20080819

 窓の外、遠くに見える山々の向こうには大きな入道雲が、まるで発酵途中のパン生地のように膨らみを増している。眼下では、太陽光で鮮やかな緑の芝生の上で準備体操をしている別のクラスの面々が、暑さのせいか、あまりやる気がなさそうに体育の授業を受けているようだ。

 そんな光景を授業そっちのけで眺めている優里もまた、ここ数日の暑さで授業の内容も耳から耳へと素通りしてしまっている。なんとなく聞いている教師の声も遠く、ちょっとした思春期の妄想に耽る時間が多くなった。

 ここは商業系の学校で、男女共学ではあるものの、実際は男子の割合は10対1くらいだろうと、計算などしたことはないが、そんな感じで記憶している。休憩時間にはクラスメイトたちのあけっぴろげな性の話題が飛び交うが、男子は教室の隅で肩身が狭そうに集まってゲームの話などをしている、そんな普通の学校風景だ。

 優里はおおらかなだが、自己主張の激しい

性格ではないので、大声でセックスの話題をするほどの勇気はない。ただ、興味は人一倍、いや二倍はあるのかもしれない。自らを快楽で慰める行為を覚えたのは、小学校の低学年で、まだオナニーという名前すら知らなかった頃の話だ。もちろん意図的ではなく、校庭にあった鉄棒に上り下りしていた時、偶然にも下半身に気持ちのよい感覚を得たためで、いつしか直接に指で刺激を与えるようになったのは中学校に入学してからである。それ以来、すっかりと自慰行為の虜となった優里だが、まだセックスの経験はない。どちらかというと、それに対してはまだ怖い意識が強く、また付き合っている相手もいないので、もっぱらオナニーで快楽を味わうのが日課なのだ。そして、その変化を楽しむようになった最近…。

「ぁん…ぅぅん」

 黒板を書くチョークと、生徒たちの綴るノートを取るだけの静かな教室で、優里の声にならないため息のような喘ぎが響いた…。