数年ぶりに小籠包をつくった。


10年ほど前に中国の西安に行った際に食べた小籠包が忘れられなくて、その頃に探したレシピで、おてがるななんちゃって小籠包だけれど。




西安はかつての都、長安だ。始皇帝が眠る陵墓、世界遺産として有名なあの兵馬俑もあり、歴史の教科書や中国の映画にも何度も出てくる、あの中国三千年の歴史の大舞台。日本で言うなら京都だろうか。シルクロード交易の東の始点でもある。


シルクロードといえば砂漠が近いわけで、西安はとにかく乾燥している土地であり、米作には向かない。だから、この地域の主食は小麦だそうだ。中国は北と南で主食が小麦と米に分かれているそうだけれど、本家本元の粉物文化の首都だったとも言える。どおりで麺や饅頭がやたらにうまかったわけだ。


で、西安の小籠包。


日本でたべる点心の小籠包のようにお上品じゃなかった。西安で行った専門店は、大きな蒸籠に山のように載って出てくる。そうなのだ、あちらではきっと小籠包も主食のひとつなのだ。


店に入ると、ちょうどカンフー映画に出てくるような町中の食堂の雑多な雰囲気で、並んだ大きなテーブルに客があふれ、その間を店員の赤いチャイナ服を着たおねえさんやおばさんたちが、客たちからシャオジェ(小姐)!シャオジェ!と呼ばれながら段重ねの大きな蒸籠を抱えて忙しく行き来している。


ぼくらもシャオジェ!と注文して待つこと数分。ふたたび小姐がやってきて、運んできた蒸籠をテーブルの上にドンと置き、バッと蓋を開ける。ブワッと立ち上がる湯気の下にズラっと並んだ小籠包がツヤッと輝きながら現れるのだ。


この湯気とともに溢れだすたっぷりの肉汁スープの香りがとにかく食欲を刺激する。湯気の向こうの小姐おばさんの笑顔まで輝いて見えてくるほどだ。猪八戒の欲というものが初めてわかった気がした。


小籠包は、飲茶や点心でお上品に二、三個食べて有難がっていてはいけない。これは主食なのだ。肉と小麦とスープが三位一体となった熱々のハーモニーをむしゃむしゃと腹一杯になるまで味わい尽くすべし!



というわけで、自宅での主食(別名、酒のアテとも言う)として、たらふく食べるための小籠包の作り方はこちら😁


https://cookpad.com/recipe/442265