【bubbleの魔法物語】

あるところに虚な目の魔法使いがいました
どうして彼はいつも虚な目をしているのか?
実は彼は呪いの魔法にかかっていたのです。
どんな呪いって?

永遠の命、つまり不死の呪い
彼は永遠の時を何十年、いや何百年も過ごしておりました。
あまりに長い時間(とき)を過ごしてしまった彼は、いつしか時間(とき)が経つのが一瞬に思えるようになっておりました。
それはまるで、水の中に漂う泡が一瞬にして消えるような、そんな感覚です。

この呪いを解く魔法はこの世でただ一つ
「心から愛する人間を見つける事」

それは魔法使いにとってとても酷な事でした。
何故ならこの呪いにかかった瞬間に感情をなくしてしまったのです。
もう彼は呪いと共に楽しみも喜びも忘れてしまったのです。
そして愛するという感情も…。


儚い時間をまた何十年も過ごしたある日、彼はとある女性に会いました。
虚な魔法使いにとって、その出会いはとてもとても特別な出会いでした。
もう何も感じなくなっていた彼でしたが、
その人の笑顔が、その人の声が、その人の手の温かみが、とても愛おしいと感じたのです。

それから泡のように感じていた1日1日が大切な時間に思えるようになりました。
笑ったり泣いたり怒ったり喜んだり…
彼女と過ごす毎日は、まるで呪いを溶かしていくような温かい魔法に感じました。

そんな愛おしい毎日は反面、魔法使いを苦しめました。
感情が戻っていった魔法使いは、呪いもきっと解けると感じておりました。
しかしそれは同時に「死」を意味していました。
彼は生き過ぎました。
呪いが解けた瞬間、その生きた時間の代償が襲いかかるのです。

魔法使いは彼女をずっと愛し続けたい気持ちから
とある「呪い」を彼女と彼自身にかけました

「貴女との思い出は泡のように儚く美しかったです。
この思い出を私は忘れたくないから、呪いという名の魔法をかけました。
これは私の我がままです。
貴女がもしこの魔法を受け取ってくれるのなら、来世で私は貴女にこの気持ちを伝えたい。」

呪文のように、そう伝えた魔法使いの言葉に彼女は「もちろんお受け取り致します。」と愛おしそうに応えた。

にっこり微笑んだ魔法使いは
彼女の小さく愛おしい耳元にそっと耳飾りを贈った。

「これが呪いの証です。」

まるで泡のような、その耳飾り
魔法使いのかけた呪いは来世まで解ける事はない

お互いが来世まで想いあえたのなら
出会うことができるであろう

その時まで、この言葉を心にしまっておきます

「貴女を永遠に愛しております。」


Fin.