デ杯の世界ランキング・ポイント制は不公平? | マレー・ファン@ラブテニスワールド

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英国テニス・ナンバーワン選手のアンディ・マレーを応援しながら、
ロンドンでの暮らしを綴るブログです♪
マレーがついに2012年ロンドン五輪で金&銀メダリストとなりました。
一緒に応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!


さてデ杯が終わり、月曜日に新しい世界ランキングが発表されましたね。

$マレー・ファン@ラブテニスワールド-デ杯で活躍したイスナー

$マレー・ファン@ラブテニスワールド


フェデラーに打ち勝って一躍アメリカのヒーローとなったイスナーは
ランキングが3位上昇し、世界14位(自己最高)となりました。
錦織圭もランキングが2位上昇、なんと世界18位!

でもここで疑問が上がるのが、デビスカップの結果が世界ランキングに
ポイントとして加担されるのは、果たして公平なのかどうか?

アンディ・マレーは「これは基本的に不公平だ」と語っています。
(フォックス・スポーツより)

1973年に設定された世界ランキング・システムは「個人の選択や見解や気まぐれ」に
影響されない公平なシステムでした。

ところが2009年に、ATP(男子プロテニス協会)と国際テニス協会の間で、
デ杯ワールドグループ出場国の選手に与えられるポイント制が規定されます。
この決定に対しテニス選手たちは蚊帳の外でした。

さて、デ杯に参加して世界ランキングポイントを得られるのは
ワールドグループに入った16カ国の選手のみ

それ以外の国の選手は、どんなに国のために汗水流して戦っても、
ワールドグループに入るまではランキング・ポイントをもらえないわけです。

たとえばモナコ相手に3連勝したマルコス・バグダティス(キプロス)は
ワールドグループIIのためポイントにならず、ランキングが3位ダウンしました。

どちらもデ杯で素晴らしい功績を挙げたにもかかわらず、この差は…?

怪我の不安と戦いながら一年間のトーナメントの過密スケジュールをこなす
テニス選手は、合間にデ杯という重要なイベントを組み込まなければなりません。

なのに現在のデ杯のランキング制では、ある国の選手には特になり、
他の国の選手にはがんばり損になってしまうわけです。

ではワールドグループ以外の国にもランキングポイントを与えれば
この不公平は解決されるか、といえばそうでもありません。

というのも、デ杯に出場する選手を決めるのは各国のキャプテン。
つまりキャプテンが選んだ4選手のみデ杯参加のチャンスがあるわけです。
これはサッカーでマネージャーが出場メンバーを選択するのと同じで、
キャプテンの「個人的な選択と見解」が影響します。

またスペインなどのように強豪選手がそろっている国の選手たちとなると、
デ杯出場のチャンスが平等に回ってくるのは、ナダルやフェラーなどの
トップ選手が不参加の場合のみでしょう。

また試合直前(開始一時間前まで)に試合参加メンバーを変更できるので、
チームの戦略によっては出場チャンスを失う選手もいます。
たとえばクロアチアは、先日の日本戦でドディッグとカロビッチの二人しか
使いませんでした。

さらに同じチームで勝っても、ポイントがつく場合とつかない場合があります。
というのもデッドラバー(デ杯の勝敗がすでに決まったあとの残りの試合、
2セット先取が勝ち)で勝ってもランキング・ポイントにならないからです。

私個人としては、デビスカップがもっと盛り上がって欲しいと思う反面、
過密なスケジュールをこなす選手たちにとっては、デ杯が様々な問題を
抱えているのがとても残念で仕方ありません。

比べるのはおかしいかもしれませんが、国対抗競技の王者とも言える
サッカーのワールドカップがなぜこれまで世界を沸かせるのか?

これは五輪と同じく4年に一度しか行われないということにもありますが、
サッカーがチーム競技だということにも関係しています。

この4年に一度のチャンスで国の代表として出場権を得るには、日々の
クラブレベルでの活躍がマネージャーの目に留まるのを期待するしか
ありません。

テニスは個人レベルのスポーツなので、デ杯は「別の意味を持った」
チームワークの大会です。

普段一人でプレッシャーを背負っている選手たちにとって、他のプレイヤーたちと
勝利や敗北を分かち合うのはとても新鮮な経験です。

ジョコヴィッチはセルビアを2010年に優勝に導いて以来、自信に満ち溢れた
プレイヤーとなり、2011年にはグランドスラム3回優勝を果たしました。

でも一年間の大会スケジュールを調整するにあたり、トップ選手たちにとって
毎年行われるデ杯がネックになるのは残念なことです。

ナダルは全豪オープン開始前から「2月は療養期間にする」と宣言。
ということはスペインの一回戦はナダルのカレンダーから外れました。

マレーは準々決勝の試合の後、怪我のため数週間トレーニングや試合を禁止。
このため新コーチ、レンドルとの初めてのトレーニングを詰め込むとしたら、
デ杯参加は難しくなります。

ジョコヴィッチにしても、去年の最後のデ杯で怪我を負ったばかりか、
全豪オープンでのマレーとナダルとのマラソン試合のあとに、デ杯参加を
期待するのは無理というものでしょう。

トップ4から唯一参加したフェデラーも、9年間の15連勝記録が打ち破られました。
このあと、フェデラーは「スイスは9月のプレイオフまでデ杯がないので、
体力調整がしやすい」とまで言っています。
(フェデラーがデ杯に今後も参加するかどうかは、スイスの大きな不安ですが)

テニス選手のデ杯にかける情熱は、残念ながらグランドスラムのトロフィーには
まだまだ追いつきません。

さて話は戻って、イギリスはワールドグループIのため、現在は
ランキング・ポイントをもらえません。

トップ4のマレーには影響がなくても、残るイギリス選手にとってはどうでしょう?

世界ランキング258位の若手選手、ダン・エヴァンスはスロバキア相手に
2連勝したにもかかわらず、ランキングは変わらないまま。

マレーは「彼のような選手こそポイントが必要なのに、現在のシステムでは
ポイントがつかない。これは見直しが必要だ」と語っています。

日本の錦織圭選手に関して言えば、全豪オープンでの長時間試合の次の日に
ミックスダブルス、マレー戦、そしてデ杯と、本当によくがんばったと思います。
世界18位、これはまさに得るべきして得た結果ですね!

でも錦織選手は今後もますます大きな大会でチャンスがあると思うので、
無理をしない体力調整も非常に重要になってくると思います。

☆関連記事
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デ杯のポイント制は世界ランキングにとっての大きな課題:フォックス・スポーツ

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昨日までスペインの港町ビゴに行ってました。やっぱり地中海の海産物は涙が出るほどおいしかったです。
なんといってもタコ、新鮮、柔らかい!
日本を離れていると、ほんとに新鮮な魚介類が恋しくなるんですよね~♪

$マレー・ファン@ラブテニスワールド


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