ナダル、フェデラーと衝突:カウンシルを辞任 | マレー・ファン@ラブテニスワールド

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マレーがついに2012年ロンドン五輪で金&銀メダリストとなりました。
一緒に応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

ラファエル・ナダルがATPプレイヤー・カウンシルの副委員長を
辞任したというショックなニュースがありました。
デイリーテレグラフ紙より

ナダルとフェデラー


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理由はナダルの提唱する『2年間に渡るランキング制度』を
委員長のロジャー・フェデラーが先に進めようとしないこと、
さらに新しいATP会長を誰にするかで二人の意見が分かれたことが
原因とされています。

まず『2年間に渡るランキング制度』について。

1年間でポイントがなくなる現状の制度だと、前年稼いだ
ポイントはその翌年の同時期に白紙に戻って
しまうため、
怪我や病気をしたらその期間中、ポイントが
減っていきます。

ただ誰もが一年を通してベストコンディションで試合を
続けられるわけではありません。

ゴルフ界と同じように2年間を通してポイントを貯めることができ、
最近の試合結果が比重を大きく持つようにすれば、一つの大会で
棄権してもプレッシャーにならず、無理をして試合参加すること
がなくなり、各選手が
キャリアを長く保てるはず。

これがナダルが提唱している『2年間に渡るランキング制度』の
アイデアです。

でも委員長のフェデラーは違う考えのようです。

「その制度にしたらテニスが面白くなくなってしまうよ。
 それにランキングの低い選手たちが一気にランクを
 上げることができなくなってしまうしね」

確かにランキングの変動はファンを一喜一憂させる要素。
もちろん新しい選手たちの台頭もわくわくするところ。
私も一喜一憂しているファンの一人ですから、フェデラーの
言葉は頭を低く下げて聞くしかありません。

でも素晴らしい選手が予期せぬ怪我や病気で休養し、彼らが
これまで築き上げてきた記録が泡となり、突然ランキングの
転落が起こるのもファンとしてはショックです。

現に、去年の今頃はトップ5として肩を並べていたロビン・
ソダリングが、病気のためすでにランク30位に転落。

ソダリング

もし今年後半までに復帰できなければ、ランキングから姿を
消すことになってしまいます。

さてナダルとフェデラーの意見の衝突は、全豪オープン前にも
勃発しています。

フォックスニュース・ラティノより

去年の暮れ、アンディ・マレーを含め多くの選手たちが

現在のテニスシーズンが長すぎるという懸念を示し、
一時はストライキという言葉さえ出ました。

ナダルはこの問題のまとめ役として、プレイヤー会議などを
提唱しましたが、やはりここで難色を示したのが委員長の
フェデラー。

フェデラーは「選手たちが公に問題を語るのは、テニスの
イメージが悪くなる」
と、この問題を前に進めようとは
しませんでした。

これを受けて、ナダルはフェデラーを強く批判。

「僕にはまったく納得できない。フェデラーにとっては、
 何も言わないことが正しい。何事も明るい未来が開けている。
 「僕にとって
万事すべてがうまくいっている。僕は紳士」で
 他の選手たちはどうぞ勝手に自滅してくださいという態度だ。

 彼(フェデラー)はサーキットが好きだ。僕もサーキットが
 好きだ。テニスは他のスポーツと比べて非常に素晴らしいが、
 さらに素晴らしくならない理由はないし、ツアーで変えたほうが
 いい点がないわけではない。ツアー自体は素晴らしいが、
 中には悪い点もある。それを僕たちは訴えているだけだ。

 これと同じ意見をほとんどの選手たちが訴える中、彼は
 違う意見を持っている。
 もし大多数の選手たちが同じ意見を持っているのに、
 少数だけが違う意見を持っていたらその意見が間違っていると
 いうこともあり得るよね」

これまでナダルとフェデラーはテニスを世界にアピールする
存在としてPRやイベントで肩を並べてきただけに、
このナダルの
フェデラー批判は、かなりのショックを引き起こしました。

