ハンス、絶体絶命のピンチから、続きです。
夜が明けて、やっとハンスは目を覚ましました。
頭がズキズキ痛むのをこらえて、起き上がります。
そしてひとつずつ、ナヨンの話を思い出すのです。
(ナヨン) 見たのよ、あの夜。
(ハンス) あの三人が覆面をしてたって?
(ナヨン) 弟さんがいなくなって、必死で探してたわ。大好きだったのよ。ハンスさんの弟のことが。アパートの人たちは、ハンスさんの弟のこと、大好きだった。ひょっとして、そこに理由があるんじゃないかしら。
(ナヨン) 助けてくれってメッセージ、変じゃない?
(ハンス) この家で、人が死んだって言っただろう?
(ナヨン) 大丈夫よ。今は。
ハンスは、ナヨンの家にやってきました。
(ナヨン) あの部屋で人が死んだの。
ナヨンがそう言った、テープで封をした部屋の前です。
(ナヨン) どうしてハンスさんに連絡してこないのかしら。
(ナヨン) ハンスさんの弟は、どこにいるのかしら。
ハンスが扉のテープをはがしていきます。
(ナヨン) 弟さんをみつけてあげなきゃ。
テープをはがして部屋に入ると、部屋には強烈な悪臭が満ちていました。
壁に飾られた、ナヨンと見知らぬ男の結婚写真。
本棚の奥には、屋外用の大きなゴミ箱。
強烈な臭いにむせながら、ゴミ箱のふたを開けて中を見たハンスは、ひどい吐き気に襲われました。
ハンス)うえーっ、ぐえーっ・・・
(ナヨン) 夫が暴力をふるって、とうとう妻が夫を殺したそうよ。
(ナヨン) みんな、足りないところがある人たちよ。寂しくて傷つき、傷ついて孤独な。欠けていて孤独な人間たち。そういう人たちは、自分たちの足りないところを補ってくれる何かをみつけると、狂ったように依存するのよ。後先を考えもせず。狂ったように。
(ナヨン) 好きだったわ。アパートの人たちは、ハンスさんの弟が大好きだった。ひょっとして、そこに理由があるんじゃないかしら。
ナヨンの家から出ると、廊下にソンニョが待っていました。
ソンニョ) 違う。私じゃないわ。私がやったんじゃないわ。ごめんね、ハンチョルさん。
ソンニョの目には、ハンスがハンチョルに見えているようです。
ソンニョ) こ、これ。ハンチョルさんのものでしょう。
そう言って、手帳と時計をハンスの手に握らせました。
ソンニョ) 私は嫌だって言ったのに。この部屋の女が、あの女が・・・全部やらせたのよ。
ハンスがナヨンの家に入ってから、ずっと、とても悲しいBGMが流れています。。。
ソンニョ) 行かないで、行かないで、行かないでーーーっ
ソンニョが引き留めようとするのを振り切って、ハンスが去ろうとすると、ソンニョは首にかけた鍵を取り出しました。
「これなぁんだ」と言わんばかりに。
そうしてハンスを、どこかへ連れて行こうとするのです。
そこへ、ナヨンから電話がかかってきました。
ナヨンの告白で、すべての真実が、明らかに。