ごすことができる
・面会フリー
時間を気にせず少しでも長い時間、ご家族と過ごすことができる
・ご家族への声かけ
悲嘆のプロセスを経て死に向き合うご家族の想いを傾聴し、寄り添っていく
・適切なタイミングの電話連絡
亡くなる最期の瞬間をご家族が看取ることができるように予兆がみえたタイミングで呼び出しの電話連絡をする
特に4つ目に関してはとても難しくて、
心拍数が100台くらいが続いていても、
ほんの十数分で突然 脈が弱くなり、
そしてストンと落ちてしまうことも多い。
ご家族が間に合わなかった時は
後悔のような 申し訳なさのような
重いものが心にのしかかる。
最期の旅立ちを大切な人たちに
囲まれた時間にしたいと思うのに
それが叶わなかったときは
とても辛い。
お看取りの患者さんに私たちができることは
限られている。
幸せな最期なんて
ないのかもしれないけど
別れはいつだって辛いものなんだけど
どうか
最期の瞬間を大切な人と過ごしてほしい
と思っている。
きっと
看護師のエゴかもしれないけれど。