本当の自分がもうよくわかりません。
開口一番、そんな風に言った。
殻を破りたい自分と、どうなるかわからない不安。
その狭間に揺れていた。
そして、これまで培ってきた経験、
自分を取り巻く環境をどうしても切り離せない。
これまでたくさんのものを護ってきたからだ。
怖くなるのは当然。
世の中のほとんどの人がきっとそうだ。
でも、ここに参加するという勇気を出した。
それだけでも1歩進んでいるんだ。
歌プロはゴールじゃない。
きっかけにすぎない。
ここから2歩3歩と歩んでいけばいい。
3歩進んで2歩下がったっていい。
足を前に出したということがすでにチャレンジだから。
そして、進んだからといって、これまで通ってきた道がなくなるわけじゃない。
進むと急に後ろが崖になってしまうような感覚だから怖いのだ。
そんなわけがない。
これまでの自分が消えてなくなるわけじゃない。
十分に地ならしをして、整備してきた道。
そこを通ってきたからこその今がある。
「この先にもっと可能性が広がっていますが、どうしますか?」
そう問われたら、歩みを進める選択しかない。
本当は知っているんだ。