またしばらく日があいてしまいました、すみません。
その2 のラストでは、「この作品はじつに細かな<布石(キーと言ったほうがいいでしょうか)>がそこかしこにちりばめられているので、それを探しながら観ていたがくのもひとつの楽しみです」というニムのコメントがございました。
で、ギチョル役のイ・ヨンさんと対面するシーンに続きます。
監督 「イ・ギヨンさんやキム・ウンスさんとの演技はいかがでしたか? 大先輩でしょ?」
ヨンウ 「難しいより、却ってすんなりと演じられたように思います」
ミン 「ヨンウ先輩の白目、すごくきれいですよね」
ヨンウ 「CGだよ」
一同 大爆笑 ^o^
ミン 「周りの人からよく言われましたよ。目がきれいすぎるよねって」
ヨンウ 「実際にこんなふうに靴のかかとに麻薬を隠すものですか?」
監督 「昔、ドラマだか映画だかで見た記憶があってね」
(ハギは仕事柄、月に一度は税関に行くのですが、少し大きめの官署に行くと、<密輸展示コーナー>が作られています。海外から麻薬をどんなふうに隠して持ち込もうとするか、という手口の展示です。ドラマの中同様、靴底に隠して持ち込まれる実例も見たことがありますよ ^^
<密輸展示コーナー>は誰でも自由に見学できます。東京はお台場 大江戸温泉物語すぐ、名古屋は名古屋港水族館すぐ、のところにあります)
ミン 「実際にお会いするまではそれほど思わなかったのですが、ヨンウ先輩って本当に男前ですよね。現在活躍している男優の中で一番、容貌について過小評価されていらっしゃると思っています」
(ナングン・ミンさんはここまでの間にとにかく繰り返しヨンウニムのルックスを褒めまくっていらっしゃいます。あまりに何度もおっしゃるので、ジヘさんはクスクス笑って聞いておられます。おっしゃることはごもっともなのですが、あまりに繰り返されるとちょっとわざとらしく聞こえたりもします・・・)
ヨンウ 「登場人物同士の関係がよくわからない、と言われます。カン刑事とギチョルとか、班長とか」
監督 「2時間という限られた時間の中ですべて説明することはできなかったので、私自身も残念に思っています」
監督 「アイロンがけのシーンは、私が好きな日本の映画監督今村昌平さんの作品がヒントになっています」
監督 「ミヌの正体を知ってしまったスヨンがどんな行動を取るかについてはずいぶん悩みました。レイプという犯罪を美化しすぎではないかという指摘をたくさん受けましたが、そういう意図はまったくないことを、もう一度明言させていただきます。美化しようという意図があったなら、スヨンが最後の最後までミヌを許さないという設定にはしませんでした」
ヨンウ 「とてもデリケートなテーマですからね」
監督 「このシーンは何度も何度も撮り直して、ジヘさんの目がどんどん腫れぼったくなっていったんですよね」
ジヘ 「それが却って時間の経過やスヨンの心労を伝えてくれるのでよかったと評価されています」
ヨンウ 「私はこのシーンの、ミンさんの節制の効いた演技が気に入っていますよ」
ヨンウ 「このシーンでは班長が非常に重要なことを言うのですが、観客の立場からするといきなりのタネ明かしのようで、、、登場人物同士の感情のぶつかり合いが詳しく描写できなかったのは残念です」
監督 「このあたりから仲間の刑事がカン刑事を疑い始めるし、カン刑事との個人的な感情の対立も見えてくるシーンですね」
ヨンウ 「非常に深いので、1回観ただけでは見落としてしまうし理解がついてこないと思うんです。ディテールな部分を考えながら何度か観ていただけるといいなって」
監督 「楽しむために映画を観たい一般客にとっては、あまり細かな設定は興味の湧かないところで、詳しく説明しても退屈がられるだけなんですね。一方でマニアックな観客は、映像の裏の裏を読もうとする。両極端な観客に対して、どのあたりの線を選択するのがよいかはずいぶん悩みました」
監督 「ミヌのシーンとカン刑事のシーンは、実際には時間差があるのですが、それを観客に悟られてはいけない、観客をだまさないといけない部分があったり、ミヌとスヨンの優しいトーンの映像とカン刑事の疲弊して暴力的な映像とのバランス、そういうのがとても難しかった作品です」
続いて出てくるのは、カン刑事がクレーンで吊られるシーンです。
監督 「このシーンのロケ現場を最初に見たとき、どう感じましたか?」
ヨンウ 「ちびりました(笑) 映像処理されたのでなく、実際にこのとおり撮りましたからね」
監督 「高いところにクレーンが設置されている現場をいろいろ見て回ったけれど適当な場所がなく、帰り道に偶然みつけたんですよね。オーナーも撮影を許可してくださったけれど、人を吊るして海側に回転させるのは危険だからやめろと言われました。でも、やらないとシーンが嘘くさくなる」
ヨンウ 「ここで撮ると言われたときにはそれほどとも思わなかったのですが、実際撮影に入るととても大変でした」
監督 「カメラのアングルを調整する段階ではスタントマンにやってもらいましたよね。スタントマンでさえ、頭が下に下がった状態で長時間撮影するのは無茶だと言いましたが、ヨンウさんは大変辛抱強く、撮らせてくださいました」
(いやいや、事故がなかったからよかったけど、、、韓国の芸能界はどーも、役者さんやタレントさんを消耗品扱いされている気がしてなりません。世界の韓流を牽引している方々なのに!もっと大事にしていただきたいものです・・・)
続く刑務所のシーンは、映像が暗すぎるのでキャプチャーはしませんが、、、
監督 「ギチョルが殺害されるシーンですが、セリフなしに展開します。それではわからないという意見も多かったのですが、入れるとなるととても長くなるので・・・」
ヨンウ 「個人的にはとても気に入っているシーンです」
監督 「それはよかった」
監督 「さて、ここからミヌが、いなくなったスヨンの捜索を始めます。私としてはミンさんの演技にとても満足しているシーンです。ここから、ミヌという人物のもうひとつの顔が浮かび上がってくるからです」
ミン 「演技もお上手でしたよね、驚きましたよ」
監督 「紙幣の詰まった鞄の横に携帯が見えるでしょ。削除されてしまって残念なんですが、ジッパーを締めると同時に電話がかかってくる予定だったんです。そして、場面が過去に飛ぶ・・・」
監督 「病室で誕生日を祝うシーンは、私とヨンウさんの意見が合わなかったシーンでしたね」
ヨンウ 「シーンの順番が変更になりましたからね。当初はこの順番で使われるシーンではなかったので、シナリオに書かれたとおりの順番だったとしたら、ちょっと違うんじゃないかと思ってました」
ヨンウ 「結局、撮影は最後の最後になりましたね。その他のハイライトシーンをすべて撮り終わったあとの撮影だったので、自然な演技はできてよかったと思うのものの、多少疲れが出たというか、全部出し切った後だったというか、そういうのが残念です」
監督 「カン刑事がスヨンの指にはめてやる指輪は、映画の最初の方でスヨンがはめている指輪なんですね。そこでスヨンがカン刑事の妻だということをばらしているのです。 当初はこのシーンでスヨンの全身をカメラがなめていき、顔まで映してはっきりさせることを考えていたのですが、ここであまり明確にしてしまうとこの後の展開に観客が混乱すると思ったのでカットしました」
はい、今日はこのあたりまでにしておきましょう。
その4につづく。