悪夢とはこのことだ。
いっそ夢であってほしい、、、あいつのことを優に説明する前に
帰すつもりだったのに、こんなことだ。
駿一郎は、今までの悪夢を思い出していた。
あいつに彼女をあわせたらろくなことにならない。
言わなくてもいいことをとことん正直すぎるくらいに話して
悪気もなく、破局を作ってくれる。さすがに今回はそれは避けたかった。
それなのに、またこれだ。
あいつの場合は、全く悪気もなくしでかすところが決定的に救いがたい。
悪気がないから謝ることもなければ、自分が原因作っているって言う意識もない。
やっと生まれてからの貧乏くじからはなられられると思ったのに、、、
あいつのいるところには、全くろくなことが起こらない。
優のことが心配だけど、あいつを一人にさせておくのもあまりに危険だ。
とにかく想像のつかないことしでかしてくれるんだから、、、、
何かしでかすのを知っててほっとくより、話せばわかる優に我慢してもらった方がいいに違いない。
ポケットから携帯を取り出し、一言だけでも伝えておこうと携帯の着信履歴を見た。
優の文字が並んでいた。ごめん寂しい思いさせて、、、、
とりあえずかけようとボタンを押そうとして顔を上げると目の前に梨香がいた。
”何してんの?”
”いや何時かなっておもって、、、”
”気になるならでんわかければいいのに~考えすぎだって二人とも、、ははっはは”
この無邪気な笑い声に何度ひどい目にあわされたことか、、、
上京する前につきあってた彼女の時だって、携帯で彼女と大事な話をしている最中に横から
”私、駿ちゃんの彼女よ~。駿ちゃんの右のおしりには大きなほくろがあるのよ~ははっははっは”
あ~そりゃ赤ちゃんの時から一緒ならそんなこともしってるだろうよ。
でもこの大事な場面でいうことじゃないだろ~ということをしてくれる。
こいつの前では電話はかけられない。
”大丈夫、、たいしたことじゃないし、”
平静を装いとりあえず梨香と二人できっちり話をしないとまずいことだけは
避けられないと理解した。
”とりあえず部屋に戻ろう。”
梨香を先に行かせ、後ろからついて部屋まで向かった。
つづく