この意見の違いは、二人の経歴を大きく反映しています。

フェデラーは長いキャリアの中で一度も大きな怪我をしたことが
ありません。でもナダルは2年前に怪我で苦しんで以来、いかに
そこから元のレベルに戻るのが大変かを経験しています。

フェデラーはもちろん健康状態に気を配り、無理をしない
スケジュール管理をしていることでしょう。

また無駄のない動きがフェデラーのプレイの特徴でもあるので、
他の選手と比べると身体に負担がかからないのかも知れません。
でもすべての選手がフェデラーのようにラッキーとは
限らないわけです。

「僕はテニスを愛しているし、多くの面でテニスに感謝している。
 テニスのおかげで素晴らしいライフスタイルを送ることが
 できている。
 でも身体中に痛みを負いながらキャリアを終えるのは
 果たしていいことだろうか?

 多分(フェデラーは)超人の身体を持っていて、薔薇のように
 キャリアを終えるだろう。でも僕、マレー、ジョコヴィッチは
 そうはいかない。

 テニスは非常にタフなスポーツだ。僕たちはフェデラーのように
 楽々とプレイできるわけではない。
 我々選手たちにとって、テニスは戦いなんだ」

前回ちらりと書きましたが、確かにフェデラーは汗をあまり
かかないと認めています(フェデラー、ラオニッチの挑戦を
冷静に逃げ切る
)。

他の選手が汗びっしょりになり、タオルで顔をごしごし拭きながら
プレイする姿とはかなり対比的ですよね。
私もフェデラーの涼しい姿のプレイは羨ましい限りですが…


さて、ATP新会長についてですが…

フェデラーはピート・サンプラスを含む前世代のテニス界から
現代のテニス界のトップへと移行を果たしましたが、ナダルは
フェデラーを目指し追い越した次の世代。

この違いがATP新会長選出をめぐり、意見が分かれるもとと
なりました。

ナダルは元ウィンブルドン優勝者のリチャード・クライチェックの
立候補を推薦していました。

リチャード・クライチェック

つい最近まで(90年代に)トップ10選手だったクライチェックなら、
現選手たちの抱える負荷に共感を示すだろうということからです。

ここでもフェデラーはナダルの意見に反対します。
現在クライチェックはロッテルダム・オープンの大会理事を
務めていますが、まだまだビジネスの世界では経験不足という理由。

結果、元アジア太平洋地域代表のブラッド・ドリュウェットが
妥協案として候補に上がり、最終的に新会長に選択されました。

それに続くようにナダルはプレイヤーカウンシルを辞任した
わけですが…

さてナダルのように斬新なアイデアと強い意見を持つ選手代表が
カウンシルからいなくなり、テニス界は穏やかな薔薇色の日々が
始まるのでしょうか?

それとも様々な問題に蓋がされたまま、いろんなことが
さらに山積みになっていくのでしょうか…?

ちなみにATPプレイヤーズ・カウンシルの仕組みについては、
タケゾウ日記:リュビチッチ・ザ・プレジデント!によるATP解説
にて詳しく書かれていますよ~♪

===

さてこんなトラブルを吹き飛ばすかのように、昨日の錦織圭との
試合では 6-4, 6-4 でナダルが勝利しました。

試合序盤は錦織はなかなか引かず、1ゲーム目は多分20分くらい
かかってナダルを苦しめましたね 
。(;°皿°)

このままいけば勝てるかも…と思っていたら、錦織がブレーク!
でもすぐにブレークし返され、そこからはナダルも絶対に
引かきませんでした。今回は錦織に期待が持てただけに残念。

マレーの方は、予想通り(?)ジル・シモン[13]6-3, 6-4
破りました。

これでマレーの
フランス人犠牲はなんと39回目

多分ここ最近の試合で一番リラックスしてみれたかも…(笑